(大吉創……)
 どこかで聞いたことがあるような響き。
 見た目は覚えていないからわからないけど、誰かの兄弟か親戚か?
 中学生の頃ではない気がする。
 とすると、小学生の時か……?
 あんなガタイのいいヤツいたか?

「うーん……」
 腰をひねりながら思い出そうと必死に頭をフル回転させる。
 俺がアイツのことが気に食わないのは、あの顔面偏差値の高さだけじゃない。
 背も高くてガッシリとした体格の良さもある。
 羨ましい。全部持っていて妬ましかった。
 そんなヤツが平凡な俺に話しかけんなよって思った。

「あーもう! なんなんだよ!」
 準備体操を終えて、カゴに入っていたボールを1つ取って、バシン、バシン、と床に叩きつける。
 ジャンプサーブの精度を高めるために陰ながら練習していた。
 今日はとことん練習してやる。

 何度も何度も何度も。
 カゴの中のボールが無くなったら、反対側に行ってボールを拾ってカゴに入れて、またサーブを打つ。
 それを繰り返す。
 満足がいくまで、何度も何度も何度も──