【青春BL】秘密のリレー小説の中では甘いふたり

 恋人として付き合い始めてから時は過ぎ、息が白くなる季節が来た。昼休み、自分の席に新木が来た。自分は立ち上がり、新木を自分の席に座らせた。

「中島と俺は、小説みたいに過去に出会ってたのか?」
「いや、出会ってない。あれは完全な妄想だ」

 共に過ごすようになってから、 新木について知ろうと、日々こちらから探りを入れていた。だが今日は新木から問われた。普段受け身な新木から質問されたものだから、次はどんな質問が来るのかと、思わず身を乗り出す。

「そっか、何で俺なんかのことを好きになったのかなって思ってさ」

 目を泳がせながら問う新木。

「好きになった理由か……気がついたら、と言いたいところだが、きっかけは、自分がした注意に反応してくれたから、だな」

 言葉に反応した荒木はパッと視線を合わせてきた。

「反応? イラッとした態度とってしまった時か?」
「そうだ」

 新木は斜め上を向きながら、何か考えている。当時を思い出しているのか?

「あの時は、あんな態度をとってしまって、本当にごめん……」

「いや、謝らなくてもいい……他の生徒は聞き流していたのに、新木だけは反応してくれていた。反応してくれたということは、心の中に自分の言葉が引っかかったということだ。元々可愛いなとは思っていたが、その時に不思議な気分になった。その感情について分析していくうちに、新木に対しての気持ちが恋だという答えにたどり着いた」

 その日から新木を強く意識するようになり、気がつけば新木を目で追うようになっていた。

「そうやって細かく分析できるの、すごいな!」

 感情を表に出すのは難しい。だけど、新木が目を輝かせて褒めてくると、誇らしさで胸がいっぱいになる。そして勝手に頬がほころぶ。つられるように新木も笑顔を見せてくれていた。他の誰にも見せない真実の笑顔を、自分にだけ見せてもらえるのが嬉しい。

 新木にはまだまだ恥ずかしくて伝えられていないことが沢山ある。例えば、今イラッとした態度について謝られたが、怒った時の表情も愛おしいということ。新木に関しては、全ての表情が愛おしい。他にも伝えたいことは、色々ある。

 実は、小説は完結したが、番外編も書きたい。現実では上手く伝えられないことを書き、新木に伝えたい。でもそれは、後に、喧嘩などをした時の方が、良いのだろうか。

 今は、現実で新木と日々充実した生活を過ごせたら良い。

「饅頭、食べるか?」
「食べる。い、いつもありがと……!」


 うちの店で作っている饅頭を新木に渡すと、一緒に食べた。