「おお〜……。」
「ライブ会場みたいだな。」
俺と中野がぽかーんとしながら周囲を見渡していると、部隊の中央に巨大なスクリーンが設置されたのに気づく。
どうやらアレも使って大会を進行するらしい。
「なんか映画館みたいだ。ゲーム愛好会にもアレ欲しいな。大画面でゲームできる!」
俺が妄想を垂れ流すと、中野も「イイね!」と言い出し、二人であーだこーだと夢を語りながら、舞台から少し離れた壁の端へ移動した。
そして、そこから舞台を見ることにしたのだが、やはりここでもヒソヒソと、周囲からは陰口をぶつけられる。
「よく顔出せるよね〜。」
「まさか、邪魔するつもりなんじゃない?」
「キモ〜。最低〜。」
ボソボソ呟かれる俺の悪口のオンパレードに汗を掻いていると、中野がまるで慰める様に、俺の肩を叩いた。
もはやなんとも言うまい……。
俺は黙ったまま、大会が始まる時を待つ。
すると、それから直ぐに「マイクテスト、マイクテスト……。」と言う、副生徒会長の紗良さんの声が聞こえた。
いよいよ大会が始まる様だ。
「お集まりの皆さん、大変おまたせ致しました。それではこれより『ミスター&ミセス大会』を始めます。」
紗良さんの開始の声に、その場は『うおおぉぉぉ!!!』という興奮した声が響き、一気に騒がしくなった。
その声が少し収まった瞬間、紗良さんはまた話し始める。
「今年のミスター候補とミス候補は、成績上位者から順に10名ずつまで選考された生徒達です。
学校の顔になるなら、学業は必須……今年は参加者が多かったため、その様な方法で一次選考とさせて頂きました。ご了承ください。」
ペコッと軽く頭を下げた紗良さん。
どうやら今年は最多の参加者だったらしく、そのせいで色々と生徒会の仕事が増え、結果光輝の仕事も増えた……という事らしい。
「そんなに沢山いたのか、参加者。」
特に考えもせずサラッと告げると、中野は目を限界まで細くして、ニコッと笑う。
「日野が大会に出るって言った瞬間から、凄い数の女子生徒から参加希望の届けが来たって聞いたぜ。流石〜。」
「へぇ〜……。それは凄いや。」
つまり皆の仕事が増えたのは……光輝のせい!
忙しくて可哀想だと思っていたが、これはある意味仕方がないと、心の中で『な〜む〜!』と拝んでおいた。
すると、突然体育館の電気が消え、中央のスクリーンがパッ!と明るくなる。
それに興奮して、俺も中野も他の観客達も、『おおぉぉぉ────!!!』と大興奮の声を上げ、そのスクリーンに注目した。
「ミスター、エントリーナンバー1!正木野高校一年生!入学試験は首席!バスケ部に所属し、現在はエースとして活躍中!
ルックス!スタイル!実力と、全てが化け物級の────<日野 光輝>君!」
紗良さんが突然光輝のプロフィールを紹介し始めたのと同時に、スクリーンには光輝の顔が映り、更に編集されたらしい光輝の写真がパッ!パッ!パッ!と次々映し出されていく。
「きゃあぁぁぁぁ!!!」
「日野君〜!!!素敵ぃぃぃ!!!」
その間、最前列で見ていた女子生徒達の黄色い悲鳴は続いた。
知ってはいたが、改めて光輝の人気者っぷりに驚かされ、周囲をグルッと見回す。
最前列で叫んでいる女子生徒達は勿論、後ろにも沢山の女子生徒達が好意的な目で光輝を見ていて……『どうだ!俺の親友、凄いだろう!』という胸を張る気持ちと同時に、モヤッとした気持ちが胸の中に広がっていった。
「…………?」
正体不明な……どちらかと言えば、不快感にも似た気持ち。
それを不思議がっていると、そのままミスター候補の紹介が全員終わり、続けて女子生徒達の紹介に入った。
「エントリーナンバー1!正木野高校一年生!入学試験は次席!バスケ部のマネージャーとして部員達を支える女神様。
外見、中身、その全てがパーフェクト!この学校のアイドル的存在────<花園 凛>さん!」
「「「うおぉぉぉぉぉ────!!!」」」
花園さんの紹介が始まると、途端に騒ぎ出したのは男子生徒達の雄叫びと「花園さ〜ん!」という名前コールだ。
やはり花園さんの人気は、光輝に負けず劣らず凄いらしく、そういう点では『お似合いの美男美女』というモノに該当するなと思った。
ボンヤリしながらその後も続く女子生徒達の紹介を聞いていると、隣にいる中野が肘で俺の腹を突いてくる。
「今年は皆化け物級でレベルが高いけど、その中でやっぱり日野と花園さんが圧倒的だな。」
「そ、そうだな。お似合いに見えちゃうよな。」
ちょうど二人の事を考えていたため、名前を聞いてギクッ!としてしまったが、中野は俺の動揺に気づく事なく、渋い顔を見せた。
「お似合いねぇ?まぁ、腹の黒さ的にはソックリかも。
俺は、どうも日野がこのまま大人しくしているとは思えないんだよな。」
「???」
ジロジロ〜!と疑いの目でスクリーンを睨みつける中野だったが、俺にはよく意味が分からない。
そのため、何が大人しくしているとは〜?と尋ねようとしたその時、舞台の横から、候補者達が一斉に出てきて、ドッ!と爆弾の様な悲鳴が上がったため意識はそちらへ。
ズラリと舞台に並んだその中で、光輝の姿を見つけた。
ピカピカ。ピカピカ……。
舞台の上のスポットライトに照らされ、眩しいくらいに光輝く光輝。
それが俺のいる真っ暗な客席側の方と対比されていて……その差に、心の中のモヤモヤは広がっていく。
それに気づいて頭をパシンッ!と叩きそのモヤモヤを祓うと、光輝や他の候補者達が制服ではなく私服を着ている事に気づいた。
自分で選んだと思われる私服達は、それぞれの個性を現しており、魅力を最大限に上げてくれている。
ちなみに光輝はシンプルなTシャツとズボンという出で立ちなのに、それがまた他の気合が入った候補者達の中で目立つ目立つ!
「結局服は、本体の準主役ってヤツか……。」
外見に気合を入れて高校デビューを目論んだ中野が、哀愁を漂わせて呟いたので、俺は慰める様に肩をポンポンと叩いておいた。
「ライブ会場みたいだな。」
俺と中野がぽかーんとしながら周囲を見渡していると、部隊の中央に巨大なスクリーンが設置されたのに気づく。
どうやらアレも使って大会を進行するらしい。
「なんか映画館みたいだ。ゲーム愛好会にもアレ欲しいな。大画面でゲームできる!」
俺が妄想を垂れ流すと、中野も「イイね!」と言い出し、二人であーだこーだと夢を語りながら、舞台から少し離れた壁の端へ移動した。
そして、そこから舞台を見ることにしたのだが、やはりここでもヒソヒソと、周囲からは陰口をぶつけられる。
「よく顔出せるよね〜。」
「まさか、邪魔するつもりなんじゃない?」
「キモ〜。最低〜。」
ボソボソ呟かれる俺の悪口のオンパレードに汗を掻いていると、中野がまるで慰める様に、俺の肩を叩いた。
もはやなんとも言うまい……。
俺は黙ったまま、大会が始まる時を待つ。
すると、それから直ぐに「マイクテスト、マイクテスト……。」と言う、副生徒会長の紗良さんの声が聞こえた。
いよいよ大会が始まる様だ。
「お集まりの皆さん、大変おまたせ致しました。それではこれより『ミスター&ミセス大会』を始めます。」
紗良さんの開始の声に、その場は『うおおぉぉぉ!!!』という興奮した声が響き、一気に騒がしくなった。
その声が少し収まった瞬間、紗良さんはまた話し始める。
「今年のミスター候補とミス候補は、成績上位者から順に10名ずつまで選考された生徒達です。
学校の顔になるなら、学業は必須……今年は参加者が多かったため、その様な方法で一次選考とさせて頂きました。ご了承ください。」
ペコッと軽く頭を下げた紗良さん。
どうやら今年は最多の参加者だったらしく、そのせいで色々と生徒会の仕事が増え、結果光輝の仕事も増えた……という事らしい。
「そんなに沢山いたのか、参加者。」
特に考えもせずサラッと告げると、中野は目を限界まで細くして、ニコッと笑う。
「日野が大会に出るって言った瞬間から、凄い数の女子生徒から参加希望の届けが来たって聞いたぜ。流石〜。」
「へぇ〜……。それは凄いや。」
つまり皆の仕事が増えたのは……光輝のせい!
忙しくて可哀想だと思っていたが、これはある意味仕方がないと、心の中で『な〜む〜!』と拝んでおいた。
すると、突然体育館の電気が消え、中央のスクリーンがパッ!と明るくなる。
それに興奮して、俺も中野も他の観客達も、『おおぉぉぉ────!!!』と大興奮の声を上げ、そのスクリーンに注目した。
「ミスター、エントリーナンバー1!正木野高校一年生!入学試験は首席!バスケ部に所属し、現在はエースとして活躍中!
ルックス!スタイル!実力と、全てが化け物級の────<日野 光輝>君!」
紗良さんが突然光輝のプロフィールを紹介し始めたのと同時に、スクリーンには光輝の顔が映り、更に編集されたらしい光輝の写真がパッ!パッ!パッ!と次々映し出されていく。
「きゃあぁぁぁぁ!!!」
「日野君〜!!!素敵ぃぃぃ!!!」
その間、最前列で見ていた女子生徒達の黄色い悲鳴は続いた。
知ってはいたが、改めて光輝の人気者っぷりに驚かされ、周囲をグルッと見回す。
最前列で叫んでいる女子生徒達は勿論、後ろにも沢山の女子生徒達が好意的な目で光輝を見ていて……『どうだ!俺の親友、凄いだろう!』という胸を張る気持ちと同時に、モヤッとした気持ちが胸の中に広がっていった。
「…………?」
正体不明な……どちらかと言えば、不快感にも似た気持ち。
それを不思議がっていると、そのままミスター候補の紹介が全員終わり、続けて女子生徒達の紹介に入った。
「エントリーナンバー1!正木野高校一年生!入学試験は次席!バスケ部のマネージャーとして部員達を支える女神様。
外見、中身、その全てがパーフェクト!この学校のアイドル的存在────<花園 凛>さん!」
「「「うおぉぉぉぉぉ────!!!」」」
花園さんの紹介が始まると、途端に騒ぎ出したのは男子生徒達の雄叫びと「花園さ〜ん!」という名前コールだ。
やはり花園さんの人気は、光輝に負けず劣らず凄いらしく、そういう点では『お似合いの美男美女』というモノに該当するなと思った。
ボンヤリしながらその後も続く女子生徒達の紹介を聞いていると、隣にいる中野が肘で俺の腹を突いてくる。
「今年は皆化け物級でレベルが高いけど、その中でやっぱり日野と花園さんが圧倒的だな。」
「そ、そうだな。お似合いに見えちゃうよな。」
ちょうど二人の事を考えていたため、名前を聞いてギクッ!としてしまったが、中野は俺の動揺に気づく事なく、渋い顔を見せた。
「お似合いねぇ?まぁ、腹の黒さ的にはソックリかも。
俺は、どうも日野がこのまま大人しくしているとは思えないんだよな。」
「???」
ジロジロ〜!と疑いの目でスクリーンを睨みつける中野だったが、俺にはよく意味が分からない。
そのため、何が大人しくしているとは〜?と尋ねようとしたその時、舞台の横から、候補者達が一斉に出てきて、ドッ!と爆弾の様な悲鳴が上がったため意識はそちらへ。
ズラリと舞台に並んだその中で、光輝の姿を見つけた。
ピカピカ。ピカピカ……。
舞台の上のスポットライトに照らされ、眩しいくらいに光輝く光輝。
それが俺のいる真っ暗な客席側の方と対比されていて……その差に、心の中のモヤモヤは広がっていく。
それに気づいて頭をパシンッ!と叩きそのモヤモヤを祓うと、光輝や他の候補者達が制服ではなく私服を着ている事に気づいた。
自分で選んだと思われる私服達は、それぞれの個性を現しており、魅力を最大限に上げてくれている。
ちなみに光輝はシンプルなTシャツとズボンという出で立ちなのに、それがまた他の気合が入った候補者達の中で目立つ目立つ!
「結局服は、本体の準主役ってヤツか……。」
外見に気合を入れて高校デビューを目論んだ中野が、哀愁を漂わせて呟いたので、俺は慰める様に肩をポンポンと叩いておいた。

