篤の声が荒くなり、両手でテーブルを叩く音が響きました。
店主がカウンターの奥から心配そうな顔をのぞかせています。

二宮「こんなところでそんな物騒な話はやめよう。お店の邪魔になるからね」

二宮さんは貼り付けたような笑みを浮かべると、僕らを促して喫茶店を出ました。
自分の家へ向かうという二宮さんが運転する車内には会話がなく、重苦しい空気が充満していました。
一体、これから先なにが待ち受けているのか想像もつきません。
こんな場所まで僕たちをおびき出した二宮さんにのこのこついて行っていいのかどうかも、わかりませんでした。
だけど、後部座席で僕の隣に座っている篤は運転中の二宮さんの後頭部をずっと睨みつけていて、今にも首を絞めてしまいそうに見えたのでほっておくこともできませんでした。

二宮「さぁ、ついたよ」

車に乗ってちょうど20分が経過したとき、一軒家の車庫に車は停車していました。
周囲には田園風景が広がっていてその中にポツンと建つ平屋です。
ここに到着するまでにいくつかの住宅街があったのですが、そこに建てなかったのはなにか意味がるのでしょうか。

二宮「こっちへ」