二宮「月に一度か二度ですね。そのときに浩平くんのデスクを調べさせてもらったんです。リモートとは言え、隣同士でしたから、やっぱり心配で」

なるほど、そういうことだったのか。
直接顔を合わせる機会が少ないから、浩平の口から二宮さんの名前が上がることもなかったんでしょう。
それからは無言の時間が流れて、二宮さんが言っていた通り20分ほどで一軒家に到着しました。

二宮「どうぞ」

二宮さんに促されて玄関へ足を踏み入れるとふわりと甘い香りが部屋の奥から漂ってきました。
リビングに通されると背の高いテーブルと足つきのソファが置いてあります。
綺麗に整頓されているその部屋はなんだか無機質なものに感じられて少し寒々しさがありました。

二宮「お茶か、ビールもあるけど」
僕「お構いなく」

居心地の悪さを感じる部屋のソファで待っていると二宮さんがお茶を出してくれました。
二宮さんは湯気の立つお茶を湯呑からおいしそうに飲んでいます。
その周辺を一匹のハエが飛び回っていました。

篤「あの、俺たちまだ調べものをしないといけないので」