「分かった。我慢する。でも──大人っていつ?」
光輝はまるで幼い子供の様に、頭を軽く横に倒して聞いてきたので、俺は少し考えてみた。
普通に考えたら20歳くらい?
でも、せっかく光輝がノリノリな悪役っぽいセリフのオンパレードをしてくるし……ここは悪役ファンとして負けられない所!
光輝の汚れなき瞳を見つめ返し、ニヒルな笑みを浮かべた。
「これだから下っ端君は。そんなの世界征服したらに決まってるだろう!
夢は大きく!それくらい出来たら、大人と言ってもいい!」
「……世界征服か。」
光輝はふむふむと頷き、タオルで包まれた俺の体を強く抱きしめる。
「具体的にはどうすればいいの?」
「────えっ!!?そ、それは〜……。」
そこまで考えてなかったので、ダラダラ汗を掻きながら、一生懸命考えた。
剣と魔法がある世界なら、それを使って頂点に立てばいいが……この価値観が多様化した現代では、どうやったら世界征服できる?
「とっ、とりあえず、沢山の人がお前は一番だって認めてくれて……そ、そんな感じ?」
「ふ〜ん、なるほど?」
光輝は一応自分なりの答えが出たのか、納得する様に頷きそのままお風呂へと歩き出す。
俺は荷物袋の様に運ばれ、その後は大きいお風呂の中で泡泡のモコモコにされた。
「へぇぁぁぁ〜……?」
「はい、そのまま大人しくしてね。」
巨大な泡のお化けになった俺、光輝の手によって丁寧に洗われる。
コシコシ……コシコシ!────ワシャワシャワシャ〜!!
繊細な指のタッチは絶妙で、気分はスッカリ夢心地。
心の中はひたすら『ありがとう』に支配されてしまった。
「うぅ〜……気持ちいいぃぃぃ〜。」
最高の夢体験に、思わず声をあげると、光輝が耳の後ろ辺りの髪の毛をこちょこちょしてくる。
「これからずっと洗ってあげる。だって不死の騎士団長は、魔王様の役に立てる事が一番の幸せなんだから。」
「え〜?」
そのまま後ろに流す様に髪の毛を揉み込まれ、ウットリしながら、フッと思った。
本当にそれって『幸せ』なのかな……?
そんな俺の疑問は、それはそれは気持ちいい指の動きと、船を漕ぎ始めた意識によってかき消される。
「可愛い……可愛い……ホントに……どうしよう……。」
「こんなに無防備で……可愛すぎてもう……。」
ブツブツと変な事を呟く声は子守唄となり、とうとう意識を手放した直前、光輝は俺の耳元で小さく呟いた。
「大人になるまで待っててね。」
◇◇◇
ピッ……ピッ……ピピピピピピッ……!
目覚まし?の機械音が聞こえ、パチッ!と目を覚ますと、目の前にはそれはそれは美しい光輝の顔が……。
ボケッ〜とした頭でキョロキョロ視線を回すと、自分が寝っ転がっているのがベッドの上で、いつも通り光輝と二人で寝ていた事に気づく。
「……寝落ちしちゃったのか。まさか人に体を洗ってもらうのが、あんなに気持ちよかったとは……。」
昨日の光輝の指テクニックを思い出すと、ブルッ!と震えてしまった。
あんなモノを何度もされては、もう一人でお風呂に入れなくなる!
「なんて恐ろしい……!騎士団長の実力を見誤った!」
────モゾモゾ〜!
慌てて起き上がろうとしたが、いつもと違ってなんだかフワフワのシーツの感触が身近にあるというか……ちょっと違和感を感じて、視線を下に下げていくと、目に入ったのは、肌色一色の自分の体であった。
「……裸だ。俺。」
『おっさんが酔っ払って、気がつけば朝。』それと同じ様な、体験しない方がいい体験を、まだ高校一年生なのに経験してしまった……。
「う……うぅ〜……うぇっ……ぐすすんっ!」
『そうしておっさん予備軍になった俺は、それからどんどん頭は剥げていき、糖尿病と高血圧に悩まされ、それは立派なメタボリックおじさんになりました。』
自分の真っ暗な未来を想像してグスグス泣いていると、光輝が目を覚まし、泣いている俺を見るとそのまま引き寄せてくる。
そこで気付いたのは光輝も裸である事だ。
死ぬほど固い胸に顔を押し付けられ「ぎゃああぁぁぁ!!」と叫んだ。
「いやだぁぁぁ〜なんか固いヤツだぁ〜……ガチガチだぁ〜。痛いよぅ〜。パイおろしにされる〜!」
パイズリなんて可愛いモノではなくて、大根おろしならぬパイおろしにされる!
危機感を持って、その腕の中から脱出しようとすると、光輝は逃さないとばかりに腕に力を入れた。
「仕方ないから慣れるしかないね。大人になるまで頑張って慣れて。」
「いやだぁぁぁ!俺はメタボになりたくない!」
「?」
ワーワーと自分の妄想を垂れ流す俺を、光輝は不思議そうな顔で見つめたが、『ま、いっか!』とばかりに気にせず強く抱きしめてくる。
──裸で。
つまりは朝の生理現象を起こしている、光輝の光輝さんも下に当たってくるわけで……。
「……っ!?な、なんかゴリッとしたのが当たっている!下級の召喚獣ナマコ戦士みたいなヤツ!!」
「ナ、ナマコ戦士……。」
昔流行ったゲームにて、敵のキャラがわんさか使ってくるナマコの形をした<ナマコ戦士>
体長20cm〜30cmほどの小型のモンスターで、ぴょんぴょん飛んでは、主人公達を苦しめるが、トゲトゲの帽子をちょこんと被っているのが可愛い。
光輝がショックで固まっている隙をみて早々にその腕の中から抜けると、そのままカサカサとゴキブリの様に部屋の端へ。
そこで自分のパンツやシャツ、制服が入っているカバンを見つけ、素早く身につけた。
「いや〜まさか寝ちゃうなんて!すまんすまん。ベッドまで運んでくれてありがとう。」
とりあえず運んでくれたらしいので、お礼を告げると光輝はムスッ!としながら「どういたしまして……。」と言って、俺同様着替える。
そしてそのまま不機嫌ながらも一緒にご飯を食べて光輝家を出ると、俺達は高校へと向かった。
光輝はまるで幼い子供の様に、頭を軽く横に倒して聞いてきたので、俺は少し考えてみた。
普通に考えたら20歳くらい?
でも、せっかく光輝がノリノリな悪役っぽいセリフのオンパレードをしてくるし……ここは悪役ファンとして負けられない所!
光輝の汚れなき瞳を見つめ返し、ニヒルな笑みを浮かべた。
「これだから下っ端君は。そんなの世界征服したらに決まってるだろう!
夢は大きく!それくらい出来たら、大人と言ってもいい!」
「……世界征服か。」
光輝はふむふむと頷き、タオルで包まれた俺の体を強く抱きしめる。
「具体的にはどうすればいいの?」
「────えっ!!?そ、それは〜……。」
そこまで考えてなかったので、ダラダラ汗を掻きながら、一生懸命考えた。
剣と魔法がある世界なら、それを使って頂点に立てばいいが……この価値観が多様化した現代では、どうやったら世界征服できる?
「とっ、とりあえず、沢山の人がお前は一番だって認めてくれて……そ、そんな感じ?」
「ふ〜ん、なるほど?」
光輝は一応自分なりの答えが出たのか、納得する様に頷きそのままお風呂へと歩き出す。
俺は荷物袋の様に運ばれ、その後は大きいお風呂の中で泡泡のモコモコにされた。
「へぇぁぁぁ〜……?」
「はい、そのまま大人しくしてね。」
巨大な泡のお化けになった俺、光輝の手によって丁寧に洗われる。
コシコシ……コシコシ!────ワシャワシャワシャ〜!!
繊細な指のタッチは絶妙で、気分はスッカリ夢心地。
心の中はひたすら『ありがとう』に支配されてしまった。
「うぅ〜……気持ちいいぃぃぃ〜。」
最高の夢体験に、思わず声をあげると、光輝が耳の後ろ辺りの髪の毛をこちょこちょしてくる。
「これからずっと洗ってあげる。だって不死の騎士団長は、魔王様の役に立てる事が一番の幸せなんだから。」
「え〜?」
そのまま後ろに流す様に髪の毛を揉み込まれ、ウットリしながら、フッと思った。
本当にそれって『幸せ』なのかな……?
そんな俺の疑問は、それはそれは気持ちいい指の動きと、船を漕ぎ始めた意識によってかき消される。
「可愛い……可愛い……ホントに……どうしよう……。」
「こんなに無防備で……可愛すぎてもう……。」
ブツブツと変な事を呟く声は子守唄となり、とうとう意識を手放した直前、光輝は俺の耳元で小さく呟いた。
「大人になるまで待っててね。」
◇◇◇
ピッ……ピッ……ピピピピピピッ……!
目覚まし?の機械音が聞こえ、パチッ!と目を覚ますと、目の前にはそれはそれは美しい光輝の顔が……。
ボケッ〜とした頭でキョロキョロ視線を回すと、自分が寝っ転がっているのがベッドの上で、いつも通り光輝と二人で寝ていた事に気づく。
「……寝落ちしちゃったのか。まさか人に体を洗ってもらうのが、あんなに気持ちよかったとは……。」
昨日の光輝の指テクニックを思い出すと、ブルッ!と震えてしまった。
あんなモノを何度もされては、もう一人でお風呂に入れなくなる!
「なんて恐ろしい……!騎士団長の実力を見誤った!」
────モゾモゾ〜!
慌てて起き上がろうとしたが、いつもと違ってなんだかフワフワのシーツの感触が身近にあるというか……ちょっと違和感を感じて、視線を下に下げていくと、目に入ったのは、肌色一色の自分の体であった。
「……裸だ。俺。」
『おっさんが酔っ払って、気がつけば朝。』それと同じ様な、体験しない方がいい体験を、まだ高校一年生なのに経験してしまった……。
「う……うぅ〜……うぇっ……ぐすすんっ!」
『そうしておっさん予備軍になった俺は、それからどんどん頭は剥げていき、糖尿病と高血圧に悩まされ、それは立派なメタボリックおじさんになりました。』
自分の真っ暗な未来を想像してグスグス泣いていると、光輝が目を覚まし、泣いている俺を見るとそのまま引き寄せてくる。
そこで気付いたのは光輝も裸である事だ。
死ぬほど固い胸に顔を押し付けられ「ぎゃああぁぁぁ!!」と叫んだ。
「いやだぁぁぁ〜なんか固いヤツだぁ〜……ガチガチだぁ〜。痛いよぅ〜。パイおろしにされる〜!」
パイズリなんて可愛いモノではなくて、大根おろしならぬパイおろしにされる!
危機感を持って、その腕の中から脱出しようとすると、光輝は逃さないとばかりに腕に力を入れた。
「仕方ないから慣れるしかないね。大人になるまで頑張って慣れて。」
「いやだぁぁぁ!俺はメタボになりたくない!」
「?」
ワーワーと自分の妄想を垂れ流す俺を、光輝は不思議そうな顔で見つめたが、『ま、いっか!』とばかりに気にせず強く抱きしめてくる。
──裸で。
つまりは朝の生理現象を起こしている、光輝の光輝さんも下に当たってくるわけで……。
「……っ!?な、なんかゴリッとしたのが当たっている!下級の召喚獣ナマコ戦士みたいなヤツ!!」
「ナ、ナマコ戦士……。」
昔流行ったゲームにて、敵のキャラがわんさか使ってくるナマコの形をした<ナマコ戦士>
体長20cm〜30cmほどの小型のモンスターで、ぴょんぴょん飛んでは、主人公達を苦しめるが、トゲトゲの帽子をちょこんと被っているのが可愛い。
光輝がショックで固まっている隙をみて早々にその腕の中から抜けると、そのままカサカサとゴキブリの様に部屋の端へ。
そこで自分のパンツやシャツ、制服が入っているカバンを見つけ、素早く身につけた。
「いや〜まさか寝ちゃうなんて!すまんすまん。ベッドまで運んでくれてありがとう。」
とりあえず運んでくれたらしいので、お礼を告げると光輝はムスッ!としながら「どういたしまして……。」と言って、俺同様着替える。
そしてそのまま不機嫌ながらも一緒にご飯を食べて光輝家を出ると、俺達は高校へと向かった。

