写真の謎を解いた辺りから寒気が止まりません。
この家に長居することに危機感を抱き始めていました。

篤「あ、あぁ、そうだな」

まだ混乱しているのか、篤は頷きながらもなかなかその場を動こうとしませんでした。
僕は仕方なく篤の腕を掴んで和室の出口へと急ぎました。
その瞬間です、
ガタッと押入れから物音が聞こえてきて思わず振り向いてしまいました。
押入れのどうしても開かなかった側の襖がガタガタと音を立てて少しずつ開いていくのを見ました。
すぐに逃げ出せばいいのに、足がすくんでしまって僕まで立ち止まってしまいました。
呼吸が乱れて気絶してしまいそうなのに、視線を外すことができません。
ガタガタと音を立てていた襖が急にスッと横へ開いたんです。
そのとき見てしまいました。
襖の中からこちらをのぞく真っ白なふたつの目。
生気のない灰色の肌に、乱れた黒髪。
それはついさっき写真で見たにのみや　かずはという女にそっくりな顔をしていたんです。
僕と篤は絶叫しながら家を飛び出し、そのままの勢いで山を下りて行きました。
何度もつまづいてこけても、気にしている余裕なんてありません。