何だか気分が少し落ち込んでしまった。私とは全然違うタイプの派手で女性らしい綺麗な子だ。私はライ君にとってワンナイトの相手なのかもしれない。
毎日ステーキを食べていたけれど、偶には大豆ミートを食べたくなったくらいの心境で私に手を出しただけの可能性がある。

「真夏ちゃん、誤解しないで。今は真夏ちゃんだけだから」
「うん！」

私は敢えて元気な声を出した。「今」とは便利な言葉だ。この一瞬でも「今」と表現できる。ヤクザの女として女である事を謳歌している母を嫌悪しながら、女性らしい女に嫉妬する矛盾。
せっかく大好きな人といられるのだから、闇に飲まれていては勿体ない。私は口角を上げて笑顔を作り、ライ君とのデートに繰り出した。

私たちはまずデパートに向かった。ライ君がワンピースに似合うような靴を買ってくれると言う。確かに私の履いていたスニーカーは上質なワンピースに対してカジュアル過ぎだ。

そして、私服を見る限りライ君はとてもお洒落な子。
彼は背が高いからか、ロングコートがよく似合う。よく見ると時計も何百万もするブランドものをしていて、学生なのにしっくり来ていた。