玄関先で首を吊った女がいるんだとか

二宮「ちょうどいい、三人まとめでイケニエになってくれれば数年は困らないな」

ニヤついた笑顔を貼り付けて二宮さんが言います。

篤「待て!」

篤が叫んだ瞬間、二宮さんが僕の靴を蹴落としてきました。
扉が完全に閉じてしまわないよう残しておいたものです。
二宮さんは笑顔を残したまま無情にも扉を閉めてしまいました。
地下室に薄暗い闇が立ち込めます。

篤「くそっ! 開けろよ!」

篤が扉まで走って扉を持ち上げようとしますが、びくともしません。
鍵をかけられてしまったのでしょう。
叫んでも扉を殴っても、外からの反応はありませんでした。
地下室ですから、もちろんスマホの電波もありませんでした。

僕「どうしよう、閉じ込められた」

蹴落とされた靴を履きなおしてため息を吐き出しました。
壁に並んでいるガイコツの屍たちを見ていると、安易にここから逃げ出すことができないということが伺えます。

浩平「ちょっと待ってくれ。俺がここにきたときそんな階段は使ってなかった気がするんだ」

浩平がなにかを思い出すように眉間に指を当てました。

僕「連れてこられた時のことを覚えているの?」