◇
食事を終えて、店を出た。
外は、さらに冷え込んでいた。吐く息が真っ白で、頬が冷たい風に撫でられる。
でも、心は温かかった。
「送るよ」
蓮さんが言った。
「いえ、大丈夫です」
「そう言わないで。寒いし」
蓮さんは優しく笑った。
私たちは並んで歩き始めた。
商店街の街灯が、二人の影を長く伸ばす。冷たい空気の中、私たちの吐く息が白く混ざり合う。
しばらく歩いた後、蓮さんが口を開いた。
「和花さんと一緒だと、楽しいな」
その言葉に、私の心臓が跳ねた。
「えっ?」
「あ、いや……変な意味じゃなくて」
蓮さんは少し慌てて言った。
「ただ、和花さんと話してると、心が落ち着くっていうか……香りの話も、面白いし」
「私も……蓮さんと一緒にいるのは楽しいです」
私は少し照れながら答えた。
その言葉を口にした瞬間、自分でも驚いた。
本当に、楽しいと思っている。
蓮さんと一緒にいると、心が温かくなる。
それが、どういうことなのか。
まだ、はっきりとは分からないけれど。
私たちは駅に着いた。
改札の前で、立ち止まる。
「今日は、ありがとうございました」
私は頭を下げた。
「こちらこそ、ありがとう。……また、誘ってもいいかな?」
その言葉に、私は少しドキッとした。
また、二人で……っていう意味でいいのかな。
「……はい」
私は小さく答えた。
「じゃあ、また。気をつけて帰ってね」
蓮さんは手を振った。
「はい、蓮さんも」
私は改札を通って、振り返った。
蓮さんは、まだそこに立って、手を振っていた。
私も小さく手を振り返した。
◇
電車の中で、私は一人、考えていた。
今日の時間。
蓮さんとの会話。
彼の笑顔。
それらが、頭の中をぐるぐると回る。
――これって、何?
友達としての楽しさ?
それとも――。
私は、自分の胸に手を当てた。
心臓が、少し早く打っている。
蓮さんのことを考えると、胸が温かくなる。
彼の笑顔を思い出すと、自然と笑顔になる。
これって――。
私は、少しだけ、自分の気持ちに気づき始めていた。
でも、まだ認めたくない。
怖いから。
また、誰かを好きになって、また傷つけてしまうかもしれない。
そう思うと、怖かった。
でも、結衣さんの言葉が、頭をよぎる。
――勇気を出して、告白して、良かったです。
彼女は、勇気を出した。
じゃあ、私も――?
まだ、分からない。
でも、少しずつ、自分の気持ちと向き合っていこう。
そう思った。
電車の窓から、外を見る。
冬の夜空に、月が輝いていた。
冷たくて、でも美しい光。
私は、その月を見つめながら、深く息を吐いた。
白い息が、窓ガラスを曇らせる。
――ゆっくりでいい。
焦らなくていい。
自分のペースで、前に進もう。
そう、自分に言い聞かせた。
食事を終えて、店を出た。
外は、さらに冷え込んでいた。吐く息が真っ白で、頬が冷たい風に撫でられる。
でも、心は温かかった。
「送るよ」
蓮さんが言った。
「いえ、大丈夫です」
「そう言わないで。寒いし」
蓮さんは優しく笑った。
私たちは並んで歩き始めた。
商店街の街灯が、二人の影を長く伸ばす。冷たい空気の中、私たちの吐く息が白く混ざり合う。
しばらく歩いた後、蓮さんが口を開いた。
「和花さんと一緒だと、楽しいな」
その言葉に、私の心臓が跳ねた。
「えっ?」
「あ、いや……変な意味じゃなくて」
蓮さんは少し慌てて言った。
「ただ、和花さんと話してると、心が落ち着くっていうか……香りの話も、面白いし」
「私も……蓮さんと一緒にいるのは楽しいです」
私は少し照れながら答えた。
その言葉を口にした瞬間、自分でも驚いた。
本当に、楽しいと思っている。
蓮さんと一緒にいると、心が温かくなる。
それが、どういうことなのか。
まだ、はっきりとは分からないけれど。
私たちは駅に着いた。
改札の前で、立ち止まる。
「今日は、ありがとうございました」
私は頭を下げた。
「こちらこそ、ありがとう。……また、誘ってもいいかな?」
その言葉に、私は少しドキッとした。
また、二人で……っていう意味でいいのかな。
「……はい」
私は小さく答えた。
「じゃあ、また。気をつけて帰ってね」
蓮さんは手を振った。
「はい、蓮さんも」
私は改札を通って、振り返った。
蓮さんは、まだそこに立って、手を振っていた。
私も小さく手を振り返した。
◇
電車の中で、私は一人、考えていた。
今日の時間。
蓮さんとの会話。
彼の笑顔。
それらが、頭の中をぐるぐると回る。
――これって、何?
友達としての楽しさ?
それとも――。
私は、自分の胸に手を当てた。
心臓が、少し早く打っている。
蓮さんのことを考えると、胸が温かくなる。
彼の笑顔を思い出すと、自然と笑顔になる。
これって――。
私は、少しだけ、自分の気持ちに気づき始めていた。
でも、まだ認めたくない。
怖いから。
また、誰かを好きになって、また傷つけてしまうかもしれない。
そう思うと、怖かった。
でも、結衣さんの言葉が、頭をよぎる。
――勇気を出して、告白して、良かったです。
彼女は、勇気を出した。
じゃあ、私も――?
まだ、分からない。
でも、少しずつ、自分の気持ちと向き合っていこう。
そう思った。
電車の窓から、外を見る。
冬の夜空に、月が輝いていた。
冷たくて、でも美しい光。
私は、その月を見つめながら、深く息を吐いた。
白い息が、窓ガラスを曇らせる。
――ゆっくりでいい。
焦らなくていい。
自分のペースで、前に進もう。
そう、自分に言い聞かせた。

