玄関先で首を吊った女がいるんだとか

先頭を行く篤にそう声をかけようとしたときでした。

篤「明かりが見えるぞ!」

篤の歓喜する声が洞窟内に響きました。
見ると洞窟の前方から微かに明かりが差し込んできています。

僕「やった、出口だ!」

僕は浩平の体を支えながら早足になって出口へと向かいました。
洞窟から這い出して振り向いてみると、その入り口は草木に埋もれるようにして隠されていました。
ここが、二宮家の地下に通じているなんてきっと誰も思わないことでしょう。

浩平「ここは?」

浩平が周囲を見回したとき、ザッと足音が聞こえてきました。
3人で同時に顔を向けるとそこには意外な人物が立っていたのです。

店主「おい、ここでなにしてる?」

☆☆☆

僕たちが出てきたのは喫茶店の裏にある山のふもとだったのです。
店主はここにこんな穴があることなんて知らなかったようで、泥だらけになって出てきた僕たちを見てすごく驚いた顔をしていました。

店主「まさか、イケニエにされそうになってたなんてな」

すでに閉店時間を向かている喫茶店内には僕たち3人と店主、そして警察官が何人か集まってきていました。