その子はその時の事を思い出したのか、少し涙目になっていたが、周りにいる女子生徒達が、慌てて慰めたためか笑顔を浮かべていた。
つまり、今の立場は俺が断罪される悪役の方であると……そういう事らしい。
「そっか。困ったヤツだな、花園さんと周りの奴らは。」
ため息をつきながらそう言うと、突然女子生徒達が一斉に地団駄を踏む。
「あんな最低な女でも、周りの男子達はすっかり騙されて、絶対こっちの言う事より花園さんの話を信じちゃうよ!
だから、大会は花園さんが優勝するだろうね。
そしたら日野君も優勝するだろうから、あの二人が公認って思われて、益々噂が本当なんだって思われる様になる。」
「花園さん、あからさまに日野君の事狙ってるもんね。
優勝したミセスとミスターには、夢の国ランドのペアチケットとランチディナーがプレゼントされて、歴代の二人は100%の確率でお付き合いに発展してきたらしいからさ。ホント、胸糞だよね〜。」
『きぃぃぃぃっ!!』
金切り声を上げながら、悶え苦しむ女子生徒達を男子生徒達は汗を掻いて見ていたが、その後俺に向かって申し訳なさそうな顔で言った。
「勿論俺達は、こんな嘘ばっかりの花園さんに投票なんてしないけど、多分このクラス以外の一般クラスの奴らは殆どが投票すると思う。
一応俺はおかしいって言ったんだけど、花園さんが最近一般クラスの奴らにも積極的に話かけてるみたいで、誰も信じてくれない。
アイツらの思い通りになるのは腹立つけど……すまねぇ。」
「普段は高嶺の花だと思っている花園さんに、ちょっと話しかけられたからって、皆馬鹿だよなぁ〜。
無駄かもしれないが、俺は自分の知り合いには真実を言い続けるから。黒井、負けんなよ。」
「あ、あぁ。ありがとう。」
なんだか同情的な視線に晒され、ちょっとビビる。
皆は悪口を言われている俺を心配をしてくれている様だがホントに大丈夫。
だって、悪役って基本ボッチだから!
頭の中で、フッ……不敵に笑いながら、表面的には爽やかな笑顔で皆にお礼を言った。
更に『俺、今ちょっと今悪役っぽくな〜い?』と、実はちょっと悦にも入っちゃっているから本当に気にしてない。
それに、光輝が騙されている事も心配してくれているみたいだが、光輝はちゃんと色々と分かっているんじゃないかな〜?とも思ってるからそこまで心配していなかったりする。
光輝は昔から凄く鋭くて、多分誰よりも周りの事を見ている……いや、警戒しているので、黙っているならそれでいいと思っているはずだ。
その姿はまるで────……。
「野生の猫……。」
やたら高貴な猫が、野生で周りを警戒しながら生きているのを想像すると、ちょっと吹き出しそうになったが、必死に堪える!
ブルブルと震えている俺を見て、女子生徒達が気まずそうな表情を見せてきた。
「その……光輝君と黒井君は最近どうなのかな?
光輝君、最近結構積極的に部活とか委員会の集まりとか行っているけど、もしかして喧嘩とか……。」
女子生徒達は、俺と光輝が喧嘩したんじゃないかと心配して、可哀想なくらいオロオロしていたが、そんな事実はない。
光輝は家に帰ればいつも通り!喧嘩はないな〜い。
でも────……?
『ちょっと人脈を広げておきたくてさ。大会に優勝するには、多少それが必要だなって思ったんだよね。』
「……俺以外の色々な奴らとも、つるむようになっただけだよ。
光輝は光輝なりの付き合いってヤツがあるだけだから、気にしないでくれ。心配してくれてありがとう。」
「そうなんだ。」
「それは別におかしくないよね。クラスも違うし。」
女子生徒達や、他の周りの男子生徒達も、納得したかの様に頷いた。
中学校が一緒で一番仲良しでも、クラスが変わり新しい環境になっていくと、それぞれに違う世界が広がっていく。
そんな中で、今までと同じ関係のままでいられる事は少ないだろうなというのは、なんとなく理解はしていた。
ただ、それが自分と光輝になると……。
「……ちょっと……しいな。」
ボソッと小さく呟いた声は、特に誰にも聞こえる事はなく、状況は変わらないまま、とうとう文化祭の日がやってきた。
つまり、今の立場は俺が断罪される悪役の方であると……そういう事らしい。
「そっか。困ったヤツだな、花園さんと周りの奴らは。」
ため息をつきながらそう言うと、突然女子生徒達が一斉に地団駄を踏む。
「あんな最低な女でも、周りの男子達はすっかり騙されて、絶対こっちの言う事より花園さんの話を信じちゃうよ!
だから、大会は花園さんが優勝するだろうね。
そしたら日野君も優勝するだろうから、あの二人が公認って思われて、益々噂が本当なんだって思われる様になる。」
「花園さん、あからさまに日野君の事狙ってるもんね。
優勝したミセスとミスターには、夢の国ランドのペアチケットとランチディナーがプレゼントされて、歴代の二人は100%の確率でお付き合いに発展してきたらしいからさ。ホント、胸糞だよね〜。」
『きぃぃぃぃっ!!』
金切り声を上げながら、悶え苦しむ女子生徒達を男子生徒達は汗を掻いて見ていたが、その後俺に向かって申し訳なさそうな顔で言った。
「勿論俺達は、こんな嘘ばっかりの花園さんに投票なんてしないけど、多分このクラス以外の一般クラスの奴らは殆どが投票すると思う。
一応俺はおかしいって言ったんだけど、花園さんが最近一般クラスの奴らにも積極的に話かけてるみたいで、誰も信じてくれない。
アイツらの思い通りになるのは腹立つけど……すまねぇ。」
「普段は高嶺の花だと思っている花園さんに、ちょっと話しかけられたからって、皆馬鹿だよなぁ〜。
無駄かもしれないが、俺は自分の知り合いには真実を言い続けるから。黒井、負けんなよ。」
「あ、あぁ。ありがとう。」
なんだか同情的な視線に晒され、ちょっとビビる。
皆は悪口を言われている俺を心配をしてくれている様だがホントに大丈夫。
だって、悪役って基本ボッチだから!
頭の中で、フッ……不敵に笑いながら、表面的には爽やかな笑顔で皆にお礼を言った。
更に『俺、今ちょっと今悪役っぽくな〜い?』と、実はちょっと悦にも入っちゃっているから本当に気にしてない。
それに、光輝が騙されている事も心配してくれているみたいだが、光輝はちゃんと色々と分かっているんじゃないかな〜?とも思ってるからそこまで心配していなかったりする。
光輝は昔から凄く鋭くて、多分誰よりも周りの事を見ている……いや、警戒しているので、黙っているならそれでいいと思っているはずだ。
その姿はまるで────……。
「野生の猫……。」
やたら高貴な猫が、野生で周りを警戒しながら生きているのを想像すると、ちょっと吹き出しそうになったが、必死に堪える!
ブルブルと震えている俺を見て、女子生徒達が気まずそうな表情を見せてきた。
「その……光輝君と黒井君は最近どうなのかな?
光輝君、最近結構積極的に部活とか委員会の集まりとか行っているけど、もしかして喧嘩とか……。」
女子生徒達は、俺と光輝が喧嘩したんじゃないかと心配して、可哀想なくらいオロオロしていたが、そんな事実はない。
光輝は家に帰ればいつも通り!喧嘩はないな〜い。
でも────……?
『ちょっと人脈を広げておきたくてさ。大会に優勝するには、多少それが必要だなって思ったんだよね。』
「……俺以外の色々な奴らとも、つるむようになっただけだよ。
光輝は光輝なりの付き合いってヤツがあるだけだから、気にしないでくれ。心配してくれてありがとう。」
「そうなんだ。」
「それは別におかしくないよね。クラスも違うし。」
女子生徒達や、他の周りの男子生徒達も、納得したかの様に頷いた。
中学校が一緒で一番仲良しでも、クラスが変わり新しい環境になっていくと、それぞれに違う世界が広がっていく。
そんな中で、今までと同じ関係のままでいられる事は少ないだろうなというのは、なんとなく理解はしていた。
ただ、それが自分と光輝になると……。
「……ちょっと……しいな。」
ボソッと小さく呟いた声は、特に誰にも聞こえる事はなく、状況は変わらないまま、とうとう文化祭の日がやってきた。

