「役に立つだけで側にいてくれる人なら楽だったのにね。中々思うように俺を使ってはくれないよ。
っていうか、そもそもその心配って、どうして俺に対してするの?────で、その後に何がつくの?」
「え……?」
光輝はまるで普通の世間話でもするかの様に軽い感じで、花園さんに質問した。
花園さんはその瞬間、顔を赤らめモジモジしながらそれに答える。
「それは日野君が、大事な友達だからだよ。だから、目を覚まして欲しい。
ちゃんと目を見開いて、『正しい』選択をして欲しい、そう思ってる。」
花園さんが最後はしっかり光輝を見つけ返してそう言うと、周りの男子生徒達はウルッとしていたが……なんと光輝は、大爆笑した!
「ハ……ハハッ……アハハハハハッ!!フッ……クックッ……ちょっ……ちょっと待って……クっ……ハハハハッ〜!!!」
「こ、光輝?おま、どうしたんだよ……。」
心底楽しそうに笑うのは大変良い事だと思うが、ちょっと今の会話で何が楽しかったのか分からず困惑してしまう。
勿論、花園さんも他の人達も全員がキョトンだ。
オロオロしながら光輝の背中を擦っていると、光輝は俺の腕を掴んで自分の後ろに回し、顔を歪めて笑いながらとても冷たい目で花園さん達を見つめた。
「ねぇねぇ、その心配って凄く利己的で傲慢なモノだよね!
だって自分がしたことに対して、相手が変わるべきだって言ってるんだもん!
アンタは分かりやすく俺にその『心配』とやらを渡して、両手を見せて待っているわけだ。
俺が自分の思い通りの存在になることを。
それってお金を払って同価値のモノを手に入れるのとどう違うの?────気持ち悪い。」
「な、な、な……??」
また笑いだした光輝を前に、なんだか男子生徒達はとても不気味な物を見るかの様に光輝を見た。
その目には明らかに怯えもあったが、それでも花園さんを守るためか、光輝に対して言い返す。
「は、花園さんは間違ってないだろう!なんでそんな歪んだ解釈をするんだ!」
「そ、そうだぞ!日野、お前はそんな話が通じないヤツじゃないだろう?
もう止めて、ちゃんと普通になれよ。誰もそんな見返りみたいな物を相手に求めてないから。」
「そんなゲームの世界の遊びなんて止めて、『正しい』学校生活をしろって。その方が絶対楽しいから。」
特進クラスの奴らがそう口々に言うと、光輝は突然笑いを止めて無表情でソイツらを見つめ返した。
「俺はアンタらが御大層に語る『正義』に殺されるはずだった。」
「……その『正義』ってね、怖いモノなんだよ?
だってそれに合わない部分が少しでもあったら、殺されるんだから。」
「そう考えると、とっても怖い世界だよね、その場所って。
俺は、そんな『正義』を妄信的に信じて従わせようとする場所より、自分をありのまま受け入れてくれたココがいい。
誰にも自分の『正義』を強制しない、ただ純粋にそれを探して進み続ける魔王様にずっとついていきたいんだ。
死ぬまで一緒に戦った不死の騎士団長と同じ様に。」
べらべらと語られる光輝の話に驚いて、俺も他の人達も言葉なく立ち尽くしている。
「……?光輝??」
俺の腕を掴んでいる手に力が入ったのを感じ、ちょっと驚いてしまう。
なんだかよく分からないが、光輝には光輝なりに悪役に憧れる何かがあるらしい。
んん〜……まっ、いっか!
ムフー!と鼻息荒く吐き出し、ヒーローサイドへ指を指した。
「(よく分からないけど)そういう事だ!よってこの俺の大事な相棒は、ヒロインにはあげないぞ!
もしどうしても欲しいっていうなら、ちゃんと嘘つくのとかは止めて────……。」
『ちゃんとした清純派ヒロインになってから出直してこい!この闇落ちヒロインめ!』……と言おうとしたのに、花園さんは俺を一切無視してポロポロと泣き出した。
その涙は、まるで宝石の様に輝き、皆の憐憫を誘う。
「私は日野君に対して、そんな酷い事考えてない!本心で助けたい、苦しんでいるなら一緒にその辛いのを分かち合いたいって思ってる。
黒井君の歪んだ友情は、本当の友情じゃない。私達は本当に日野君を心配してこれから助けになりたいって思ってるんだよ!そうだよね!皆!」
花園さんが後ろにいる他の女性参加者達に視線を向けると、その子たちも日野さんと同じ様に涙目で頷いた。
「そうだよ!私も日野君の将来が心配だよ。沢山の人と話したり、色んな場所に行ったりして、広い世界に目を向けようよ!」
「私達がその手伝いができたら……。」
「全然邪な気持ちなんてないから安心して!力になれると思うよ!」
一斉にそう言われた光輝はいう、ふ〜ん?と今度は何かを考えている様に中央にある巨大スクリーンへと視線を向ける。
そして、またしても俺(魔王役)がふっとばされるくらい凶悪な笑みを浮かべた。
「へぇ〜そう。じゃあ、これから楽しい楽しい映像タイムにしよっか?国丸さん、紗良さん、お願いします。」
光輝が今度は舞台の端の方へ合図を送ると、いつの間にかスクリーンに繋がっているケーブルの先に国丸さんと紗良さんがいて……何かのスイッチを操作する。
すると、パッ!とスクリーンがつき、全員がそれに注目する中、まず映ったのは、花園さんとバスケ部のマネージャー達がファミレスかどこかで喋っている映像だった。
《マジあの黒井とかいうクソ陰キャうぜぇ〜!あいつのせいで日野君に近づけないんだけど〜!》
いつもの清楚さはどこへやら。
非常にガラが悪い態度で舌打ちをする花園さん。
これだけでも固まるのに、他のマネージャー達も全員が同じ様に舌打ちしたり顔を歪めたりして愚痴を吐き出す。
《せっかくバスケ部マネ候補者達脅して入ったのに、これじゃあ意味ないじゃ〜ん。日野君に近づけな〜い。》
《だよね〜。なんでウチらが、あんな他のイモ臭いブサイク三軍部員共の洗濯とか雑用もしねぇといけねぇんだよ。きもっ!》
《やっぱり一人か二人くらい、大人しくて文句言わない女子マネいれない?
ソイツらに仕事全部押し付けて、脅しとけば大丈夫っしょ〜。》
っていうか、そもそもその心配って、どうして俺に対してするの?────で、その後に何がつくの?」
「え……?」
光輝はまるで普通の世間話でもするかの様に軽い感じで、花園さんに質問した。
花園さんはその瞬間、顔を赤らめモジモジしながらそれに答える。
「それは日野君が、大事な友達だからだよ。だから、目を覚まして欲しい。
ちゃんと目を見開いて、『正しい』選択をして欲しい、そう思ってる。」
花園さんが最後はしっかり光輝を見つけ返してそう言うと、周りの男子生徒達はウルッとしていたが……なんと光輝は、大爆笑した!
「ハ……ハハッ……アハハハハハッ!!フッ……クックッ……ちょっ……ちょっと待って……クっ……ハハハハッ〜!!!」
「こ、光輝?おま、どうしたんだよ……。」
心底楽しそうに笑うのは大変良い事だと思うが、ちょっと今の会話で何が楽しかったのか分からず困惑してしまう。
勿論、花園さんも他の人達も全員がキョトンだ。
オロオロしながら光輝の背中を擦っていると、光輝は俺の腕を掴んで自分の後ろに回し、顔を歪めて笑いながらとても冷たい目で花園さん達を見つめた。
「ねぇねぇ、その心配って凄く利己的で傲慢なモノだよね!
だって自分がしたことに対して、相手が変わるべきだって言ってるんだもん!
アンタは分かりやすく俺にその『心配』とやらを渡して、両手を見せて待っているわけだ。
俺が自分の思い通りの存在になることを。
それってお金を払って同価値のモノを手に入れるのとどう違うの?────気持ち悪い。」
「な、な、な……??」
また笑いだした光輝を前に、なんだか男子生徒達はとても不気味な物を見るかの様に光輝を見た。
その目には明らかに怯えもあったが、それでも花園さんを守るためか、光輝に対して言い返す。
「は、花園さんは間違ってないだろう!なんでそんな歪んだ解釈をするんだ!」
「そ、そうだぞ!日野、お前はそんな話が通じないヤツじゃないだろう?
もう止めて、ちゃんと普通になれよ。誰もそんな見返りみたいな物を相手に求めてないから。」
「そんなゲームの世界の遊びなんて止めて、『正しい』学校生活をしろって。その方が絶対楽しいから。」
特進クラスの奴らがそう口々に言うと、光輝は突然笑いを止めて無表情でソイツらを見つめ返した。
「俺はアンタらが御大層に語る『正義』に殺されるはずだった。」
「……その『正義』ってね、怖いモノなんだよ?
だってそれに合わない部分が少しでもあったら、殺されるんだから。」
「そう考えると、とっても怖い世界だよね、その場所って。
俺は、そんな『正義』を妄信的に信じて従わせようとする場所より、自分をありのまま受け入れてくれたココがいい。
誰にも自分の『正義』を強制しない、ただ純粋にそれを探して進み続ける魔王様にずっとついていきたいんだ。
死ぬまで一緒に戦った不死の騎士団長と同じ様に。」
べらべらと語られる光輝の話に驚いて、俺も他の人達も言葉なく立ち尽くしている。
「……?光輝??」
俺の腕を掴んでいる手に力が入ったのを感じ、ちょっと驚いてしまう。
なんだかよく分からないが、光輝には光輝なりに悪役に憧れる何かがあるらしい。
んん〜……まっ、いっか!
ムフー!と鼻息荒く吐き出し、ヒーローサイドへ指を指した。
「(よく分からないけど)そういう事だ!よってこの俺の大事な相棒は、ヒロインにはあげないぞ!
もしどうしても欲しいっていうなら、ちゃんと嘘つくのとかは止めて────……。」
『ちゃんとした清純派ヒロインになってから出直してこい!この闇落ちヒロインめ!』……と言おうとしたのに、花園さんは俺を一切無視してポロポロと泣き出した。
その涙は、まるで宝石の様に輝き、皆の憐憫を誘う。
「私は日野君に対して、そんな酷い事考えてない!本心で助けたい、苦しんでいるなら一緒にその辛いのを分かち合いたいって思ってる。
黒井君の歪んだ友情は、本当の友情じゃない。私達は本当に日野君を心配してこれから助けになりたいって思ってるんだよ!そうだよね!皆!」
花園さんが後ろにいる他の女性参加者達に視線を向けると、その子たちも日野さんと同じ様に涙目で頷いた。
「そうだよ!私も日野君の将来が心配だよ。沢山の人と話したり、色んな場所に行ったりして、広い世界に目を向けようよ!」
「私達がその手伝いができたら……。」
「全然邪な気持ちなんてないから安心して!力になれると思うよ!」
一斉にそう言われた光輝はいう、ふ〜ん?と今度は何かを考えている様に中央にある巨大スクリーンへと視線を向ける。
そして、またしても俺(魔王役)がふっとばされるくらい凶悪な笑みを浮かべた。
「へぇ〜そう。じゃあ、これから楽しい楽しい映像タイムにしよっか?国丸さん、紗良さん、お願いします。」
光輝が今度は舞台の端の方へ合図を送ると、いつの間にかスクリーンに繋がっているケーブルの先に国丸さんと紗良さんがいて……何かのスイッチを操作する。
すると、パッ!とスクリーンがつき、全員がそれに注目する中、まず映ったのは、花園さんとバスケ部のマネージャー達がファミレスかどこかで喋っている映像だった。
《マジあの黒井とかいうクソ陰キャうぜぇ〜!あいつのせいで日野君に近づけないんだけど〜!》
いつもの清楚さはどこへやら。
非常にガラが悪い態度で舌打ちをする花園さん。
これだけでも固まるのに、他のマネージャー達も全員が同じ様に舌打ちしたり顔を歪めたりして愚痴を吐き出す。
《せっかくバスケ部マネ候補者達脅して入ったのに、これじゃあ意味ないじゃ〜ん。日野君に近づけな〜い。》
《だよね〜。なんでウチらが、あんな他のイモ臭いブサイク三軍部員共の洗濯とか雑用もしねぇといけねぇんだよ。きもっ!》
《やっぱり一人か二人くらい、大人しくて文句言わない女子マネいれない?
ソイツらに仕事全部押し付けて、脅しとけば大丈夫っしょ〜。》

