玄関先で首を吊った女がいるんだとか

店主「ポテトサラダは作り置きしてたやつだし、唐揚げも味をつけて冷凍しておいたのを揚げただけだ。お前ら若いんだからもっと食ってもいいくらいだろ」

さすが喫茶店の店主です。
お腹がすいている人を見捨てることができたいというのは、本当みたいですね。
ずっしりと重たいその弁当箱には愛情がたっぷり詰め込まれているように感じられました。
店主にお礼を言って外に出ると町は霧の中に沈んでいました。
この辺りは10時くらいにならなければ霧は晴れないのだそうです。
それから僕と篤はほぼ無言で〇〇村へと向かいました。
昨日1度訪れている場所なので道に迷うこともなく山道を登って行きます。
山に入った瞬間寒さが体にまとわりついてきてブルリと身震いをしました。
朝露に濡れた木の葉っぱから雨のように雫が滴り落ちてきます。
足元は昨日よりも悪く、一歩踏み出すたびにぬかるんだ道に足をとられてしまいそうです。
慎重に歩いて〇〇村にたどり着いたとき、僕の背中にはぐっしょりと汗が滲んできていました。

篤「この家かな」

前を歩いていた篤の言葉に僕も立ち止まり、左手に見えている家屋を見上げました。