ガソリンスタンドの制服を着ている彼はヤンチャそうに見えていたが、今の彼は瀟洒な身なりをしていて品がある。
ダウンジャケットにジーンズ姿のようなカジュアルな私服を予想していたから意外だった。
彼の上質な紺色のコートが濡れてしまいそうで、私は傘を押し返す。
ライ君は濡れた髪を大型犬の犬のように振って雫を飛ばすと、また私に傘を差してきた。
「真夏ちゃんお着物姿素敵だね。今日は何か特別な行事があったの?」
ライ君は私の手に傘を握らすと、寄り添い傘に入ってくる。彼の爽やかなシトラスの香りが近くなって心臓が跳ねた。
「た、誕生日だからおめかしした⋯⋯うそ、親にお見合いさせられて逃げ来た」
ライ君は私の事をお客さんとしか思っていないのに、お見合いから逃げて来たみたいな話はするつもりはなかった。
結局、彼には嘘をつきたくなくて本当の事をバラしてる自分に笑ってしまう。
「真夏ちゃん、手が冷たい。うち直ぐそこだから来る?」
「えっ? いいの?」
私の反応にライ君がニコッと笑った。彼は誰にでも分け隔てなく優しい。私は大好きな人の生活を覗き見れるようでドキドキした。
ダウンジャケットにジーンズ姿のようなカジュアルな私服を予想していたから意外だった。
彼の上質な紺色のコートが濡れてしまいそうで、私は傘を押し返す。
ライ君は濡れた髪を大型犬の犬のように振って雫を飛ばすと、また私に傘を差してきた。
「真夏ちゃんお着物姿素敵だね。今日は何か特別な行事があったの?」
ライ君は私の手に傘を握らすと、寄り添い傘に入ってくる。彼の爽やかなシトラスの香りが近くなって心臓が跳ねた。
「た、誕生日だからおめかしした⋯⋯うそ、親にお見合いさせられて逃げ来た」
ライ君は私の事をお客さんとしか思っていないのに、お見合いから逃げて来たみたいな話はするつもりはなかった。
結局、彼には嘘をつきたくなくて本当の事をバラしてる自分に笑ってしまう。
「真夏ちゃん、手が冷たい。うち直ぐそこだから来る?」
「えっ? いいの?」
私の反応にライ君がニコッと笑った。彼は誰にでも分け隔てなく優しい。私は大好きな人の生活を覗き見れるようでドキドキした。
