───やる気スイッチ? 恋のスイッチ?
そのスイッチが入っただけでナイトヘッドがフル稼働し始めたように、頭が働く。きっと長生きはできないだろう。
国際的に認められると、日本の法律事務所への就職は簡単だった。「反社チェック」も難なくクリアーだ。そして、俺はニューヨークで働く機会を得て、国際弁護士としての資格も取得した。
父は俺を使って新たな資金繰りを考え始めていた。語学力も法律の知識もシノギにはあった方が良い。ヤクザは武闘派だけでは成り立たない。
俺には弟がいるが父の関心が俺だけに集中し始めてしまった。俺が失踪しても弟がいれば良いとならなそうな現実に俺は危機感を募らせた。
真夏と逃げる時に俺自身がしつこく探されるのを恐れて、アメリカ以外の移住の地を考え始める。父は俺が消えれば日本中を探した後、居住歴のあるアメリカを探すだろう。
だから、ニューヨークにいる間に他国を調べ検討した結果、将来的にカナダのトロントに移住する事にした。
