真夏から貰ったミサンガに触れ気合を入れると、決戦の場に向かうべく真夏の位置を確認する。
真夏はナイアガラの滝の駐車場に到着していた。

冬城源次郎はギャンブル好きだから、ナイアガラのカジノに寄ってから帰国しようとしている線も捨てきれない。ただ、逃亡生活を三年送って来た娘を前にして、逃げるチャンスを自分から与えるような事をするとは思えない。
昔から冬城組はキャバクラと密接に関係し、女を薬漬けにして売春させるのを得意としていた。もしかしたら、実験的に売れる女を随行させているのかもしれない。

最近イミグレにおいて、若い日本人女性は売春目的と疑われ止められる事が多い。日本よりもアメリカの方が日本人女性が高く売れる。日本のAVは世界中で見られていて、日本の女は変態プレイも喜んで受け入れると思われているからだ。

冬城源次郎がアメリカでのビジネスを考えているならば、俺に近付いて来たのも腑に落ちる。
ナイアガラのイミグレーションは特殊で、観光客を見送るようにチェックが甘い。冬城組はカナダを経由させた売春ルートを作ろうとしているのかもしれない。

「パパは夢の国に行かないの?」