「大吉は……」

 ふと俺は、コイツ─大吉創─のことをなんと呼べばいいかわからなくなった。

「創って、呼んでください」
「創……はさ」
「はい」

 なんだか照れくさい。
 スっと通る高い鼻筋に柔らかい夕陽が当たって影を落とす。

「今も絵描くの、好き?」
「はい。好きです」
「……っ!」

 即答するその声に迷いはなかった。
 真っ直ぐで力強い。今までどれほど描くことをしてきたのかが伝わってくる。そんな気がした。

「描くことが好きでいろんなものを描いてきました。風景、人、建物……想像上のものを描くこともありました。コンテストで賞をもらうことも増えましたが、満足はできませんでした」

 努力をしている感覚もなく、ただひたすら心のままに筆を動かしていたのだろう。
 俺とはまた違ったタイプの人間だ。