篤がコクリと頷いてドアノブに手をかけた、そのときでした。
ふいに部屋の奥からドアが開いて篤が咄嗟に手をひっこめたのです。

男A「誰だお前ら」

ドアの奥から出てきたのは男性3人組でした。
手には小型ライトを持っていて、３人とも服の上からでもわかるくらい屈強な体つきをしています。
まずいと思って咄嗟に玄関へ走ろうとしたのですが、その前に男に腕を掴まれていました。
その腕力に腕がギリギリと締め上げられます。

僕「は、離して！」

思わず情けない悲鳴をあげてしまいました。

男A「なんだお前、情けねぇな」

男たちが声を上げて笑い始めます。
まずいことになりました。
彼らはきっと廃村マニアか肝試しに来ていたのでしょう。
そこを僕らが邪魔をしてしまった形になったのです。

篤「おい、やめろよ」

篤が男Aの腕を掴んでやめるように促しました。
が、そんなに簡単な相手ではありませんでした。
男Ｂと男Ｃも部屋から出てきて篤を取り囲んだのです。
さっきまでライトを持っていたその手には今、木製のバッドが握られています。