「光輝も下ネタとか言うんだな〜。あいつ意外にむっつりなんじゃね?
俺がエロ本読もうとすると取り上げてくるから、てっきり潔癖っぽいのかと……。」
「……取り上げられるの?相変わらず怖っ。」
中野は『うへぇ〜!』と嫌そうな顔をしてそう答えた。
そうそう、光輝は、世界一怖いと言われる母ちゃん属性を持っている!
俺の頭の中には、ベッドの下に隠していたエロ本を目ざとく見つけ、ガミガミ怒る世の母親という存在のイメージが湧く。
だからこそ光輝に下ネタを振られると、なんだか母ちゃんに『どんなオッパイが好き?』と聞かれている気持ちになって、気分は複雑だ。
俺も『うへぇ〜……!』と嫌な顔をして黙ると、中野が何かを思いついたかの様に話を振ってきた。
「日野が大会に出たら、間違いなく優勝すると思うんだけど、そうしたら女子の方は誰が選ばれるんだろうな。
女子の方は結構レベル高い子多いじゃん?この学校って。
う〜ん……やっぱり花園さんかな。突き抜けて可愛い子達の中で、更に頭一つ分飛び抜けてるもんな。」
「えっ!……う、うん。」
さっきまで浮かんでいた光輝と、それと寄り添って立っている花園さんの映像がまた浮かび、ドキッ!としてしまう。
もしも二人が揃って大会に優勝したら、その光景が現実のものになるのか。
浮かぶ映像の二人は、本当にゲームの中に出てくるヒーローとヒロインそのもので、ダークサイドの薄暗さは微塵もない。
キラキラ、キラキラ。
溢れんばかりの光の中、堂々と立っていた。
「……お似合いだよな、あの二人。」
気がつけば、口からそんな言葉が飛び出し、中野がなんだか複雑そうな顔で何かを言おうとしたその時────部室内の至る所でガタガタッ!!と立ち上がる音が聞こえた。
「ふっざけた事言わないでよ!あのクソビッチ女が、日野君の隣に似合うわけないでしょ!」
「グルングルン螺旋の様に捻りに捻ったひん曲がった性格……。男は何にも分かってないんだから!」
立ち上がったのは、女性の部員達で、例えではなく、本当に鬼の形相で怒り狂っている。
手元のあるノートや雑誌類は、怒りのまま握りしめているためグチャグチャだ。
シン……と静まり返った部室の中、女子部員達の話は続く。
「あの女、そもそも男子と女子に対する態度が、全然違うんだって!
凄く遠回しな言い方で、相手を落として自分をあげるのがとにかく上手いの。
だから私の友達もそのせいで、いつの間にか悪者にされてて……わざと一般クラスの方にテストの点を落として来たくらいなんだから!」
「『ハイスペックな男子と、一定以下の男子or女子』に対しての態度が違う……でしょ?
私中学もあの子と同じだったから知ってるけど、あの子、ハイスペック男子にしか優しくしないし、一定以下の男子は眼中なしの酷い態度だもん。」
「そうそう。私も中学一緒だったんだけど、胸糞悪い事件が沢山あったよ。
一番最初に目撃したのは、中学に入りたての頃で、花園さんに憧れていたフツメンの男子生徒が、勇気を出して挨拶したの。
それだけで、『ストーカーされてる。怖い。』とか言って、当時カッコいいって話題の先輩に相談したんだって。
そしたらその直後に、皆がいる教室の中でその先輩と他の友達らしき人たち全員で、フツメンの子を責め立てたんだよ。」
「それ私も見てたけど、本当に気分が悪かったよ。 要は、その先輩に近づくためにフツメンの子を利用したんだよ。
あの女、『止めてください!』『私はそんなつもりなかったの!』とか言って、優しいヒロイン面してたけど、お前が原因だろ!って女子全員、心の中でツッコんだよ。」
にわかに信じられない話を聞き、ギョッ!としていると、中野は疑わしい目をその女子生徒達へ向けた。
「ホントかよ〜。そんな漫画の悪役令嬢みたいなやつ、現実にいるか〜?
ましてや、あんなに綺麗なんだから、わざわざ周りを蹴落とす必要ないじゃん。」
中野の言葉に、女子生徒達は呆れた様な目で中野を見つめ、一斉にため息をつく。
「世の中にはね、どんなに恵まれていても、勝ってても、それでももっともっと自分が上だっていう事を証明したい!っていうヤツがいんの。
そういうヤツが選ぶやり方は、皆おんなじ。『誰かを落として自分をあげる』。
承認欲求の一種なのかもね。自分は凄い!見て!……って感じ?」
「外見が清楚で可愛いと、大抵の男は信じちゃうからさ。
その意味不明な正義の断罪劇、何度見た事か……。
他にも頭にくるのは、他の女子生徒が好きな男子の名前を少しでも口にすると、その男子に次の日からやたらベタベタ構いに行く事!
それで告白されたら、わざわざその女の子の所に行って謝るんだよ。
『ごめんね、知らなかったから。でも、私は好きとかいう感情はないから頑張ってね!』ってね。悪意しか感じないんだけど?」
女子部員達は、ジト〜……とした目で中野を睨み、中野は分が悪いのを察したのか、仏の顔の様な穏やかな顔で黙る。
一方の話だけを鵜呑みにする事はしないが、それが本当だとすると、良くない感じがする子だなとは思った。
じゃあ、ヒロインじゃなくて、悪役令嬢か……。
頭の中に浮かんでいた、ヒーローである光輝とヒロインであった花園さんの姿。
途端にヒロインの花園さんの顔は崩れていき、モザイクが掛かると、魔王の俺を押しのけて、最強悪役女帝として君臨している花園さんが、光輝の前に……立つ!
俺がエロ本読もうとすると取り上げてくるから、てっきり潔癖っぽいのかと……。」
「……取り上げられるの?相変わらず怖っ。」
中野は『うへぇ〜!』と嫌そうな顔をしてそう答えた。
そうそう、光輝は、世界一怖いと言われる母ちゃん属性を持っている!
俺の頭の中には、ベッドの下に隠していたエロ本を目ざとく見つけ、ガミガミ怒る世の母親という存在のイメージが湧く。
だからこそ光輝に下ネタを振られると、なんだか母ちゃんに『どんなオッパイが好き?』と聞かれている気持ちになって、気分は複雑だ。
俺も『うへぇ〜……!』と嫌な顔をして黙ると、中野が何かを思いついたかの様に話を振ってきた。
「日野が大会に出たら、間違いなく優勝すると思うんだけど、そうしたら女子の方は誰が選ばれるんだろうな。
女子の方は結構レベル高い子多いじゃん?この学校って。
う〜ん……やっぱり花園さんかな。突き抜けて可愛い子達の中で、更に頭一つ分飛び抜けてるもんな。」
「えっ!……う、うん。」
さっきまで浮かんでいた光輝と、それと寄り添って立っている花園さんの映像がまた浮かび、ドキッ!としてしまう。
もしも二人が揃って大会に優勝したら、その光景が現実のものになるのか。
浮かぶ映像の二人は、本当にゲームの中に出てくるヒーローとヒロインそのもので、ダークサイドの薄暗さは微塵もない。
キラキラ、キラキラ。
溢れんばかりの光の中、堂々と立っていた。
「……お似合いだよな、あの二人。」
気がつけば、口からそんな言葉が飛び出し、中野がなんだか複雑そうな顔で何かを言おうとしたその時────部室内の至る所でガタガタッ!!と立ち上がる音が聞こえた。
「ふっざけた事言わないでよ!あのクソビッチ女が、日野君の隣に似合うわけないでしょ!」
「グルングルン螺旋の様に捻りに捻ったひん曲がった性格……。男は何にも分かってないんだから!」
立ち上がったのは、女性の部員達で、例えではなく、本当に鬼の形相で怒り狂っている。
手元のあるノートや雑誌類は、怒りのまま握りしめているためグチャグチャだ。
シン……と静まり返った部室の中、女子部員達の話は続く。
「あの女、そもそも男子と女子に対する態度が、全然違うんだって!
凄く遠回しな言い方で、相手を落として自分をあげるのがとにかく上手いの。
だから私の友達もそのせいで、いつの間にか悪者にされてて……わざと一般クラスの方にテストの点を落として来たくらいなんだから!」
「『ハイスペックな男子と、一定以下の男子or女子』に対しての態度が違う……でしょ?
私中学もあの子と同じだったから知ってるけど、あの子、ハイスペック男子にしか優しくしないし、一定以下の男子は眼中なしの酷い態度だもん。」
「そうそう。私も中学一緒だったんだけど、胸糞悪い事件が沢山あったよ。
一番最初に目撃したのは、中学に入りたての頃で、花園さんに憧れていたフツメンの男子生徒が、勇気を出して挨拶したの。
それだけで、『ストーカーされてる。怖い。』とか言って、当時カッコいいって話題の先輩に相談したんだって。
そしたらその直後に、皆がいる教室の中でその先輩と他の友達らしき人たち全員で、フツメンの子を責め立てたんだよ。」
「それ私も見てたけど、本当に気分が悪かったよ。 要は、その先輩に近づくためにフツメンの子を利用したんだよ。
あの女、『止めてください!』『私はそんなつもりなかったの!』とか言って、優しいヒロイン面してたけど、お前が原因だろ!って女子全員、心の中でツッコんだよ。」
にわかに信じられない話を聞き、ギョッ!としていると、中野は疑わしい目をその女子生徒達へ向けた。
「ホントかよ〜。そんな漫画の悪役令嬢みたいなやつ、現実にいるか〜?
ましてや、あんなに綺麗なんだから、わざわざ周りを蹴落とす必要ないじゃん。」
中野の言葉に、女子生徒達は呆れた様な目で中野を見つめ、一斉にため息をつく。
「世の中にはね、どんなに恵まれていても、勝ってても、それでももっともっと自分が上だっていう事を証明したい!っていうヤツがいんの。
そういうヤツが選ぶやり方は、皆おんなじ。『誰かを落として自分をあげる』。
承認欲求の一種なのかもね。自分は凄い!見て!……って感じ?」
「外見が清楚で可愛いと、大抵の男は信じちゃうからさ。
その意味不明な正義の断罪劇、何度見た事か……。
他にも頭にくるのは、他の女子生徒が好きな男子の名前を少しでも口にすると、その男子に次の日からやたらベタベタ構いに行く事!
それで告白されたら、わざわざその女の子の所に行って謝るんだよ。
『ごめんね、知らなかったから。でも、私は好きとかいう感情はないから頑張ってね!』ってね。悪意しか感じないんだけど?」
女子部員達は、ジト〜……とした目で中野を睨み、中野は分が悪いのを察したのか、仏の顔の様な穏やかな顔で黙る。
一方の話だけを鵜呑みにする事はしないが、それが本当だとすると、良くない感じがする子だなとは思った。
じゃあ、ヒロインじゃなくて、悪役令嬢か……。
頭の中に浮かんでいた、ヒーローである光輝とヒロインであった花園さんの姿。
途端にヒロインの花園さんの顔は崩れていき、モザイクが掛かると、魔王の俺を押しのけて、最強悪役女帝として君臨している花園さんが、光輝の前に……立つ!

