「別になんでもいいんだ、外見なんて。
俺がどんな姿をしていたって、あるがままに受け入れてくれて、そして欲を持った目で見ようとしない……それがきっと俺にとって正しいんだ。だって毎日幸せだから。」

「へぇ〜そういうモンかね?」

その外見とやらに全く恵まれていない俺は、一生懸命光輝の言っている事を理解しようと頑張ったが、多分三割くらいしか理解してない気がする。

俺だったら、その皆が羨む商品があったら、ピックアップして前面に出すね。
欲があろうがなかろうが、見てもらってラッキーラッキー。そしてそれからが勝負の始まりだ!

「どんな目で見られても、見てくれるなら大チャンスじゃん。
魔王だって、見た目のインパクトが強いのは、そのチャンスを作るためなんだと思うんだよな〜。そして視線が向いている間に、できるだけ自分をアピールすべし!
俺は使えるモノは使うぞ、絶対に。」

結構真面目に自分の人生観を語ったつもりだったが、光輝が吹き出してしまったので、ショックを受けた。
所詮全てを持っているヤツに、持ってないヤツの気持ちなど分かるまい!

「何笑ってんだよ、失礼なヤツ。」

「ごめんごめん。だって、なんだか考え方が振り切っているから!真面目に考えていた自分がアホらしくなった。そういう所もいいと思うよ。」

「あ、ありがとう……?」

なんとなく褒められた?らしいので、お礼だけ告げると、光輝がグッ!とパンツを下ろそうとしたので、慌てて光輝の手を押さえた。

「?何??」

「い、いや〜……実は心の準備が────……。」

ゴニョゴニョと言い訳を口にすると、光輝はう〜ん?と考え込む様子を見せ、突然自分のパンツに手を掛け────……アッサリ脱いでしまう。

「ほら、俺が先に脱いだよ。これなら恥ずかしくないんじゃない?」

「…………。」

ビックリ箱の18禁バージョン……。
目の前に晒された光輝の光輝さんから目が離せない。

こ、これ、本当に同じ歳のモノ……???

「???」

「はい、右足上げて〜次は左足〜。」

光輝は俺が呆然としている間に、ストン!!と俺のトランクスを下に下げ、更に完全に足首からも取り去った。
すると、必然的に俺の『俺』は、しゃがんでいる光輝の眼前に晒される。

「……うん、可愛い。昔のままだ。」

────ズギャギャン!!!

「えっ……はっ??かっ、可愛い……???昔のまま……?」

「うん。可愛くて可愛くて……今直ぐ食べちゃいたいくらい。……駄目?」

「ぎゃあああああ!!!」

俺はその場で尻もちをつき、カサカサ〜!とゴキブリ顔負けの動きで部屋の隅へと逃げると、大きな洗濯籠カゴと壁の隙間に体を捩じ込んだ。

「人のモノをバカにするなんて、最低だぞ!鬼!悪魔!(元)ゾンビゴリラ!食べきりサイズみたいな言い方するなよ!」

「別にバカにしてないんだけどな。それに食べきりサイズって……。まぁ、確かに言い方が悪かったかな。ごめんごめん。」

光輝は全く悪びれる様子もなく、大きな洗面台の引き出しからバスタオルを出すと、スタスタと俺が隠れている場所へと歩いてくる。
その際も、白旗をぶつけたくなるくらい完全敗北した光輝の肉体が目に映り、HPはゴリゴリ削られていった。

「ほら、こんな所に隠れないでよ、俺の大事な魔王様。」

「────ヒョッ!!?」

光輝は洗濯籠をポイっと放り投げると、そのまま大きなバスタオルで俺を包み込む。
そしてそのままおくるみに包まれた赤ちゃんの様に、抱っこしてきた。

「これから毎日綺麗にしてあげる。そうしたら、また一つ、俺は影太の役に立てる事が増えるね。不死の騎士は、もっと優秀な臣下になれた?」

「えっ……あ、う、うん……。」

とりあえず役に立つという言葉は、あまりよくない表現だが、光輝の優秀さを考えてコクコクと頷く。
すると光輝は、少しだけ薄暗い笑みを浮かべた。

「結局俺も他の奴らと同じか。『欲』を持って行動してるんだ。少しでも好きになって欲しいから。だから優しくする。全部知りたい、見たいって気持ちも、自分の不安を消したいからだ。……気持ち悪い。」

なんだか、また悪役っぽい事を言ってチクチクしたオーラを漂わせる光輝。

光輝の中二病が爆発した。
そして俺もいつでも、至るところで爆発しているので仲間ですね!

なんだか、遠かったはずの光輝がちょっと近づいてきた様で嬉しくなったので、俺は力が入っている光輝の肩をポンポンと叩いた。

「俺なんて常に欲望に溢れているぞ。いつもアレもしたいコレもしたいだ。
でも基本は、人に迷惑かけないなら何でもOKだと思ってる。しかもそれで相手が喜んでるなら尚OKでいいじゃん。お互いラッキーなのに、そこまで悩む必要ある?」

優しくて、ちょっと神経質な所が光輝なりに、多少葛藤がある事なのかもしれないが、結局結果を見て誰も悲しい想いをしないなら、俺は何でもいいと思う。
きっと自分を良い様に見せようとしてしまう癖があって、それに対して悩んでるっぽいが、光輝の周りの反応を見るに、誰もそれに怒ってないし悲しんでもない。
寧ろ、『光輝、大ちゅき!』なんだから、別に構わないのでは?と考えた。

「ね〜?」と言って首を横に倒すと、光輝は小さく吹き出しクスクスと笑う。

「確かにそうかもしれない。最近どんどん強くなる欲に不安を感じていたんだけど……これもいいの?」

「う〜ん……まぁ、相手が良いっていうならいいんじゃね?ただ、女子には最大限気をつけないと駄目だぞ。特に性欲的なモノは慎重に!エッチな欲望は、大人になるまでゲームのギャルゲーとかで解消すべし。不誠実は、絶対にいかんよ〜。」

一応親友としてのアドバイスを口にすると、光輝は少しだけ複雑そうな顔をしたが、なんだかんだで嬉しそうに頷いた。