その言葉に、俺の心臓は一気に暴れだした。
(それはつまり……あの、そういう、アレ。
あれだよね?舌?とか、あー、え……うわ、
ひいいいー……)
「ははははは」
ひとりでパ二クっていると、りーくんが
目の前で爆笑していた。
「……ご、ごめん。耐えてたんだけど、
わかりやすく真白がショートしてて、漫画みたいな
キョドリ方してたから、思わず……っ」
「なんで笑ってんの!」と言いたいけど、
喉と胸がぎゅっとして声が出ない。
目の前の彼は、まだ笑いが収まらないみたいで
ヒーヒー言っている。
(この男め……)
俺は恋愛初心者に難易度高いこと要求すんなという
恨みを込めて、りーくんを睨みつけた。
「ごめん。おこちゃまの真白には
刺激が強かったよね。
でも、ちょっとずつ慣れてもらわないと……」
そういってりーくんは俺の手を握ってきた。
「じゃあさ、伴奏頑張ったご褒美にしてもいい?
エッチなキス」
「え……?」
「真白。高校生って統計的には付き合って
1〜3ヶ月で初エッチって多いんだよ?
俺らはもう1ヶ月すぎてるから計算上は……
もうしてても普通なんだよね?」
りーくんはお構いなしに続ける。
「でも、まだ真白がパニックになってたし、
それだったら発表会はあと2週間後だし、
ちょうど真白も心の準備ができていいかなって。
どう?ダメ?」
(出たよ、理系の悪い癖!!
おにぃもしかり、
りーくんも“数字”と“データ”で論破してくるやつ!
ふたりとも口もうまいし、頭回るし
俺は何も言えなくなんだよ……!)
俺は反論できず、観念したように
「……ダ、ダメ……では、ない……」
と勝手に口を滑らせていた。

