元々そこにあった建造物が苔むしている様子とか、ツタが絡みついて森に戻っていく途中の様子ってなんとなく神秘的じゃないですか?
そんな感じでぼーっと本に載っている写真を見ていると、後ろから篤が声をかけてきました。

篤「これ、見ろよ」

そう言って差し出してきたのは印刷された地図と、数枚の印刷用紙でした。
地図は日本の東北のどこかを差しているようです。
他の用紙にはちょっとした物語が書かれていました。

【首吊り女】
東北地方にある○○村は10年ほど前から人がいなくなって完全な廃村となった。
そこにはまだ建物がいくつも残っていて、廃墟マニアやオカルト好きがよく訪れるらしい。
特にオカルト好きの間で有名なのはある集合住宅にまつわる噂話だ。
集合住宅の中の一軒で女が首吊り自殺をしたらしい。
ただ首を吊っただけなら珍しくもないけれど、その女はなんと他人の家の玄関先で首を吊っていたんだとか。
なぜそんな奇行に及んだのか、聞く話によれば首を吊った女はその家の主に相当な嫌がらせを受けていたらしい。
毎日毎日、狭い道路を挟んでも聞こえてくる悪口。
顔を合わせれば嫌らしい笑顔。