僕「この問題の答えは荒木家だ！」

絵の並び変え絵を終えてそう断言した僕は途中で見かけた荒木という表札の前までやってきました。
篤がライト片手に先に立ち、そっと玄関ドアに手を伸ばします。
ドアは建付けが悪くてなかなか開かなかったけれど、思いっきり力を込めるとようやく手前に開きました。
その拍子にこけそうになった篤を慌てて支えました。

篤「すごいホコリだな」

荒木家の中には絨毯と見間違うほどホコリが積もっていて、一歩踏み出すごとに自分たちの足跡がクッキリと刻まれていきます。
僕は服の袖口で自分の鼻と口を覆って家の奥へと進んでいきました。
そして一番手前のドアを開いた時です。

男A「誰かいんのか？」

そんな声が玄関先から聞こえてきたのです。
聞き覚えのない男の声。
しかも靴音は複数聞こえてきます。

篤「誰かと鉢合わせしたらまずい」

篤が早口にそう言うと部屋の奥に見えている出窓へと走りました。
僕もそれについて駆け足になります。

男B「誰かいるぞ！」
男C「捕まえろ！！」

どれだけ声を殺していても僕たちの足跡はしっかりと残っています。
男たちはその足跡を追いかけてこちらへ迫ってきているのです。