「黒井君!日野君を、あの女の魔の手から守って!」
「そうよそうよ!あんな女に取られちゃ駄目だよ!日野君のためにも!」
女子部員達は、光輝の名前が書かれている団扇を振りながら、俺に向かって叫んだ。
その勢いによってハッ!と俺は現実に戻ってきた俺は、とりあえず鬼の様な怒り顔をしている女子部員達に向かって頷くと、その後は花園さんとその周りの同類らしい女子生徒達の話で持ち切りになる。
どうやら、バスケ部のマネージャーをしている女子生徒達は、自分たちがその座を手に入れるために、純粋にマネージャーを希望していた大人しい女子生徒達を蹴落として手に入れたモノだったらしい。
それこそ、ライバル達に対し嫌がらせや悪口のオンパレードだったんだとか。
それをされ続けた女子生徒達は、文句も言えずに諦めるしかなかったらしく、本当にバスケが好きでマネージャー希望だった子達は、光輝目当てに入った女子生徒達によって潰されてしまったと。
その内容の酷さに、俺や中野、そして他の男子部員達は固まって心底震えた。
それが本当だったら、『バスケ部のマネージャー達、全員可愛いよな〜!』……なんて、今までと同じ様な目で見れない!
「え、えっぐぅ〜。確かに遠目から見てて、少しギスギスしているなとは思ってたけど……。」
中野がブルッと震えていると、女子部員の一人が大きなため息をついた。
「これからもっとギスギスするんじゃない?多分、今年のコンテストは荒れるよ。
なんてったって、日野君が出るならミスターは決まりでしょうし、そしたらミセスは争奪戦……戦争が始まると思う。」
「そんな大げさな〜。」
ハハッと笑い話で締めようとしたが、女子部員達に一斉に睨まれる。
「全然大げさじゃないから!多分、バスケ部マネージャー軍団は、最初にタッグを組んで他を潰すでしょうね。
それからは水面下で睨み合いながら、お互いチャンスを伺い、したたかに蹴落とし合いをし始めると思うわ。」
「その中でも花園さんは圧倒的なんじゃないかな。
取り巻きみたいな男子生徒の数も、突き抜けて多いから……。
下手な事を言うと、その取り巻き達に一斉攻撃されるよ。」
「へ、へぇ〜……。」
必死な様子で、俺に光輝の心配をして忠告してくれた花園さん。
そんな健気な姿を思い出し、本気で悩んでしまった。
目に涙を浮かべて頼んでくる姿からも、そこまで悪い人じゃないと思っていたが……女子部員達が嘘をつく人達じゃないことも知っている。
だから、これから少し注意して見てみようと思った。
それからあーだこーだと色々な噂話を話し始めた女子部員達を尻目に、俺は作業に没頭したが……中々光輝が戻ってこない。
「光輝遅いな。そろそろ部室が閉まっちゃうし……。このまま先に帰るときっと怒るから、一言言いに行くしかないか。」
ハァ〜……とため息をつきながら、パラパラと人がまばらになってきた部室を見回す。
俺は荷物を片付けながら、同じく荷物を纏め始めた中野に言った。
「俺、光輝の所によってから帰るよ。中野はどうする?」
「俺も帰る〜。でも、バイトの時間まで少し余裕もあるし付き合うぜ。
光輝目当ての美女達を目の保養にして、エネルギーチャージしてから行くわ。」
フンッ!と鼻息荒く吹く中野は、さっきの話をそこまで信じていない様に見える。
まぁ、確かに自分の目で見ないとなんとも言えないくらい酷い話だったし、噂話は尾ひれとか背びれとか付くもんだしな……。
中野に引き続き、俺もそこまでヘビーな話とは捉えず、光輝がいるであろう多目的室へと足を運んだ。
◇◇
「花園さん、元気だしてよ。俺達は味方だからさ。」
「皆、花園さんが可愛いから僻んでるんだよ。ブスは中身までブスだよな〜。最悪だ。」
何やら到着した多目的室から、数人の男子生徒達の声がして中野と俺は入口前で止まる。
文化祭についての話ではなさそう?全員文化祭委員の関係者なのかな?
少々驚きドアをノックする事も忘れて、俺達は顔を見合わせた。
その間にも中の話は続く。
「花園さん、毎日嫉妬されて嫌がらせされるなんて酷い話だよな! ノートを破かれたり、制服を汚されたりしたんだろう?
ひっで〜話!誰だよ!そんな事するの!」
「ううん、私が悪いの。だからお願い、そんな言い方しないで。
きっと知らない内に、誤解される様な言い方とか行動をしちゃってたんだと思う。
だからこれから頑張って直して、またその子達と仲良くしたいな。」
「花園さ〜んマジ天使!それに比べて、そいつらマジ性格悪いよな。明日、俺達で注意しにいくから。」
なんだか不穏な話になってきたため、中に入るのをためらっていると、いつの間にか移動した中野が教室のドアの横、ちょうど足元くらいに設置されている横長の窓の前でしゃがみ込んで、中を覗きこんだ。
「あっ。お、おい〜……。」
小さな声で注意したが、中野は中を覗き込みながら手招きをしてきたので、好奇心が大勝利した俺も、中野の横に土下座する様なポーズをして中を覗く。
すると、中には大きなテーブルが設置されていて、そこに何人かが座っているのが見えた。
そしてその中の一角に、花園さんとその周りを囲む数人の男子生徒達がいて、どうやらそこで大声で喋っているらしい。
とりあえず、どうみても文化祭の話ではなさそうだ。
「??花園さんって虐められてんだな。誰にだろう?」
「う〜ん……一般クラスでは聞いた事ないけどな。
まぁ、あの可愛さなら、きっと誰かに嫉妬されて〜とかじゃね?でも、何で今、ここでそんな話になったんだろうな?」
「そうよそうよ!あんな女に取られちゃ駄目だよ!日野君のためにも!」
女子部員達は、光輝の名前が書かれている団扇を振りながら、俺に向かって叫んだ。
その勢いによってハッ!と俺は現実に戻ってきた俺は、とりあえず鬼の様な怒り顔をしている女子部員達に向かって頷くと、その後は花園さんとその周りの同類らしい女子生徒達の話で持ち切りになる。
どうやら、バスケ部のマネージャーをしている女子生徒達は、自分たちがその座を手に入れるために、純粋にマネージャーを希望していた大人しい女子生徒達を蹴落として手に入れたモノだったらしい。
それこそ、ライバル達に対し嫌がらせや悪口のオンパレードだったんだとか。
それをされ続けた女子生徒達は、文句も言えずに諦めるしかなかったらしく、本当にバスケが好きでマネージャー希望だった子達は、光輝目当てに入った女子生徒達によって潰されてしまったと。
その内容の酷さに、俺や中野、そして他の男子部員達は固まって心底震えた。
それが本当だったら、『バスケ部のマネージャー達、全員可愛いよな〜!』……なんて、今までと同じ様な目で見れない!
「え、えっぐぅ〜。確かに遠目から見てて、少しギスギスしているなとは思ってたけど……。」
中野がブルッと震えていると、女子部員の一人が大きなため息をついた。
「これからもっとギスギスするんじゃない?多分、今年のコンテストは荒れるよ。
なんてったって、日野君が出るならミスターは決まりでしょうし、そしたらミセスは争奪戦……戦争が始まると思う。」
「そんな大げさな〜。」
ハハッと笑い話で締めようとしたが、女子部員達に一斉に睨まれる。
「全然大げさじゃないから!多分、バスケ部マネージャー軍団は、最初にタッグを組んで他を潰すでしょうね。
それからは水面下で睨み合いながら、お互いチャンスを伺い、したたかに蹴落とし合いをし始めると思うわ。」
「その中でも花園さんは圧倒的なんじゃないかな。
取り巻きみたいな男子生徒の数も、突き抜けて多いから……。
下手な事を言うと、その取り巻き達に一斉攻撃されるよ。」
「へ、へぇ〜……。」
必死な様子で、俺に光輝の心配をして忠告してくれた花園さん。
そんな健気な姿を思い出し、本気で悩んでしまった。
目に涙を浮かべて頼んでくる姿からも、そこまで悪い人じゃないと思っていたが……女子部員達が嘘をつく人達じゃないことも知っている。
だから、これから少し注意して見てみようと思った。
それからあーだこーだと色々な噂話を話し始めた女子部員達を尻目に、俺は作業に没頭したが……中々光輝が戻ってこない。
「光輝遅いな。そろそろ部室が閉まっちゃうし……。このまま先に帰るときっと怒るから、一言言いに行くしかないか。」
ハァ〜……とため息をつきながら、パラパラと人がまばらになってきた部室を見回す。
俺は荷物を片付けながら、同じく荷物を纏め始めた中野に言った。
「俺、光輝の所によってから帰るよ。中野はどうする?」
「俺も帰る〜。でも、バイトの時間まで少し余裕もあるし付き合うぜ。
光輝目当ての美女達を目の保養にして、エネルギーチャージしてから行くわ。」
フンッ!と鼻息荒く吹く中野は、さっきの話をそこまで信じていない様に見える。
まぁ、確かに自分の目で見ないとなんとも言えないくらい酷い話だったし、噂話は尾ひれとか背びれとか付くもんだしな……。
中野に引き続き、俺もそこまでヘビーな話とは捉えず、光輝がいるであろう多目的室へと足を運んだ。
◇◇
「花園さん、元気だしてよ。俺達は味方だからさ。」
「皆、花園さんが可愛いから僻んでるんだよ。ブスは中身までブスだよな〜。最悪だ。」
何やら到着した多目的室から、数人の男子生徒達の声がして中野と俺は入口前で止まる。
文化祭についての話ではなさそう?全員文化祭委員の関係者なのかな?
少々驚きドアをノックする事も忘れて、俺達は顔を見合わせた。
その間にも中の話は続く。
「花園さん、毎日嫉妬されて嫌がらせされるなんて酷い話だよな! ノートを破かれたり、制服を汚されたりしたんだろう?
ひっで〜話!誰だよ!そんな事するの!」
「ううん、私が悪いの。だからお願い、そんな言い方しないで。
きっと知らない内に、誤解される様な言い方とか行動をしちゃってたんだと思う。
だからこれから頑張って直して、またその子達と仲良くしたいな。」
「花園さ〜んマジ天使!それに比べて、そいつらマジ性格悪いよな。明日、俺達で注意しにいくから。」
なんだか不穏な話になってきたため、中に入るのをためらっていると、いつの間にか移動した中野が教室のドアの横、ちょうど足元くらいに設置されている横長の窓の前でしゃがみ込んで、中を覗きこんだ。
「あっ。お、おい〜……。」
小さな声で注意したが、中野は中を覗き込みながら手招きをしてきたので、好奇心が大勝利した俺も、中野の横に土下座する様なポーズをして中を覗く。
すると、中には大きなテーブルが設置されていて、そこに何人かが座っているのが見えた。
そしてその中の一角に、花園さんとその周りを囲む数人の男子生徒達がいて、どうやらそこで大声で喋っているらしい。
とりあえず、どうみても文化祭の話ではなさそうだ。
「??花園さんって虐められてんだな。誰にだろう?」
「う〜ん……一般クラスでは聞いた事ないけどな。
まぁ、あの可愛さなら、きっと誰かに嫉妬されて〜とかじゃね?でも、何で今、ここでそんな話になったんだろうな?」

