あれは、僕の十二歳の誕生日の日だった。

 僕が寝ていると、誰かが僕の寝床に来た。
 その誰かは僕の寝床に入ってきて、寝ている僕のズボンを脱がす。

 誰かの頭が、僕の腰の上で動いていた。
 その人は、僕の手を握ってきた。

 そして、僕の反応を確かめながら、ゆっくりとその人は僕の身体の上に乗っかってきた。
 僕は寝たフリをしながら、薄目を開けて、その人の顔を見た。

 そこには僕の見知った顔があった。

 ……母さんだった。

 僕は、薄目のまま、母さんの大きな胸が上下に揺れているのを眺めていた。

 しばらく上下に動いた母さんは、僕の唇にキスをしてきた。

 そして、今度は僕に身体を密着させてきた。

 母さんの大きな胸が、僕の顔の上に乗っかってきた。

 そのまま、母さんは前後に動いてきた。
 僕はそこで耐えきれずに、母さんの────。

 その日から毎日、同じ時間に母さんが僕の寝床にやってくるようになった。

 母さんは、寝たフリをした僕のズボンを脱がして、身体の上に乗っかってくる。

「アキ、アキ。あなたは私が必ずもう一度産んであげますからね」

 母さんは僕の上に乗っかるたびに同じセリフを僕にささやく。

 僕は寝たフリをしながら、上下に大きく揺れる母さんの胸を見つめていた。

 自分の母さんとこういうことをするのはいけないことだとわかっていた。
 けれど、この時の僕には、それを止めることは出来なかった。

 母さんは、僕との行為が終わったあと、何故か哀しそうな顔をしながら、僕の唇にキスをした。
 その顔を見るのが、僕はたまらなく辛かったんだ。