佐々木雫曰く、真夏ちゃんは仕事を辞めて寮も出て、鎌倉に住んでいるらしい。
俺は冬城真夏が初めて理解できなくて困惑した。俺に夢中だという目をして大好きだった仕事を捨てた彼女の考えが理解できない。
「俺だけが真夏ちゃんを好きだったのかな⋯⋯」
思わず漏れた俺の声に佐々木雫がクスクス笑う。
「綺麗な目を初めは好きになったんですって」
「その話、もっと聞かせて」
俺は自分の自信を取り戻す為に、冬城真夏が自分をどれだけ好きだったかの話を聞いた。
定例会議を終え佐々木雫を見送ると、ラウンジ横のホテルのロビーに紙袋の中身をじっと見つめる父の秘書の女を見つけた。
「その紙袋は何?」
俺が声を掛けるとビクッとして紙袋を後ろ手に隠す彼女。俺は反射的に彼女の腕を掴み、紙袋を取り上げた。
中に入っていたのは、母の形見であるトランキルブルーのワンピースと白のアンゴラコートだ。
「真夏ちゃん、ここに来てたの?」
俺の言葉を肯定するように秘書は目を泳がす。
「他には何か受け取った?」
「家の鍵を。真夏さんは、もう会いたくないそうです」
俺は冬城真夏が初めて理解できなくて困惑した。俺に夢中だという目をして大好きだった仕事を捨てた彼女の考えが理解できない。
「俺だけが真夏ちゃんを好きだったのかな⋯⋯」
思わず漏れた俺の声に佐々木雫がクスクス笑う。
「綺麗な目を初めは好きになったんですって」
「その話、もっと聞かせて」
俺は自分の自信を取り戻す為に、冬城真夏が自分をどれだけ好きだったかの話を聞いた。
定例会議を終え佐々木雫を見送ると、ラウンジ横のホテルのロビーに紙袋の中身をじっと見つめる父の秘書の女を見つけた。
「その紙袋は何?」
俺が声を掛けるとビクッとして紙袋を後ろ手に隠す彼女。俺は反射的に彼女の腕を掴み、紙袋を取り上げた。
中に入っていたのは、母の形見であるトランキルブルーのワンピースと白のアンゴラコートだ。
「真夏ちゃん、ここに来てたの?」
俺の言葉を肯定するように秘書は目を泳がす。
「他には何か受け取った?」
「家の鍵を。真夏さんは、もう会いたくないそうです」
