お兄ちゃんの親友が、俺にだけ溺愛がすぎる





りーくんは、
小さい子をあやすみたいな目で、
そっと俺を見つめてきた。
“安心していいよ”って、
ただその目だけで言われてる気がする。


(……なに、この感じ……
ホッとする気持ちとキュンてなる気持ちが同居してる)

俺は気づいたら「……うん」と、小さく頷いていた。
そして、慌てて言葉を足した。

「べ、別に……りーくんとおにぃを
疑ってたわけじゃないよ……ただ……
あまりにも、2人の名前ばっかり出てくるから……
なんか……さ……ほら……」

言い終わった瞬間─―
りーくんは両手で顔を隠し、
え?と思った時にはもう、
床に仰向けで倒れ込んでいた。

「ちょ、ちょっと!? りーくん!?」

寝ころんだまま、
彼は信じられないくらい低い声で唸る。

「……あー、やばい……
真白の嫉妬イベント……
可愛すぎて死ぬ……」




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りーくんは背中まで震える勢いで悶えている。

「はぁ?嫉妬イベントってなに?
そんなへンな言い方すんなよ!バカ!」

「もうむりむり。だめだ。ほんと可愛い」

「ちょ、言いすぎだってば!」

次の瞬間だった。
床で悶えていたりーくんが、
ばっ、と跳ね起きるみたいに身を起こして、
そのまま俺の体をぐいっと抱きしめた。

「わっ……!」

胸に押しつけられたみたいに密着して、
息が止まる。

耳元で、低く甘い声が落ちてきた。

「ねぇ、真白。
俺、今日……伴奏頑張ったよね?」

くすっと笑いながら、
それでもどこか本気みたいな声音。

「……ご褒美ちょうだい?」

耳のすぐそばで囁かれて、
体が一瞬で熱くなる。

「……うん」

気づいたら、素直に返事していた。
逃げるとか、考える暇なんてなかった。

りーくんは抱きしめていた腕をゆるめ、
まっすぐ俺の目を見てくる。
黒目がちな瞳の中にうっすらと
熱がこもっているのがわかった。

そして──
やわらかく触れるだけの、軽いキス。

「……っ」

チュッ、と小さな音がして、
唇が一瞬温度を奪われたみたいにじんとした。
そして、りーくんは一瞬だけ息を置いた。
そのあと──
再び、唇が触れた。
さっきより少し強く、深く。
角度を変えて、
何度も何度も……

「……っ、ぁ……」

連続で落ちてくるキスに、
心臓が暴走したみたいに跳ね上がる。
息がうまく吸えない。
吐くのも忘れてる。
頭の中がぐるぐるして、
何がなんだかわからなくなる。
体の芯から熱がぼこぼこ沸いてくるみたいで、
全身が一気に沸騰したみたいに熱い。
りーくんの唇が触れるたび、
思考が真っ白に溶かされていく。

「……ましろ」

耳のすぐそばで落とされたその声音が、
さっきまでのキスよりずっと甘くて、
体の奥がびくっと震えた。
混乱している俺なんかお構いなしに、
りーくんはもう一度、深く口づけてきた。
“触れるだけ”とは違う。
唇を押しあてる角度も、舌も、
含ませる息も、全部がゆっくりで……
全部がえっちで……
全部が、俺をどうにかしにきてるみたいだった。

(むり……ほんとに……)

頭の中で警報が鳴っているのに、
体のほうが先に溶けていく。

(あぁ……もうだめだ……)

俺は考えることをを放棄した。