それでもどうにか勇気を振り絞って玄関のレバーに触れてみると、それは簡単に動いて外側へとドアが開いたのです。

僕「ひっ!!」

あまりにスムーズにドアが開いてしまったことに驚き、生え放題の草の上にしりもちをついてしまいました。
木々が生い茂る山の中なので、じっとりと随分がしみこんでくるのがわかりました。

篤「おい、大丈夫か?」

僕の悲鳴に駆けつけてきて篤に手をかしてもらってどうにか立ち上がり、「玄関が開いてた」と、報告しました。

篤「この家もか。向こうにあった吉田って家と櫓って家の玄関も開いたんだ」
僕「ホラッシーが言ってたみたいに、この廃屋には鍵がかけられてないのかもしれないね」

となると、どこが問題の家なのか判別がつかないということです。
やみくもに廃屋に入ってみたとしても、当時の痕跡が残っていなければ意味がありません。
途方に暮れている僕を横目に篤がスマホでホラッシーの動画を再生し始めました。

篤「雰囲気的にはこのあたりの家なんだけどな。困ったな、窓の外は真っ暗でなにも見えない」

どうやらホラッシーが家の中から外を撮影した箇所を見直しているようです。