真夏が仕込んだ数人によるカメレオンによる内部崩壊から始まり、資金消失、警察突入。
冬城源次郎は帰国するなり逮捕され、組は地図から消えた。
たった一人の娘によって。
♢♢♢
トロントのコンドミニアムの部屋で、清一郎が戸惑った顔で私を見つめている。
子供たちは夢の中だ。
彼の手には温かい紅茶があるのに、指先がわずかに震えていた。
「全部、お前がやったのか」
「ええ。私がやったわ」
罪悪感も誇りもない。ただ事実を述べているだけ。
「怖くないのか?」
「怖くなんてない。私の生まれた世界がどれほど残酷か、貴方は知ってるでしょう?」
目の前で言葉を失う京極清一郎を見ていると、不思議な気持ちになってくる。
私の考えていた反逆計画は自爆に近い乱暴なものだった。
こんな穏やかな結末は私の頭の中では描けない。
でも、京極清一郎は私を優しい世界に連れて行こうと、知恵をつけ自然に極道の世界を抜けて来た。
私を傷つけまいと必死に考える男の行動のお陰で辿り着けた完全なハッピーエンドだ。
(⋯⋯全ては私を守る為? 流石の私もこんな男には落ちるわ)
冬城源次郎は帰国するなり逮捕され、組は地図から消えた。
たった一人の娘によって。
♢♢♢
トロントのコンドミニアムの部屋で、清一郎が戸惑った顔で私を見つめている。
子供たちは夢の中だ。
彼の手には温かい紅茶があるのに、指先がわずかに震えていた。
「全部、お前がやったのか」
「ええ。私がやったわ」
罪悪感も誇りもない。ただ事実を述べているだけ。
「怖くないのか?」
「怖くなんてない。私の生まれた世界がどれほど残酷か、貴方は知ってるでしょう?」
目の前で言葉を失う京極清一郎を見ていると、不思議な気持ちになってくる。
私の考えていた反逆計画は自爆に近い乱暴なものだった。
こんな穏やかな結末は私の頭の中では描けない。
でも、京極清一郎は私を優しい世界に連れて行こうと、知恵をつけ自然に極道の世界を抜けて来た。
私を傷つけまいと必死に考える男の行動のお陰で辿り着けた完全なハッピーエンドだ。
(⋯⋯全ては私を守る為? 流石の私もこんな男には落ちるわ)
