玄関先で首を吊った女がいるんだとか

せっかく女が自殺したという家にたどり着いたのに、なにも得られないまま尻尾を巻いて帰ろうとしたんです。
喧嘩なんて生まれて今まで1度もしたことがないですし、3人対2人で勝てるとも思えませんでしたから。
だけどそんなことをいうと篤に頭をはたかれてしまいました。

篤「なに言ってんだよ、ここまできて逃げるのか?」
僕「だって、これから夜になったらもっと別のヤツが来るかもしれないしさ」
篤「だったら夜になる前に終わらせりゃいいだろ。浩平は今のどこかでひとりでいるかもしれねぇんだからよ」

そう言われると返す言葉がありません。
浩平がもし〇〇村のどこかにいるのだとすれば、常に危険と隣り合わせ、ずっとあんな恐ろしい気持ちを味わっているのかもしれないですから。
僕は篤の後ろにくっつくようにしてリビングの横の部屋へと入って行きました。
そこは本来寝室として使われていた部屋のようで、部屋の奥にはクローゼットがありました。

篤「ここには花瓶がないんだな」

篤の呟きに僕は違和感を抱き、クローゼットの前まで移動してきました。
閉じているものを開けるという行為はどうしてこんなにも恐ろしいのでしょうか。