人が振り向くくらい美人の彼女に可愛いと言われるが嫌味ではないと分かっている。高身長の彼女から見ると私は彼女の好むペット系なのだろう。私は女子の可愛いって信用ないよなと男から言われるタイプの女。そんな私を可愛いと言いながら夜中ぎゅっとしてくれたのがライ君だ。

「そんな訳ないでしょ。何かやっちゃったかな?」
お世辞に照れながらも、工場から本社に向かう道のりは色々な可能性が頭を駆け巡りドキドキしていた。私のような末端の人間が会社のトップに会える事はなかなかない。
昨日私の人生では大きな出来事があったが、社長の呼び出しを喰らうほど会社で何かをした記憶はなかった。
(休みの日に車を停めっぱなしにした事がバレたのかも!?)

本社は工場の敷地内にある。この街は涼波食品の企業城下町と呼ばれていた。
多くの従業員はこの付近に住んでいるが、私は旧工場があった近くの古い寮に住んでいた。
緊張しながら本社に行くと、すでに入り口に社長秘書の間口さんという女性が立っていて私を見るなり社長室に案内してくれる。

自社ビルの最上階、緊張の面持ちで扉をノックし開く。