玄関先で首を吊った女がいるんだとか

襖に近づくにつれてその妄想は激しくなり、今にも内側から襖が開いて車椅子に乗った女が出ててくるかと、気が気ではありませんでした。

篤「大丈夫か?」

そんな心配をするなら自分で開けろよ。
と、言いたいところですけれど、今ままで篤には先を歩いて貰っていたので、文句も出てきませんでした。
勇気を振り絞って襖に手をかけ、ゆっくりと開いて行きました。
襖は最初建付けが悪いような音を立ててガタガタ鳴りましたが、後半はすんなり開いて行きました。
中は真っ暗でなにもありません。
内心ホッとしたものの、この家にはなんのヒントもないのかと落胆してしまいそうになります。

篤「奥まで照らしてみよう」

篤に場所を譲ってライトで押入れの奥をくまなく調べ始めました。
押入れの中は室内よりも更にカビ臭く、ジメジメとした空気が漂っています。
あまり長くこの部屋にいることも嫌だったのですが、篤が「あっ」と小さく声を漏らしました。

僕「なにかあったの?」
篤「上段の奥になにかある」

篤がそう言って押入れの中に体を突っ込みました。