僕は500ミリリットルのお茶を、篤は水を購入してようやくその場から動き始めました。
今が夏じゃなくてよかったと、心から思いました。
時折地図を広げて道を確認しながら進んでいくと、町のあらゆる場所で桃中学校やバラ公園、月色児童館など色を連想する名称の建物が多く見られました。
それから1時間ほどで山の麓に到着しました。
細くて暗い山道に視線を送り、互いに目を見かわせました。

篤「車は入っていけないんだな」
僕「そうだね。元々はもっと大きな道だったんだろうけれど、アスファルトも割れて、危なそうだね」

どう頑張っても人間がふたり並んで歩くだけの幅しかありません。
○○村にはまだ時々管理するひとが向かっているようですが、この山道を道具を持って歩いて登っているのだと想像すると頭が下がる思いでした。
いつまでもぼんやりしているわけにはいきません。
ここへ来るまでに随分時間も経ってしまいました。
山の中に入ると一気に日が暮れるのも早くなるでしょう。
僕たちは横並びになっていつまで続くともわからない山道を歩き始めたのです。

僕「あ、この立札ってホラッシーの動画で見たやつじゃない?」