玄関先で首を吊った女がいるんだとか

そのとき僕の視界に棺桶が入ってきました。
浩平が入れられていた箱です。

僕「もしかして、この下とか?」

イケニエがいた真下に通路があるはずがない。
その先入観を捨て去って3人で棺桶を少しずつずらしていきました。
これは本来の棺桶とは違うようで、まるで中に数人の成人男性が寝転がっているような重さがありました。
どうにか横へずらし終えたとき、冷たい風が吹き上げてきて僕の前髪を揺らしました。

篤「通路だ!!」

棺桶の下には斜め下方向へ続いていく暗い通路があったんです。
篤はライトを手に、僕と浩平は祭壇に飾られていたロウソクをそれぞれ手に持ちました。
そして篤を先頭にして地下通路を歩き始めたのです。

☆☆☆

どれくらい歩いたでしょうか。
30分か、40分か。
それくらいのはずですがまわりが真っ暗なので永遠に続く暗闇の中にいるような錯覚に囚われていました。
前に進んでいるのか立ち止まっているのかもわからなくなりそうなその通路は、土を掘り返しただけの洞窟のようでした。
長い時間拘束されていた浩平はさっきから苦しそうな呼吸を繰り返しています。
少し休憩を挟んだほうがいいんじゃないか。