「それでは次にミスの発表をします。女子生徒の方は多少票が分かれたものの、圧倒的な数の票を集めての優勝だった。
今年のミスは────<花園 凛>だ!おめでとう!」
『ワッ!!!』その瞬間、光輝の時と同じ様に割れるような歓声が上がり、花園さんは口元を両手で押さえて、目を潤ませていた。
「え……嘘……本当に私が優勝……?」
花園さんは信じられない!と言わんばかりの顔をしていて、泣きそうになりながらトロフィーを受け取り、ティアラを頭に載せられている。
「……結局こうなったか。仕方ないとはいえ、胸糞〜。」
中野がチェッ!と舌打ちしながら、やる気のない拍手をしていたので、俺も拍手をしながら複雑な気持ちでその姿を見ていた。
舞台の中央に並んで立たされた光輝と花園さん。
二人が並んでいるのを見ていると、まるでゲームの中でハッピーエンドを迎えた主人公とブレイド王子様そのものに見えて、心中は複雑であった。
光輝はこうして輝いている広い広い世界へ飛び立っていくんだ。これはいつかは来る事なんだから仕方ない。
まだ飛び立てない自分を振り返る事なく飛んでいってしまった光輝を想像すると、チクチクと心は痛むが、必死にそれを我慢して二入を見つめた。
そうして舞台の上の二人には夢の国のペアチケットとディナーチケットが渡され、更に沢山の拍手と歓声を浴びる中……マイクを持った紗良さんが光輝へと近づく。
「おめでとうございます!それでは、優勝したミスターから一言どうぞ!」
光輝はニコッと爽やかな笑みを浮かべて、トロフィーを上に持ち上げると────……突然手を離した。
────ガシャンッ!!!
大きな落下音が体育館内に響くと、全員が動きを止めて、体育館内は静寂に包まれる。
シ〜ン……。
静まり返る体育館の中、光輝は……ニヤッとダークサイド満載の笑みを浮かべた。
「制圧完了。これで俺はこの学校の一番になった。誰もが認める一番に。
────フッ、簡単だったな、世界征服の一歩は。」
「……はっ?え、ひ、日野君……??」
突然不穏な空気を醸し出す光輝に、隣にいる花園さんは勿論、他の参加者や俺もビックリだ!
固まる周囲をものともせず、光輝は渡された夢の国のペアチケットを花園さんに投げてよこし、俺の方へ視線を向けた。
「はぁ、面倒くさかった。こんな茶番に時間を取られてウンザリしたよ。
でも、これで俺は誰にも認められる一番を取ったよ。少なくともこの学校は征服したって事でいいでしょ?あ〜疲れた。」
「は、は、はぁ?……えっ……はぁぁぁ???」
心底面倒くさそうに肩を揉む光輝は、どうみてもキラキラ王子様には見えなくて、寧ろ恐怖を振りまく魔王様の様にも見える。
白目を剥いて固まる俺をよそに、花園さんが叫んだ。
「日野君、ねぇ、どうしちゃったの?突然そんな事……。いつも優しい日野君がこんな事言うわけない。もしかして黒井君にそう言えって脅されているの?」
勇敢に立ち向かうヒロインの様に、凛とした姿勢で立って、光輝に詰め寄る花園さん。
そして最後に俺の方を指差すと、まるでモーゼの杖の様に俺の前にいた人達は避けてしまい、舞台までの道ができる。
何事……??
頭が酷く混乱している俺が立ち尽くしていると、光輝も言っている意味が分からないといった様子で首をコテンと横に倒した。
「優しい?俺、優しくないけど。
だって俺は、魔王様に従う最強の四天王、死者を操る不死の騎士団長だから。
俺は、死ぬまでそう在り続けるよ。一生ね。
だから影太と俺は一生を共にする仲間。脅されるって何?」
真剣な顔でそう言い切る光輝に、花園さんは一瞬言葉を失ったが、直ぐに復活して光輝に向かって必死に訴える。
「それって昔流行ったゲームのキャラだよね?しかも悪役だよ、それ。
悪いヤツなの。そんな人になろうとしたら駄目だよ。
それを止めるのが本当の友達で、少なくともそんなモノに付き合わせるのは、日野君の事が大事じゃないからだと思う。
そっか……そう言って光輝君を洗脳していたんだ、黒井君は。酷い……。」
キッ!と花園さんは俺を睨みつけ、更に周りで傍観していた生徒たち全員が俺を、非難する様な目で見てきたが────そんな事はどうでも良かった。
それより、光輝がまだ俺とずっといたいと思っていてくれるのが嬉しかったから!
「へ……ヘヘッ、俺は無敵の魔王様。
正義を掲げるヒーロー達に立ち塞がる存在で……光輝は最後まで一緒に戦い抜いてくれた俺の相棒、不死の騎士団長。」
自然とニヤついていく顔は止められず、まだまだ光輝と一緒に馬鹿やれるのが嬉しいと思った。
きっといつかは別々の道を行くかもしれないし、新しい友だちや彼女ができたりして、アホみたいなこの関係を切りたいと思うかもしれない。
だけど、今はまだ二人で目一杯楽しみたい!
「お、おい……黒井〜……。」
隣にいる中野が、オドオドしながら周囲を見ていたが、俺は堪らず走り出した。
目指すは悪役が最高に輝ける場所!
俺の相棒が『正義』を叫ぶヒーローサイドと戦っている場所だ。
「ハッハッハ〜!よくやった!我が右腕の光輝よ!
この学校は、俺達が制圧した!
俺達の勝ち!ザマァ見ろ!キラキラヒーロー共め!」
調子に乗って舞台に上がった俺を、花園さんが睨みつけると舞台裏からさっき文句を言いに来た特進クラスの先輩達が出てきた。
「ふっざけんじゃねぇぞ!大会を邪魔しやがって一体何のつもりだ!!
これはな、皆で用意して皆で楽しみにしていたイベントだったんだぞ!!お前一人のせいで台無しだ!!
日野!お前もいい加減、そんなヤツとつるむのは止めろよ!こんなにも花園さんが心配してくれているのに!!」
「そうだそうだ!お前の事を心から心配して考えてくれているのは、花園さんの方じゃん!
花園さんの言う通り、ちゃんとお前の事を友だちだと思っているなら、そんな手下みたいな関係を迫ったりするもんか!」
「お前、良いように使われてるだけなんだよ。なんでもやってくれて役に立つから。
黒井もそう言ってたらしいぞ!そんなヤツの側で利用され続けていいわけ!?
役に立つ立たないで、自分の側に置くヤツを選んでいるとか最低じゃん。それって友達なんて言わねぇよ。」
ガーガーと怒り丸出しで俺に怒鳴る特進クラスの奴らを前に、反論してやろうとする前に────光輝がフッと鼻で笑う。
今年のミスは────<花園 凛>だ!おめでとう!」
『ワッ!!!』その瞬間、光輝の時と同じ様に割れるような歓声が上がり、花園さんは口元を両手で押さえて、目を潤ませていた。
「え……嘘……本当に私が優勝……?」
花園さんは信じられない!と言わんばかりの顔をしていて、泣きそうになりながらトロフィーを受け取り、ティアラを頭に載せられている。
「……結局こうなったか。仕方ないとはいえ、胸糞〜。」
中野がチェッ!と舌打ちしながら、やる気のない拍手をしていたので、俺も拍手をしながら複雑な気持ちでその姿を見ていた。
舞台の中央に並んで立たされた光輝と花園さん。
二人が並んでいるのを見ていると、まるでゲームの中でハッピーエンドを迎えた主人公とブレイド王子様そのものに見えて、心中は複雑であった。
光輝はこうして輝いている広い広い世界へ飛び立っていくんだ。これはいつかは来る事なんだから仕方ない。
まだ飛び立てない自分を振り返る事なく飛んでいってしまった光輝を想像すると、チクチクと心は痛むが、必死にそれを我慢して二入を見つめた。
そうして舞台の上の二人には夢の国のペアチケットとディナーチケットが渡され、更に沢山の拍手と歓声を浴びる中……マイクを持った紗良さんが光輝へと近づく。
「おめでとうございます!それでは、優勝したミスターから一言どうぞ!」
光輝はニコッと爽やかな笑みを浮かべて、トロフィーを上に持ち上げると────……突然手を離した。
────ガシャンッ!!!
大きな落下音が体育館内に響くと、全員が動きを止めて、体育館内は静寂に包まれる。
シ〜ン……。
静まり返る体育館の中、光輝は……ニヤッとダークサイド満載の笑みを浮かべた。
「制圧完了。これで俺はこの学校の一番になった。誰もが認める一番に。
────フッ、簡単だったな、世界征服の一歩は。」
「……はっ?え、ひ、日野君……??」
突然不穏な空気を醸し出す光輝に、隣にいる花園さんは勿論、他の参加者や俺もビックリだ!
固まる周囲をものともせず、光輝は渡された夢の国のペアチケットを花園さんに投げてよこし、俺の方へ視線を向けた。
「はぁ、面倒くさかった。こんな茶番に時間を取られてウンザリしたよ。
でも、これで俺は誰にも認められる一番を取ったよ。少なくともこの学校は征服したって事でいいでしょ?あ〜疲れた。」
「は、は、はぁ?……えっ……はぁぁぁ???」
心底面倒くさそうに肩を揉む光輝は、どうみてもキラキラ王子様には見えなくて、寧ろ恐怖を振りまく魔王様の様にも見える。
白目を剥いて固まる俺をよそに、花園さんが叫んだ。
「日野君、ねぇ、どうしちゃったの?突然そんな事……。いつも優しい日野君がこんな事言うわけない。もしかして黒井君にそう言えって脅されているの?」
勇敢に立ち向かうヒロインの様に、凛とした姿勢で立って、光輝に詰め寄る花園さん。
そして最後に俺の方を指差すと、まるでモーゼの杖の様に俺の前にいた人達は避けてしまい、舞台までの道ができる。
何事……??
頭が酷く混乱している俺が立ち尽くしていると、光輝も言っている意味が分からないといった様子で首をコテンと横に倒した。
「優しい?俺、優しくないけど。
だって俺は、魔王様に従う最強の四天王、死者を操る不死の騎士団長だから。
俺は、死ぬまでそう在り続けるよ。一生ね。
だから影太と俺は一生を共にする仲間。脅されるって何?」
真剣な顔でそう言い切る光輝に、花園さんは一瞬言葉を失ったが、直ぐに復活して光輝に向かって必死に訴える。
「それって昔流行ったゲームのキャラだよね?しかも悪役だよ、それ。
悪いヤツなの。そんな人になろうとしたら駄目だよ。
それを止めるのが本当の友達で、少なくともそんなモノに付き合わせるのは、日野君の事が大事じゃないからだと思う。
そっか……そう言って光輝君を洗脳していたんだ、黒井君は。酷い……。」
キッ!と花園さんは俺を睨みつけ、更に周りで傍観していた生徒たち全員が俺を、非難する様な目で見てきたが────そんな事はどうでも良かった。
それより、光輝がまだ俺とずっといたいと思っていてくれるのが嬉しかったから!
「へ……ヘヘッ、俺は無敵の魔王様。
正義を掲げるヒーロー達に立ち塞がる存在で……光輝は最後まで一緒に戦い抜いてくれた俺の相棒、不死の騎士団長。」
自然とニヤついていく顔は止められず、まだまだ光輝と一緒に馬鹿やれるのが嬉しいと思った。
きっといつかは別々の道を行くかもしれないし、新しい友だちや彼女ができたりして、アホみたいなこの関係を切りたいと思うかもしれない。
だけど、今はまだ二人で目一杯楽しみたい!
「お、おい……黒井〜……。」
隣にいる中野が、オドオドしながら周囲を見ていたが、俺は堪らず走り出した。
目指すは悪役が最高に輝ける場所!
俺の相棒が『正義』を叫ぶヒーローサイドと戦っている場所だ。
「ハッハッハ〜!よくやった!我が右腕の光輝よ!
この学校は、俺達が制圧した!
俺達の勝ち!ザマァ見ろ!キラキラヒーロー共め!」
調子に乗って舞台に上がった俺を、花園さんが睨みつけると舞台裏からさっき文句を言いに来た特進クラスの先輩達が出てきた。
「ふっざけんじゃねぇぞ!大会を邪魔しやがって一体何のつもりだ!!
これはな、皆で用意して皆で楽しみにしていたイベントだったんだぞ!!お前一人のせいで台無しだ!!
日野!お前もいい加減、そんなヤツとつるむのは止めろよ!こんなにも花園さんが心配してくれているのに!!」
「そうだそうだ!お前の事を心から心配して考えてくれているのは、花園さんの方じゃん!
花園さんの言う通り、ちゃんとお前の事を友だちだと思っているなら、そんな手下みたいな関係を迫ったりするもんか!」
「お前、良いように使われてるだけなんだよ。なんでもやってくれて役に立つから。
黒井もそう言ってたらしいぞ!そんなヤツの側で利用され続けていいわけ!?
役に立つ立たないで、自分の側に置くヤツを選んでいるとか最低じゃん。それって友達なんて言わねぇよ。」
ガーガーと怒り丸出しで俺に怒鳴る特進クラスの奴らを前に、反論してやろうとする前に────光輝がフッと鼻で笑う。

