「真夏ちゃん、大丈夫? ちょっと酔っちゃったかな? このグラスはこっちに片付けておくね」
ライ君がグラスを再び桐箱にしまって、私を心配そうに見つめてくる。
サラとルイと同じ吸い込まれるような綺麗な瞳。彼の真意は分からないが、今は子供たちとの安全をどう確保するかで頭がいっぱいだ。
「お水とか飲む? 今、到着したからとりあえず外に出よう」
「大丈夫。少し眩暈がしただけだから」
外に出るなり真っ先に大きな水音に驚いて、周囲を見渡す。
紅葉のナイアガラの滝だ。私がここに来たいと話していたのは移民の学校。移民の学校には、ブラジル人、メキシコ人、フィリピン人、イラン人等に加えアジア系の人も多くいる。
ビザがあれば語学学校代わりに日本人の駐在妻も通えてしまうのだから、そこから私の居場所が漏れてしまった可能性が高い。
私は平和な堅気の生活を手に入れたと勘違いしていたが、本当は追われていた事に今更気がついた。幸せな日々は清一郎さんの犠牲の元に成り立っていた逃亡生活。ヤクザの癖に酒も飲まず、常に気を張って清一郎さんは私たちを守ってくれていたのだ。
ライ君がグラスを再び桐箱にしまって、私を心配そうに見つめてくる。
サラとルイと同じ吸い込まれるような綺麗な瞳。彼の真意は分からないが、今は子供たちとの安全をどう確保するかで頭がいっぱいだ。
「お水とか飲む? 今、到着したからとりあえず外に出よう」
「大丈夫。少し眩暈がしただけだから」
外に出るなり真っ先に大きな水音に驚いて、周囲を見渡す。
紅葉のナイアガラの滝だ。私がここに来たいと話していたのは移民の学校。移民の学校には、ブラジル人、メキシコ人、フィリピン人、イラン人等に加えアジア系の人も多くいる。
ビザがあれば語学学校代わりに日本人の駐在妻も通えてしまうのだから、そこから私の居場所が漏れてしまった可能性が高い。
私は平和な堅気の生活を手に入れたと勘違いしていたが、本当は追われていた事に今更気がついた。幸せな日々は清一郎さんの犠牲の元に成り立っていた逃亡生活。ヤクザの癖に酒も飲まず、常に気を張って清一郎さんは私たちを守ってくれていたのだ。
