「…⋯マスター、起きてください⋯⋯」
「⋯⋯うん⋯⋯ううん⋯⋯」
「あ、あともうちょっとだけ⋯⋯寝かせて⋯⋯」
あれ俺一人暮らしだよな?
「⋯⋯え、誰⋯⋯?」
「私は⋯⋯マスターの守護神ですよ」
「⋯⋯守護神⋯⋯?」
「はい!マスターの守護神です!」
「俺がマスター?」
「私のマスターは貴方です!」
「なるほどサッパリ分からん」
「まぁ、最初は⋯⋯マスターのような反応をしますよ」
「まて、待て待て⋯⋯とりあえず、ー旦状況を整理してもいいか?」
「ええ、いいですよ⋯⋯私はマスターの守護神。
マスターの選択、決定権は全て私ではなくマスターなのですから」
⋯⋯これは一体、どうゆうことだ⋯⋯?
っていうかそもそもこれは夢か?現実か?
それに今、目の前にいる子は⋯⋯俺の選択が全て、
みたいな言い方をしていなかったか⋯⋯?
「⋯⋯えっと、まず⋯⋯君は⋯⋯?」
「私はマスターの守護神⋯⋯マスターの言う事は
なんでも聞きます。それが守護神なのですから」
「な、なんでもってことは⋯⋯奴隷、みたいな?」
「まぁ、そうですね⋯⋯ニュアンス的には合ってますけど」
「⋯⋯それで、俺が⋯⋯マスター⋯⋯???」
まだ上手く状況を呑み込めていない⋯⋯
あまりにもいきなりすぎるからだ
「そうです!私のマスターは貴方⋯⋯!」
「⋯⋯えっと、色々聞きたい事があるんだけど⋯⋯
まず、自己紹介から⋯⋯?」
「ほ、ほら⋯⋯最初だし⋯⋯」
正直、聞きたい事は山ほどあった。
なんならまずなんで俺の家にこの子が居るのか。
「それもそうですね⋯⋯マスターの守護神である私の名は、ミロク」
「マスターのお好きなように呼んでくださいね⋯⋯?」
「えっと、じゃあ⋯⋯ミロク。俺の名前は黒神周だ⋯⋯
普通に、あまね、か⋯⋯マスター、どっちでも良い」
「じゃあ、お言葉に甘えて⋯⋯ここはあえて、あまね、と呼びますね」
「そ、そっか⋯⋯それで次に、マスターと守護神について⋯⋯いいか?」
マジでー番の謎はそこだ。とりあえず、
この子の事はなんとなく分かった
名前も、ミロクっていうのは分かった⋯⋯あとは、今さっき聞いたマスターと守護神について
「そうですね⋯⋯あ、今の時間いいですか?」
「え?ま、まぁ⋯⋯え〜っと」
暗い中、時計を確認する
「⋯⋯あ、とりあえず⋯⋯電気つけてもいいか?」
「全部マスターの自由ですので、いいですよ」
ミロクが承諾してくれたので、俺は電気を付ける
「っわ!明るい⋯⋯!意外と明るかった⋯⋯」
「あ、ごめんミロク⋯⋯大丈夫だった⋯⋯?」
「全然大丈夫ですよ⋯⋯っと、時間確認しました?」
「あぁ、そうだった⋯⋯えっと、今は⋯⋯
ちょうど日をまたいだぐらい?」
「えぇ、ですね⋯⋯ちょうど今日、色々な所に守護神が出現しました」
「⋯⋯あ、ミロク以外にも⋯⋯他の守護神が居るってことか?」
「⋯⋯すみません、私もそれもに詳しくは分からないのですが⋯⋯」
「とりあえず、私の持っている今ある情報を全て
マスターに⋯⋯あ。あまねにお伝えしますね⋯⋯!」
「⋯⋯えっと⋯⋯全然俺には敬語じゃなくてもいいからね⋯⋯?
そ、それに守護神だし⋯⋯神が付いているんだから、
逆に俺が敬語で喋らないといけない気が⋯⋯」
「いえいえいえ!マスター⋯⋯!
そんなに自分を下げないでください!」
「立場的には、私よりマスターであるあまねの方が格段に上です!」
「⋯⋯あ、もちろん⋯⋯あまねが敬語をやめろ、という
命令を私に出したら、私はやめますけど⋯⋯」
「⋯⋯あ、いや⋯⋯本当にもう、敬語でもなんでもいいから。
とにかくラフな感じで居てくれたら助かる⋯⋯」
「⋯⋯分かりました。それじゃあ⋯⋯
マスター、は少し堅苦しいので、普通にあまねって呼びますね」
「あ、あぁ⋯⋯助かる」
⋯⋯って、やばい⋯⋯全然本題に入れてない
未だに俺がこの状況を受け入れていないからだ⋯⋯
それに加えて、今さっき俺は起きたばっかり
まだ意識とかがちゃんと覚醒していないのもーつの理由かもしれない
「⋯⋯まず、守護神はマスター―人に対して基本的に―人。
今のあまねと私のような関係がほとんどです」
「次に、守護神は自分が魅入った人物をマスターとして認識します」
「⋯⋯え?じゃあミロクは俺に魅入って⋯⋯
俺をマスターにして、俺の守護神になった。そういうこと?」
「ええ、そういうことですよマスター!
だから私はあまねに対してとても友好的なんです!」
「な、なるほど⋯⋯でも急に、なんで⋯⋯どんな理由が⋯⋯」
ここは現実世界。能力だとかそういう非常識な事は通用しない
⋯⋯そう思っていた時期が、今さっきまで俺にもありました⋯⋯
「守護神には、それぞれの能力があって⋯⋯
例えば炎の能力。氷の能力⋯⋯他にも色々あります。」
「自分、もしくは自身のマスターの身体能力を上げる能力だったり⋯⋯
本当に色々な能力を持っています」
「その言い方からして⋯⋯守護神はかなり居るのか⋯⋯?」
「ええ、そうですね⋯⋯でも、そんな世間には広がりませんよ」
「⋯⋯世間には広がらない⋯⋯?それはー体、どういう⋯⋯」
(ドォーン)
なんだ、このけたたましい爆音は⋯⋯!?
「⋯⋯っぐ、熱い⋯⋯マジで次から次に何だよ⋯⋯!」
「マスター!大丈夫ですか⋯⋯!?」
ミロクが俺を庇って、爆風から守ってくれた⋯⋯
不思議な力かは分からないが、何かに包まれていた
「⋯⋯恐らく、他の守護神の能力⋯⋯!
マスター!ここは危険ですのでー旦離れますよ!」
「わ、分かった⋯⋯!くっそ、まだ何も理解出来ちゃいねぇのに!」
それでも、今ある目の前の状況を信じるほかない⋯⋯
これも守護神の仕業って⋯⋯や、やばすぎるだろ⋯⋯
平凡な日常が壊れる音が、俺には聞こえた。
ー歩間違えれば、死ぬ。そう思った
「マスター!運動神経は良い方ですか!」
「え!?急に何⋯⋯!?い、いやまぁ普通よりは良いけど!」
「ではマスター!私の魔力を与えるのでそれを使ってください!」
「⋯⋯もう何がなんだか分からないけど⋯⋯分かった!」
刹那、あまねの身体をミロクが与えた魔力が包みだす
⋯⋯もう何がなんだか分からないが⋯⋯
ミロクから与えられた魔力。それが俺を包んでいる⋯⋯のか?
だけど、すごく身体が軽い⋯⋯運動神経も良くなった⋯⋯
あまねはダッシュで、その場から離れる⋯⋯
その時のあまねの走る速度は異常なほど早かった
「⋯⋯おいおい、ミロク⋯⋯俺いまめちゃめちゃ早いぞ⋯⋯!」
「そういうものなんです!とりあえず、マスター!
今はこの場から離れますよ⋯⋯!自分の命を守ってください!」
守護神であるミロクからそう言われ、
あまねとミロクは共にその場から離れる
⋯⋯そして、あまねは見る⋯⋯先刻まで、
自分が居た場所が燃え盛っている状況を
「⋯⋯おいおい、マジかよ⋯⋯これは本当に、現実なのか⋯⋯?」
ミロクから魔力を得ていなければ、逃げ遅れて即死⋯⋯
その世界線もあったと考えると、悪寒がする
「⋯⋯もう守護神の能力を操るものが現れた⋯⋯
あまね、気をつけてください⋯⋯」
「もしかしたら⋯⋯そのまま、他の守護神と戦うかもしれません」
「⋯⋯え?おいおい⋯⋯戦う、って⋯⋯戦うってなんだよ⋯⋯」
「この爆発を起こした守護神、加えてその守護神のマスター⋯⋯
その二人と戦う可能性があるってことです」
「⋯⋯おいおいおい待てよミロク⋯⋯俺は戦えないぞ?」
「ミロクからもらった、魔力とやらがあったとしても⋯⋯
さすがにこの規模の出来事をしでかす奴らとは戦えねぇ」
怖気づいてしまうあまね、無理もない。
まだあまねがミロクに起こされて7分しか経っていない
加えて、現実とはあまりにもかけ離れた言葉の羅列。
しかし今の状況は理解より先に身体を動かさなければ、死
⋯⋯しかしここで、あまねの守護神であるミロクが笑う⋯⋯
「大丈夫ですよ、あまね⋯⋯いや、マスター」
「⋯⋯こういう時のための、守護神がいるんですから⋯⋯!」
「⋯⋯ミロクは戦える⋯⋯って、ことなのか?」
「ええ、戦えますよ⋯⋯マスターの指示により、私は働きます」
「そして、マスターを守るためなら命令に背いてまでも
マスターの命の身を守る⋯⋯それが守護神です」
「⋯⋯今は逃げよう、ミロク⋯⋯」
何も理解していない状況で。
戦えると言っているミロクを前にしても
⋯⋯この、燃え盛った俺の家⋯⋯そして、
周りの家も燃え盛っているこの状況を見て⋯⋯戦う気力が起きねぇ
だったらまず、逃げてから冷静に状況や言葉の意味を理解する
「⋯⋯分かりました、マスター⋯⋯私はあまねの守護神。
ならばその命令に従うまでです」
「よ、よし!それじゃあ逃げるぞ⋯⋯!
俺にはまだミロクから貰った魔力はあるよな!?」
「ええ、ありますよ⋯⋯なのでそのまま
この場から離れる事は出来ます!」
(ドォーン)
「⋯⋯って、思ってましたが⋯⋯マスター。
どうやら逃げるのは諦めた方が賢明だと思ます⋯⋯」
ミロクの言葉を聞いて、俺は後ろを見る。
そこに居たのは⋯⋯―人の、影
「⋯⋯あまね。今から私は戦います。⋯⋯ですが、
もしあまねが命の危機になったならば、すぐにあまねを守ります」
「⋯⋯すっげぇ!こんなに爆発でぐちゃぐちゃに
出来るなんて⋯⋯サイコーだな!」
⋯⋯あれが、爆発を起こした守護神のマスター⋯⋯!
見た目は完全に、若い男性って感じだ⋯⋯
「あれ?君⋯⋯っふ、守護神が見えるタイプの奴か⋯⋯」
「⋯⋯守護神が見えるタイプ⋯⋯?」
思えば、あいつに守護神らしき人物はどこにも見当たらない。
少なくても俺は、あいつしか見えなかった
「守護神にはいろいろなタイプが居ます。
そして彼の守護神はきっと、私たちから見えない守護神なんでしょう」
「じゃあ、ミロクは俺意外の奴にも見えるってことか?」
「簡単に言えば、そうですね⋯⋯詳しい事は後から説明します」
「マスター⋯⋯いや、あまね。さっき私があげた魔力で、
自分の身を守ってください。自分を包む程度で十分です」
「わ、分かった⋯⋯!出来る限り、自分を守る」
「こいつ等も、俺と同じか⋯⋯でも俺の邪魔をするなら」
「⋯⋯今、この場で⋯⋯殺すしかないよなぁ⋯⋯?」
次の瞬間、爆発を起こした男の手に⋯⋯小さな火花が飛び交う
「⋯⋯また、爆発を⋯⋯!そうはさせない!」
⋯⋯あまりにも、ミロクの動きは早かった⋯⋯
漫画とか、アニメでしか見たことのない速さ
「⋯⋯ミロク!無理だけはするな!俺はまだ、
ミロクの実力だとかは全然分からないけど」
「無理だけは、絶対にするな!これは命令だ⋯⋯!」
あまねは、ミロクは強さに感心しながらもミロクの心配をする
「⋯⋯分かりました、マスター⋯⋯!」
「⋯⋯目で追えないぐらいの速さだったが⋯⋯
俺の守護神が勝手に守ってくれたぞ?」
⋯⋯相手の守護神が見えないから、
どこにいるのかが分からない⋯⋯!
だけど、爆発の能力だというのは分かる⋯⋯
そしてこの男は目的も何もない、ただのテロ行為!
早急に対処をしなければ、他の人にも被害が⋯⋯!
「せっかく、このつまらない人生を盛り上げてくれる
守護神や能力を手に入れたんだ⋯⋯!奪われるものか!!」
「⋯⋯っく、このままじゃまずい⋯⋯!」
「⋯⋯マスター!全力でジャンプして⋯⋯!!!」
俺が発動した爆発が炸裂したが、
同時にミロクが地面を思いきり殴り、
砕かれた地面が飛び交い、爆発の威力を防いだ
「⋯⋯マスター⋯⋯!怪我はありませんか⋯⋯?」
「あ、あぁ⋯⋯所々爆発のかけらが当たって
血が出てるが⋯⋯守護神やら能力やら、爆発やらの
状況の方が凄すぎて全然痛くねぇぜ⋯⋯」
きっと、あまりにも非現実的な起きすぎて
今の俺の体内でアドレナリンがドバドバ出ているからだろう
でも、俺が守護神⋯⋯ミロクの強さも分かってきた。
相手も爆発の守護神でかなり化け物だが
ミロクも、地面を割って爆発の威力を軽減⋯⋯?という、
超越した力を持っていることが分かった
「⋯⋯っは、強引にでも⋯⋯脳を切り替えないとな⋯⋯」
「マスター!マスターはそのまま、魔力で自分の身を⋯⋯!
まだ何も分かっていない状態ではあまりにも危険ですので!」
「あ、あぁ⋯⋯分かった、ミロク」
「⋯⋯爆発の守護神である、あいつは⋯⋯任せた⋯⋯!」
「⋯⋯はっはっはっ、お前らも大概だな。
俺と同じで、超越した力を持っている」
「まぁ、そのほとんどは⋯⋯守護神の力のおかげ、か」
ゆっくりと、こちらに近づく男⋯⋯まだ何も分からないが、
そのまま野放しにするのはあまりにも危険すぎる
それに⋯⋯今の俺には、守護神であるミロクがいる⋯⋯!
⋯⋯爆発の守護神⋯⋯かなり厄介だけども、
まずはそのマスターであるあの男をどうにかしない限りは⋯⋯
⋯⋯あくまで、俺から見た感じではあるが⋯⋯
多分ミロクは最強の守護神だと俺は思う
そして…⋯相手の爆発の守護神もまぁまぁ強い
でも、姿が見えない⋯⋯それがミロクが手こずっている原因
「⋯⋯って、さっきまでずっと驚いていた自分が
こんなに簡単にこの状況に適応してしまうなんてな⋯⋯」
「あまね、そっちの方がかえって好都合ですから⋯⋯
むしろ速攻で今の状況を理解した者が勝つ、それぐらい重要です」
「まだ守護神が、魅入ったマスターについてから
全然時間が経ってない今」
「⋯⋯一刻も早く、今の状況を理解したものが⋯⋯勝ちます」
「⋯⋯折角、手に入れた力なんだ⋯⋯
今までのつまらない人生全て吹き飛ばすぐらいの力なんだ⋯⋯!」
「そんな力を持って⋯⋯簡単に死ねるわけ無いだろ⋯⋯!」
「私たちの他に、守護神を持つマスターらしき存在はいない⋯⋯
いや、そもそももう死んでいる可能性すらある」
「他の目撃情報がないとするならば⋯⋯
少しだけ実力を出してもいい、か」
「マスター!もう少し魔力をマスターにあげます⋯⋯
ここからはさっきよりも激しい戦いになると思いますので」
「⋯⋯あぁ、今の俺は⋯⋯自分の事を守り、
出来る限りミロクの邪魔をしない⋯⋯それでいいか?」
「⋯⋯さすがは私が魅入った存在⋯⋯あまね⋯⋯」
「お前らを殺して、俺はもっと最高な人生にするんだ⋯⋯!」
「そうはさせない⋯⋯絶対に、私たちが勝つ⋯⋯!」
「⋯⋯うん⋯⋯ううん⋯⋯」
「あ、あともうちょっとだけ⋯⋯寝かせて⋯⋯」
あれ俺一人暮らしだよな?
「⋯⋯え、誰⋯⋯?」
「私は⋯⋯マスターの守護神ですよ」
「⋯⋯守護神⋯⋯?」
「はい!マスターの守護神です!」
「俺がマスター?」
「私のマスターは貴方です!」
「なるほどサッパリ分からん」
「まぁ、最初は⋯⋯マスターのような反応をしますよ」
「まて、待て待て⋯⋯とりあえず、ー旦状況を整理してもいいか?」
「ええ、いいですよ⋯⋯私はマスターの守護神。
マスターの選択、決定権は全て私ではなくマスターなのですから」
⋯⋯これは一体、どうゆうことだ⋯⋯?
っていうかそもそもこれは夢か?現実か?
それに今、目の前にいる子は⋯⋯俺の選択が全て、
みたいな言い方をしていなかったか⋯⋯?
「⋯⋯えっと、まず⋯⋯君は⋯⋯?」
「私はマスターの守護神⋯⋯マスターの言う事は
なんでも聞きます。それが守護神なのですから」
「な、なんでもってことは⋯⋯奴隷、みたいな?」
「まぁ、そうですね⋯⋯ニュアンス的には合ってますけど」
「⋯⋯それで、俺が⋯⋯マスター⋯⋯???」
まだ上手く状況を呑み込めていない⋯⋯
あまりにもいきなりすぎるからだ
「そうです!私のマスターは貴方⋯⋯!」
「⋯⋯えっと、色々聞きたい事があるんだけど⋯⋯
まず、自己紹介から⋯⋯?」
「ほ、ほら⋯⋯最初だし⋯⋯」
正直、聞きたい事は山ほどあった。
なんならまずなんで俺の家にこの子が居るのか。
「それもそうですね⋯⋯マスターの守護神である私の名は、ミロク」
「マスターのお好きなように呼んでくださいね⋯⋯?」
「えっと、じゃあ⋯⋯ミロク。俺の名前は黒神周だ⋯⋯
普通に、あまね、か⋯⋯マスター、どっちでも良い」
「じゃあ、お言葉に甘えて⋯⋯ここはあえて、あまね、と呼びますね」
「そ、そっか⋯⋯それで次に、マスターと守護神について⋯⋯いいか?」
マジでー番の謎はそこだ。とりあえず、
この子の事はなんとなく分かった
名前も、ミロクっていうのは分かった⋯⋯あとは、今さっき聞いたマスターと守護神について
「そうですね⋯⋯あ、今の時間いいですか?」
「え?ま、まぁ⋯⋯え〜っと」
暗い中、時計を確認する
「⋯⋯あ、とりあえず⋯⋯電気つけてもいいか?」
「全部マスターの自由ですので、いいですよ」
ミロクが承諾してくれたので、俺は電気を付ける
「っわ!明るい⋯⋯!意外と明るかった⋯⋯」
「あ、ごめんミロク⋯⋯大丈夫だった⋯⋯?」
「全然大丈夫ですよ⋯⋯っと、時間確認しました?」
「あぁ、そうだった⋯⋯えっと、今は⋯⋯
ちょうど日をまたいだぐらい?」
「えぇ、ですね⋯⋯ちょうど今日、色々な所に守護神が出現しました」
「⋯⋯あ、ミロク以外にも⋯⋯他の守護神が居るってことか?」
「⋯⋯すみません、私もそれもに詳しくは分からないのですが⋯⋯」
「とりあえず、私の持っている今ある情報を全て
マスターに⋯⋯あ。あまねにお伝えしますね⋯⋯!」
「⋯⋯えっと⋯⋯全然俺には敬語じゃなくてもいいからね⋯⋯?
そ、それに守護神だし⋯⋯神が付いているんだから、
逆に俺が敬語で喋らないといけない気が⋯⋯」
「いえいえいえ!マスター⋯⋯!
そんなに自分を下げないでください!」
「立場的には、私よりマスターであるあまねの方が格段に上です!」
「⋯⋯あ、もちろん⋯⋯あまねが敬語をやめろ、という
命令を私に出したら、私はやめますけど⋯⋯」
「⋯⋯あ、いや⋯⋯本当にもう、敬語でもなんでもいいから。
とにかくラフな感じで居てくれたら助かる⋯⋯」
「⋯⋯分かりました。それじゃあ⋯⋯
マスター、は少し堅苦しいので、普通にあまねって呼びますね」
「あ、あぁ⋯⋯助かる」
⋯⋯って、やばい⋯⋯全然本題に入れてない
未だに俺がこの状況を受け入れていないからだ⋯⋯
それに加えて、今さっき俺は起きたばっかり
まだ意識とかがちゃんと覚醒していないのもーつの理由かもしれない
「⋯⋯まず、守護神はマスター―人に対して基本的に―人。
今のあまねと私のような関係がほとんどです」
「次に、守護神は自分が魅入った人物をマスターとして認識します」
「⋯⋯え?じゃあミロクは俺に魅入って⋯⋯
俺をマスターにして、俺の守護神になった。そういうこと?」
「ええ、そういうことですよマスター!
だから私はあまねに対してとても友好的なんです!」
「な、なるほど⋯⋯でも急に、なんで⋯⋯どんな理由が⋯⋯」
ここは現実世界。能力だとかそういう非常識な事は通用しない
⋯⋯そう思っていた時期が、今さっきまで俺にもありました⋯⋯
「守護神には、それぞれの能力があって⋯⋯
例えば炎の能力。氷の能力⋯⋯他にも色々あります。」
「自分、もしくは自身のマスターの身体能力を上げる能力だったり⋯⋯
本当に色々な能力を持っています」
「その言い方からして⋯⋯守護神はかなり居るのか⋯⋯?」
「ええ、そうですね⋯⋯でも、そんな世間には広がりませんよ」
「⋯⋯世間には広がらない⋯⋯?それはー体、どういう⋯⋯」
(ドォーン)
なんだ、このけたたましい爆音は⋯⋯!?
「⋯⋯っぐ、熱い⋯⋯マジで次から次に何だよ⋯⋯!」
「マスター!大丈夫ですか⋯⋯!?」
ミロクが俺を庇って、爆風から守ってくれた⋯⋯
不思議な力かは分からないが、何かに包まれていた
「⋯⋯恐らく、他の守護神の能力⋯⋯!
マスター!ここは危険ですのでー旦離れますよ!」
「わ、分かった⋯⋯!くっそ、まだ何も理解出来ちゃいねぇのに!」
それでも、今ある目の前の状況を信じるほかない⋯⋯
これも守護神の仕業って⋯⋯や、やばすぎるだろ⋯⋯
平凡な日常が壊れる音が、俺には聞こえた。
ー歩間違えれば、死ぬ。そう思った
「マスター!運動神経は良い方ですか!」
「え!?急に何⋯⋯!?い、いやまぁ普通よりは良いけど!」
「ではマスター!私の魔力を与えるのでそれを使ってください!」
「⋯⋯もう何がなんだか分からないけど⋯⋯分かった!」
刹那、あまねの身体をミロクが与えた魔力が包みだす
⋯⋯もう何がなんだか分からないが⋯⋯
ミロクから与えられた魔力。それが俺を包んでいる⋯⋯のか?
だけど、すごく身体が軽い⋯⋯運動神経も良くなった⋯⋯
あまねはダッシュで、その場から離れる⋯⋯
その時のあまねの走る速度は異常なほど早かった
「⋯⋯おいおい、ミロク⋯⋯俺いまめちゃめちゃ早いぞ⋯⋯!」
「そういうものなんです!とりあえず、マスター!
今はこの場から離れますよ⋯⋯!自分の命を守ってください!」
守護神であるミロクからそう言われ、
あまねとミロクは共にその場から離れる
⋯⋯そして、あまねは見る⋯⋯先刻まで、
自分が居た場所が燃え盛っている状況を
「⋯⋯おいおい、マジかよ⋯⋯これは本当に、現実なのか⋯⋯?」
ミロクから魔力を得ていなければ、逃げ遅れて即死⋯⋯
その世界線もあったと考えると、悪寒がする
「⋯⋯もう守護神の能力を操るものが現れた⋯⋯
あまね、気をつけてください⋯⋯」
「もしかしたら⋯⋯そのまま、他の守護神と戦うかもしれません」
「⋯⋯え?おいおい⋯⋯戦う、って⋯⋯戦うってなんだよ⋯⋯」
「この爆発を起こした守護神、加えてその守護神のマスター⋯⋯
その二人と戦う可能性があるってことです」
「⋯⋯おいおいおい待てよミロク⋯⋯俺は戦えないぞ?」
「ミロクからもらった、魔力とやらがあったとしても⋯⋯
さすがにこの規模の出来事をしでかす奴らとは戦えねぇ」
怖気づいてしまうあまね、無理もない。
まだあまねがミロクに起こされて7分しか経っていない
加えて、現実とはあまりにもかけ離れた言葉の羅列。
しかし今の状況は理解より先に身体を動かさなければ、死
⋯⋯しかしここで、あまねの守護神であるミロクが笑う⋯⋯
「大丈夫ですよ、あまね⋯⋯いや、マスター」
「⋯⋯こういう時のための、守護神がいるんですから⋯⋯!」
「⋯⋯ミロクは戦える⋯⋯って、ことなのか?」
「ええ、戦えますよ⋯⋯マスターの指示により、私は働きます」
「そして、マスターを守るためなら命令に背いてまでも
マスターの命の身を守る⋯⋯それが守護神です」
「⋯⋯今は逃げよう、ミロク⋯⋯」
何も理解していない状況で。
戦えると言っているミロクを前にしても
⋯⋯この、燃え盛った俺の家⋯⋯そして、
周りの家も燃え盛っているこの状況を見て⋯⋯戦う気力が起きねぇ
だったらまず、逃げてから冷静に状況や言葉の意味を理解する
「⋯⋯分かりました、マスター⋯⋯私はあまねの守護神。
ならばその命令に従うまでです」
「よ、よし!それじゃあ逃げるぞ⋯⋯!
俺にはまだミロクから貰った魔力はあるよな!?」
「ええ、ありますよ⋯⋯なのでそのまま
この場から離れる事は出来ます!」
(ドォーン)
「⋯⋯って、思ってましたが⋯⋯マスター。
どうやら逃げるのは諦めた方が賢明だと思ます⋯⋯」
ミロクの言葉を聞いて、俺は後ろを見る。
そこに居たのは⋯⋯―人の、影
「⋯⋯あまね。今から私は戦います。⋯⋯ですが、
もしあまねが命の危機になったならば、すぐにあまねを守ります」
「⋯⋯すっげぇ!こんなに爆発でぐちゃぐちゃに
出来るなんて⋯⋯サイコーだな!」
⋯⋯あれが、爆発を起こした守護神のマスター⋯⋯!
見た目は完全に、若い男性って感じだ⋯⋯
「あれ?君⋯⋯っふ、守護神が見えるタイプの奴か⋯⋯」
「⋯⋯守護神が見えるタイプ⋯⋯?」
思えば、あいつに守護神らしき人物はどこにも見当たらない。
少なくても俺は、あいつしか見えなかった
「守護神にはいろいろなタイプが居ます。
そして彼の守護神はきっと、私たちから見えない守護神なんでしょう」
「じゃあ、ミロクは俺意外の奴にも見えるってことか?」
「簡単に言えば、そうですね⋯⋯詳しい事は後から説明します」
「マスター⋯⋯いや、あまね。さっき私があげた魔力で、
自分の身を守ってください。自分を包む程度で十分です」
「わ、分かった⋯⋯!出来る限り、自分を守る」
「こいつ等も、俺と同じか⋯⋯でも俺の邪魔をするなら」
「⋯⋯今、この場で⋯⋯殺すしかないよなぁ⋯⋯?」
次の瞬間、爆発を起こした男の手に⋯⋯小さな火花が飛び交う
「⋯⋯また、爆発を⋯⋯!そうはさせない!」
⋯⋯あまりにも、ミロクの動きは早かった⋯⋯
漫画とか、アニメでしか見たことのない速さ
「⋯⋯ミロク!無理だけはするな!俺はまだ、
ミロクの実力だとかは全然分からないけど」
「無理だけは、絶対にするな!これは命令だ⋯⋯!」
あまねは、ミロクは強さに感心しながらもミロクの心配をする
「⋯⋯分かりました、マスター⋯⋯!」
「⋯⋯目で追えないぐらいの速さだったが⋯⋯
俺の守護神が勝手に守ってくれたぞ?」
⋯⋯相手の守護神が見えないから、
どこにいるのかが分からない⋯⋯!
だけど、爆発の能力だというのは分かる⋯⋯
そしてこの男は目的も何もない、ただのテロ行為!
早急に対処をしなければ、他の人にも被害が⋯⋯!
「せっかく、このつまらない人生を盛り上げてくれる
守護神や能力を手に入れたんだ⋯⋯!奪われるものか!!」
「⋯⋯っく、このままじゃまずい⋯⋯!」
「⋯⋯マスター!全力でジャンプして⋯⋯!!!」
俺が発動した爆発が炸裂したが、
同時にミロクが地面を思いきり殴り、
砕かれた地面が飛び交い、爆発の威力を防いだ
「⋯⋯マスター⋯⋯!怪我はありませんか⋯⋯?」
「あ、あぁ⋯⋯所々爆発のかけらが当たって
血が出てるが⋯⋯守護神やら能力やら、爆発やらの
状況の方が凄すぎて全然痛くねぇぜ⋯⋯」
きっと、あまりにも非現実的な起きすぎて
今の俺の体内でアドレナリンがドバドバ出ているからだろう
でも、俺が守護神⋯⋯ミロクの強さも分かってきた。
相手も爆発の守護神でかなり化け物だが
ミロクも、地面を割って爆発の威力を軽減⋯⋯?という、
超越した力を持っていることが分かった
「⋯⋯っは、強引にでも⋯⋯脳を切り替えないとな⋯⋯」
「マスター!マスターはそのまま、魔力で自分の身を⋯⋯!
まだ何も分かっていない状態ではあまりにも危険ですので!」
「あ、あぁ⋯⋯分かった、ミロク」
「⋯⋯爆発の守護神である、あいつは⋯⋯任せた⋯⋯!」
「⋯⋯はっはっはっ、お前らも大概だな。
俺と同じで、超越した力を持っている」
「まぁ、そのほとんどは⋯⋯守護神の力のおかげ、か」
ゆっくりと、こちらに近づく男⋯⋯まだ何も分からないが、
そのまま野放しにするのはあまりにも危険すぎる
それに⋯⋯今の俺には、守護神であるミロクがいる⋯⋯!
⋯⋯爆発の守護神⋯⋯かなり厄介だけども、
まずはそのマスターであるあの男をどうにかしない限りは⋯⋯
⋯⋯あくまで、俺から見た感じではあるが⋯⋯
多分ミロクは最強の守護神だと俺は思う
そして…⋯相手の爆発の守護神もまぁまぁ強い
でも、姿が見えない⋯⋯それがミロクが手こずっている原因
「⋯⋯って、さっきまでずっと驚いていた自分が
こんなに簡単にこの状況に適応してしまうなんてな⋯⋯」
「あまね、そっちの方がかえって好都合ですから⋯⋯
むしろ速攻で今の状況を理解した者が勝つ、それぐらい重要です」
「まだ守護神が、魅入ったマスターについてから
全然時間が経ってない今」
「⋯⋯一刻も早く、今の状況を理解したものが⋯⋯勝ちます」
「⋯⋯折角、手に入れた力なんだ⋯⋯
今までのつまらない人生全て吹き飛ばすぐらいの力なんだ⋯⋯!」
「そんな力を持って⋯⋯簡単に死ねるわけ無いだろ⋯⋯!」
「私たちの他に、守護神を持つマスターらしき存在はいない⋯⋯
いや、そもそももう死んでいる可能性すらある」
「他の目撃情報がないとするならば⋯⋯
少しだけ実力を出してもいい、か」
「マスター!もう少し魔力をマスターにあげます⋯⋯
ここからはさっきよりも激しい戦いになると思いますので」
「⋯⋯あぁ、今の俺は⋯⋯自分の事を守り、
出来る限りミロクの邪魔をしない⋯⋯それでいいか?」
「⋯⋯さすがは私が魅入った存在⋯⋯あまね⋯⋯」
「お前らを殺して、俺はもっと最高な人生にするんだ⋯⋯!」
「そうはさせない⋯⋯絶対に、私たちが勝つ⋯⋯!」



