「それでは、これより自己紹介と自己PR!存分に自分の魅力を紹介してくださいね〜!まずはエントリーナンバー1の日野君からお願いします!」
紗良さんがそう言った瞬間、舞台の脇にいた生徒の一人が、マイクを持って光輝の元へ。
光輝はそのマイクを受け取って、観客席へと視線を向けた。
凛と立つその姿には────眩しいほど輝いている。
「日野 光輝です。これといって自己紹介する様な事はないですが……しいて言えば、俺は極端な性格をしている自覚があります。
自分が大好きなモノは、絶対に手放せないと思います。
どうしても手放さないといけない時がきたら……きっと一緒に壊れる事を望むでしょうね。
誰かにそれを取られると思うだけで気が狂いそうで、だから毎日毎日近づくモノ全てに嫉妬して、周りを全部消したくなるんです。困りましたね。」
爽やか全開の笑顔で語られる物騒な話に、男子生徒達はゾッ!とした様だが、女子生徒達は反対に黄色い声を上げる。
そんな皆とは違い、俺は大きく首を傾げた。
光輝って物に対する執着は皆無に近いと思うんだけど?
俺といると、ホイホイ全部差し出してくるし……。
「そんなにモノを大切にしている所見たことないけどな〜。寧ろなんでも渡してくるから、仏に近い無欲少年だと思ってた。」
同意を求めて中野の方を見ると、中野は真っ青な顔で立ち尽くしブルブル震えていた。
「???」
突然の変化に驚き、声を掛けようとしたが、直ぐに強い視線が舞台の方からぶつけられ、視線をそちらに戻すと────光輝が俺をジッと見つめているのに気づく。
あ、光輝がこっちに気づいた!
俺はこれ幸いだと、光輝に向かって「ガンバー!」と声に出さずにパクパク口だけで伝え、軽く手を振る。
すると、光輝はとてもうれしそうに笑って、密かに親指を立てて見せた。
とりあえずやる気は満々だぞ!ここまで来たら絶対に優勝をもぎ取って来い!
クネクネ〜と手を横に振ったり、腰を横に振ったりして、フザケたジェスチャーで応援を送ると、やっぱり光輝は嬉しそうにしながらこちらを見ていた────が、同時に凄く攻撃的な視線が光輝とは反対端の方からぶつけられたのを感じた。
チクチク!────ブスブスブス〜!!
その鋭い視線の持ち主は……スーパートラブルメーカーである花園さん!
全身で俺が気に入らないと言う目で睨んできたが、自分の自己紹介の番になったら、コロッ!と態度は一変した。
「こ、この度は、この場に立てた事を感謝しまちゅっ……!────あ、ごめんなさい!緊張して噛んじゃったっ!」
花園さんは慌てた様子でペコッと謝ると、真っ赤になった顔を両手で隠し、恥ずかしそうな様子を見せる。
それにより観客席からは「気にしないで〜!」「照れてる花園さん、めちゃくちゃ可愛い!」などなど、初手からグッ!と観客の心を掴んだ。
そして花園さんは、ス〜ハ〜……と深呼吸をすると、そのまま喋り続ける。
「あんまりこういう場に立つのに慣れてなくて、色々失敗するかもしれないけど、温かい目で見守ってください!
えっと……私は、人より不器用で動きもトロくて、でもだからこそ何でも一生懸命にやってみようと思ってます。
この大会に参加したのも、優勝したいとかじゃなくて、今までしたことのない事に挑戦してみようという気持ちからです。
だから、本気で大会に優勝したい人達には怒られちゃうかもしれないけど、今日は楽しみたいと思ってます!」
花園さんは、他の女性参加者達へ視線を一瞬向けると、すぐにペコッ!と申し訳なさそうに頭を下げた。
それに男性生徒達は、「花園さんが一番可愛いよ!」「大丈夫だよ!俺達応援するからね〜!」などという声援が飛ぶ。
それに笑顔で答える花園さんを見て、周りで見ていた女子生徒達はヒソヒソと話し出した。
「凄いね、陥れ方が。あれじゃあ、他の参加者が可哀想……。」
「怖ぁ……。」
キラキラ光る舞台の上では、もう既に戦いが始まっているらしい。
「すげぇな……。他の参加者達、一瞬凄い顔してたぞ。」
中野はブルッと震えると、お気に入りのゲームのヒロインキャラのバッチをポケットから取り出す。
すると、それを見て祈り始めてしまったので、とりあえずソッとしておいて舞台を見つめると、大会は順調に進んでいった。
自己紹介が終わると、大会主催者が用意したミニゲームをクリアーしていくのだが、どれも光輝が圧倒的で、他の参加者達の印象が薄れてしまう。
しかし、どうもそのミニゲームは別に点数を競うわけではないらしく、採点には関係ないようだ。
いかに自分をアピールできるか、これにかかっている!
そんなミニゲームの中、女性の参加者の中で一番目立っていたのは……やはり花園さんが圧倒的だった。
大体が転んでしまったり、できなかったりしていたが、それでも必死にそのミニゲームをやっている様に見えて、見ている方は応援したくなるというか……とにかく好感度が高い。
そのためゲームが進行していくにつれて、男子生徒達は花園さんに夢中になっていく。
俺は色々敵意を向けられているのでその男子生徒達の中に入れないが、これはモテるのは仕方がないなとは思った。
「光輝も……。」
こういう可愛い感じの子を好きになるのかな……?
またしてもモヤ……とする心を慌てて吹き飛ばすと、ミニゲームの中でも定番らしい男性参加者と女性参加者による社交ダンスが披露される。
これは円状になって相手を変えて回っていく形で、それぞれの参加者達が全員と軽い感じで踊っていくイベントだ。
勿論かなり近い距離まで近づき、ダンスをするので見ている方もドキドキする。
「それでは、これから音楽に合わせて、社交ダンスをして頂きます!
男性参加者の皆さんはちゃんと女性参加者をリードしてあげてくださいね!
では────スタート!」
紗良さんのナレーションが入ると、直ぐに音楽が始まり、円になった参加者達は優雅に踊り始めた。
「────わっ!凄い、綺麗〜。」
「絵になるな〜。カッコいい……。」
美男美女が踊る様は、見る者全てを惹きつける。
レベルの違う世界観を見事創り出している参加者達には、惜しみない拍手と歓声が贈られた。
「きゃぁぁぁ!!光輝君、カッコいい!!」
「凄〜い!ダンスまで完璧なんて!素敵〜……。」
またもや黄色い悲鳴が聞こえて光輝の方を見ると、女性参加者を完全にリードする形で踊っている。
その姿はまさに、リアル乙女ゲームの王子様。
実際にそのキャラ達と並んでも勝てるんじゃね?と言うくらいの圧倒的な輝きを放っていた。
紗良さんがそう言った瞬間、舞台の脇にいた生徒の一人が、マイクを持って光輝の元へ。
光輝はそのマイクを受け取って、観客席へと視線を向けた。
凛と立つその姿には────眩しいほど輝いている。
「日野 光輝です。これといって自己紹介する様な事はないですが……しいて言えば、俺は極端な性格をしている自覚があります。
自分が大好きなモノは、絶対に手放せないと思います。
どうしても手放さないといけない時がきたら……きっと一緒に壊れる事を望むでしょうね。
誰かにそれを取られると思うだけで気が狂いそうで、だから毎日毎日近づくモノ全てに嫉妬して、周りを全部消したくなるんです。困りましたね。」
爽やか全開の笑顔で語られる物騒な話に、男子生徒達はゾッ!とした様だが、女子生徒達は反対に黄色い声を上げる。
そんな皆とは違い、俺は大きく首を傾げた。
光輝って物に対する執着は皆無に近いと思うんだけど?
俺といると、ホイホイ全部差し出してくるし……。
「そんなにモノを大切にしている所見たことないけどな〜。寧ろなんでも渡してくるから、仏に近い無欲少年だと思ってた。」
同意を求めて中野の方を見ると、中野は真っ青な顔で立ち尽くしブルブル震えていた。
「???」
突然の変化に驚き、声を掛けようとしたが、直ぐに強い視線が舞台の方からぶつけられ、視線をそちらに戻すと────光輝が俺をジッと見つめているのに気づく。
あ、光輝がこっちに気づいた!
俺はこれ幸いだと、光輝に向かって「ガンバー!」と声に出さずにパクパク口だけで伝え、軽く手を振る。
すると、光輝はとてもうれしそうに笑って、密かに親指を立てて見せた。
とりあえずやる気は満々だぞ!ここまで来たら絶対に優勝をもぎ取って来い!
クネクネ〜と手を横に振ったり、腰を横に振ったりして、フザケたジェスチャーで応援を送ると、やっぱり光輝は嬉しそうにしながらこちらを見ていた────が、同時に凄く攻撃的な視線が光輝とは反対端の方からぶつけられたのを感じた。
チクチク!────ブスブスブス〜!!
その鋭い視線の持ち主は……スーパートラブルメーカーである花園さん!
全身で俺が気に入らないと言う目で睨んできたが、自分の自己紹介の番になったら、コロッ!と態度は一変した。
「こ、この度は、この場に立てた事を感謝しまちゅっ……!────あ、ごめんなさい!緊張して噛んじゃったっ!」
花園さんは慌てた様子でペコッと謝ると、真っ赤になった顔を両手で隠し、恥ずかしそうな様子を見せる。
それにより観客席からは「気にしないで〜!」「照れてる花園さん、めちゃくちゃ可愛い!」などなど、初手からグッ!と観客の心を掴んだ。
そして花園さんは、ス〜ハ〜……と深呼吸をすると、そのまま喋り続ける。
「あんまりこういう場に立つのに慣れてなくて、色々失敗するかもしれないけど、温かい目で見守ってください!
えっと……私は、人より不器用で動きもトロくて、でもだからこそ何でも一生懸命にやってみようと思ってます。
この大会に参加したのも、優勝したいとかじゃなくて、今までしたことのない事に挑戦してみようという気持ちからです。
だから、本気で大会に優勝したい人達には怒られちゃうかもしれないけど、今日は楽しみたいと思ってます!」
花園さんは、他の女性参加者達へ視線を一瞬向けると、すぐにペコッ!と申し訳なさそうに頭を下げた。
それに男性生徒達は、「花園さんが一番可愛いよ!」「大丈夫だよ!俺達応援するからね〜!」などという声援が飛ぶ。
それに笑顔で答える花園さんを見て、周りで見ていた女子生徒達はヒソヒソと話し出した。
「凄いね、陥れ方が。あれじゃあ、他の参加者が可哀想……。」
「怖ぁ……。」
キラキラ光る舞台の上では、もう既に戦いが始まっているらしい。
「すげぇな……。他の参加者達、一瞬凄い顔してたぞ。」
中野はブルッと震えると、お気に入りのゲームのヒロインキャラのバッチをポケットから取り出す。
すると、それを見て祈り始めてしまったので、とりあえずソッとしておいて舞台を見つめると、大会は順調に進んでいった。
自己紹介が終わると、大会主催者が用意したミニゲームをクリアーしていくのだが、どれも光輝が圧倒的で、他の参加者達の印象が薄れてしまう。
しかし、どうもそのミニゲームは別に点数を競うわけではないらしく、採点には関係ないようだ。
いかに自分をアピールできるか、これにかかっている!
そんなミニゲームの中、女性の参加者の中で一番目立っていたのは……やはり花園さんが圧倒的だった。
大体が転んでしまったり、できなかったりしていたが、それでも必死にそのミニゲームをやっている様に見えて、見ている方は応援したくなるというか……とにかく好感度が高い。
そのためゲームが進行していくにつれて、男子生徒達は花園さんに夢中になっていく。
俺は色々敵意を向けられているのでその男子生徒達の中に入れないが、これはモテるのは仕方がないなとは思った。
「光輝も……。」
こういう可愛い感じの子を好きになるのかな……?
またしてもモヤ……とする心を慌てて吹き飛ばすと、ミニゲームの中でも定番らしい男性参加者と女性参加者による社交ダンスが披露される。
これは円状になって相手を変えて回っていく形で、それぞれの参加者達が全員と軽い感じで踊っていくイベントだ。
勿論かなり近い距離まで近づき、ダンスをするので見ている方もドキドキする。
「それでは、これから音楽に合わせて、社交ダンスをして頂きます!
男性参加者の皆さんはちゃんと女性参加者をリードしてあげてくださいね!
では────スタート!」
紗良さんのナレーションが入ると、直ぐに音楽が始まり、円になった参加者達は優雅に踊り始めた。
「────わっ!凄い、綺麗〜。」
「絵になるな〜。カッコいい……。」
美男美女が踊る様は、見る者全てを惹きつける。
レベルの違う世界観を見事創り出している参加者達には、惜しみない拍手と歓声が贈られた。
「きゃぁぁぁ!!光輝君、カッコいい!!」
「凄〜い!ダンスまで完璧なんて!素敵〜……。」
またもや黄色い悲鳴が聞こえて光輝の方を見ると、女性参加者を完全にリードする形で踊っている。
その姿はまさに、リアル乙女ゲームの王子様。
実際にそのキャラ達と並んでも勝てるんじゃね?と言うくらいの圧倒的な輝きを放っていた。

