お兄ちゃんの親友が、俺にだけ溺愛がすぎる



りーくんの顔は、また見たことのない顔だった。
目をパチパチさせていて、口元が緩み切っている。
照れと戸惑いと嬉しさと……
いろんな感情が混じっていて、
でも、俺が好きって感じが1番にでてる。

「もう、待って……急に俺を振り回さないで……」

そういうと、俺は頬を両手でくいっとつかまれた。

「真白。ファーストキス、貰うね」

「うん」

そういうと、りーくんは優しく微笑んだ。
そして、そっと唇が触れる――。
ふにっていう効果音がつきそうなほど
りーくんの唇はやわらかかった。

キスが離れた瞬間、
どちらからともなくふっ……っと笑う。

ほんの小さな、息みたいな笑い。
りーくんの手はまだ俺の頬に触れていて、
俺もそこに手を重ねた。

「……やば……」と、りーくんが
喉の奥で笑いながら、小さく言う。

「なにが?」

「あー……やばい。
今日、俺もう死んでもいいかもしんない。
真白が可愛いすぎる。俺を殺しにかかってる」

「なんでよ、そんなことしてない。死なないで。
これからいっぱい、色々……したいのに」

「まーしーろー……もうこれ以上
好きにさせないで~」

りーくんはまた力強く俺を抱きしめた。
そして耳元でつぶやく。

「これから真白のお望みどおり、
いっぱいイチャイチャするから覚悟しててね」

(…………)

これだから天然たらしは、と思った。
どれだけりーくんが俺のこと好きっていっても
結局は俺が振りまわされるんだ。
高3だし、秀才だし、そもそも
性格おわってるおにぃの親友できてるってことは
本来は絶対やばい奴なわけで……

「真白、大好き。もう離さないからね」


りーくんの腕の中で、胸の奥がきゅっと鳴った。
幸せすぎて、こわいくらいで。

(……色々早まった?)と一瞬思ったけど、
それは見ないふりをしてそのまま
りーくんの腕の中でまどろんだ。