「じゃあ、私たちもまずはレストランに行くか」

ニヤリと笑う父に私の思惑はバレている。
彼がゾロゾロと舎弟を連れて来たら、監視がきつくて逃げようがない。

父の女が腰をくねらせニヤニヤ笑いながら、私に近づいて来た。

「その程度のルックスでイイ男二人も手玉にとってたのに残念ね。源次郎さんは双子ちゃんも殺すって言ってたわよ」

女の囁きに、目の前に無数のフラッシュがたかれたようにチカチカする。
(サラ、ルイ、サラ、ルイ、サラ、ルイ、私の命、守らなきゃ⋯⋯)

「うっ、苦しい、ガハッ」
誰かが父の女の首を絞めている。指がかなり食い込んでいて、このままだと窒息死どころか首の骨が折れてしまいそうだ。
(色白の女の手なのに、怪物のような怪力⋯⋯誰?)

「お黙りなさい、この便所女が! 私の子に手を出す人間は誰だろうと許さないわ」

凛とした強い声は、どこか私の声に似ていた。いつも余裕な顔をして飄々としている父が血の気の引いた顔をしている。
(私の子? 意識が遠のいていく⋯⋯あなたは誰?)