私は家へと戻り、母に血を拭いてもらった。
「1人で突っ込んで行くんじゃありません。危ないでしょ。」
「おっしゃる通りです」
私はあの時の竜胆様の顔を思い出してぐふふと笑いながら答えた。
「なぁに笑ってるんですか」
母は呆れた顔で私を見た。
「だって母さん!竜胆様格好よくなかった!?あぁ、もう一度会いたいものだなぁー」
母は一つため息をついて
「夢見るんじゃないよ」
と言った。母さんは毎回こうだ、私があそこの町人さん「格好良い!」と言った時も同じ事を言っていた。
(でもやっぱりほんとうに格好良かったなぁー。また会いたいものだなぁー。)
その時、
「花ー!」
と言う声が聞こえた。私は慌ててその声の方を見た。
「夢ー!」
私と大きな声で、そう呼んだ、夢は私のお友達。
本当はさっき夢の家に向かっていたのだ。
「花!さっき見てたよ!花格好良かったー!」
私はそう聞いて「そう?」とぐふふと笑いながら言った。
「でもさ、左近堂様格好良かったよねー!」
「ねぇー。いいもん見せてくれてありがとー」
私はまたぐふふと笑った。
「あぁもう一度竜胆様に会いたいなー。いっそのこと城に乗り込もうかなぁー?」
「はぁ!?花、今自分がなんて言ったかわかってんの⁉︎」
「わかってるよー。だってあいたいんだもの♡」
私はほおを赤くして言った。
「照れてんじゃないよ」
そう言って私の頭を叩いた。
「でも私半分本気よ。あんなに格好良い人二度と会えないわ!私、明日家を出て会いに行くわ!」
「花殺されたいの!?花、しっかり考えなよ。」
「わかった。母さんに許可もらってくるー!」
そう言って私は家まで走り出した。
「もういいや」
夢はそう呟いて帰って言った。