玄関先で首を吊った女がいるんだとか

そう、浩平と同じ会社の二宮さんです。
篤のいう通り二宮という苗字自体は珍しくありません。
だけど浩平のことで調べている間に行きついたこの苗字をただの偶然で済ませるわけにはいきませんでした。

篤と二宮さんのメッセージ

《篤:今〇〇村の近くに来ています。これから会えませんか?》
《二宮:僕に連絡してくるってことはそこまで行きついたってことか。迎えに行くから喫茶店で待っていてくれ》

それだけの短いやりとりで二宮さんはすべてを理解していたのです。
僕と篤との間には重たい空気が流れていました。
もしかしたら最初から二宮さんにハメられていたのかもしれない。
それでこんな場所までのこのこ来てしまったのかもしれないという不安がよぎっています。
だけど、浩平がいなくなり、浩平と連絡が取れなくなっていることは事実なのです。
きっと二宮さんがなにかを知っている。
それを解明し、浩平を無事に取り戻すまでは帰るわけにはいきません。
二宮さんがここへ到着するまで待った時間はほんの20分程度でした。