玄関先で首を吊った女がいるんだとか

万葉「あなたたちもここまで来たのなら、わかっているでしょう? これは河島の呪いなのよ」
僕「河島の呪い? 首を吊った女の呪いじゃなくて?」

そう聞くと万葉と二宮さんが同時に声を上げて笑いだしました。
その声は気分が悪くなるほど歪み、いびつな音となって鼓膜を揺るがします。

万葉「どうして私が車椅子なのか考えなかったの?」
篤「どういう意味だよそれ」

篤が敵意をむき出しにして聞き返します。
が、その瞬間僕はすべてを理解していました。
首を吊った女がいたという記述はあっても、その女が死亡したという記述はどこにも残っていなかったこと。
これもまた、僕たちの勝手な思い込みで話を作っていただけなんです。

僕「まさか首を吊ったのは万葉さん、あなただったんですか?」
万葉「そうよ。河島の玄関先で首を吊った私は不幸にも他の住民によって助けられた。だけどこうして半身不随の体になってしまったの。私がリハビリをしている間に河島は相当な嫌がらせに会ったんでしょうね、精神を病んでしまって勝手に自殺してしまったのよ」