時は遡ること十四年前。
京極清一郎は河原で暴走族にリンチにあう。極道の家に生まれた彼は高校生ながらに酒と暴力に溺れる日々を過ごしていた。
やりたい放題だった彼を恐れ知らずの改造バイクに乗った暴走族が襲撃。
相手は五十人以上、喧嘩は負け知らずだった彼もボロボロになっていた。

♢♢♢

高校三年の初夏、お昼過ぎに気が向いて久しぶりに学校に行った。義務教育も終わったのに、高校に通う選択をしたのは間違いだった。退屈で仕方がない。学校も俺が来ない方が平和そうだ。
俺が来るなり震え出した担任が、まだ五月だというのに気遣うように教室のクーラーをつけた。すると中からゴキブリが飛び出してきて、俺は溜息をついた。

「歓迎されてないみたいだな」冷めた言葉を吐き教室を去ろうとすると、「そんな事ないです、もっと来てください」と背中で担任の震える声がした。
授業を耽って川で水切りをしていると後ろから鉄パイプで殴られる。

「京極清一郎、この辺は俺たちの縄張りなんだよ。いつも偉そうにでかい顔しやがって」