ナツの二の十五。

 その日。
 僕の住んでいた里は真っ赤に燃えていた。
 僕の家族も、僕の友達も、みんなみんな
 炎の中に消えていった……。
 そして僕も、みんなの待っている、炎の中へと入っていった……。

◇◇◇

 僕はなんで生まれてきたんだろう。
 あの人に会うため?
 あの人を導いてこの世界を壊してもらうため?

◇◇◇

 里のみんなは、僕に優しくしてくれた。
 だけど、何故かみんな、哀しげな顔をしていたんだ。

◇◇◇ 

 寝ている僕の上に、また●●●が乗っかってきた。
 僕がいなくなるのが怖いみたい。
 だから、もう一人の僕が欲しいんだって。

◇◇◇

 僕はずっと男の子だと思っていた。
 僕は女の子とは違う。
 だから、僕は男の子だ。
 男の子のはずだった──。
 だけど、本当の僕は──。

◇◇◇

「ねえ、キスって知ってる?」

「知ってるよ、姉様が教えてくれたから」

「じゃあ、これは?」

「何これ?」

「大人はこうやってキスするんだって」

「ママが教えてくれたの」

「そしてね……」

「これ、すごく気持ちいい。けど、どうしたの?」

「ママが、言ってたの。君がもうすぐ●●になるって。そしたら私、もう君に会えなくなるでしょ?そんなの絶対にやだから……」

「私のお腹の中に、君と一緒にいた証を残すの」

◇◇◇

 その日も、僕の住んでいる里には、青い花が咲き乱れていた。