「そうなんだよ!部長職はホント〜……っに!大変なんだ!
協調性に欠けるエース様に、そんなエース様を悪魔崇拝の様に崇拝する部員達に、獲物を狙う目の様にギラギラした目で牽制し合うマネージャ達……もう、ココは地獄かっ!ってくらい酷い!中学生の時からこうだ!
お前には心底申し訳ないが、お前がいる方が俺的には平和なんだよ。ほら、敵が一人だと結束する……みたいな?」
「えぇ〜……。それって俺が皆の共通の敵って事ですか?
まぁ、確かにゲームの中でも、共通の敵である魔王の出現と共に、人間たちは一致団結しますもんね。今まで戦争する程憎み合っていた国同士すら同盟組んだり……。」
怒りと憎しみの視線を一心に受けている事を想えば、俺の立場はまさに魔王の立場であると言える。
これはこれは……悪くない!
ニンマリ笑う俺を見て、空松さんはワハハ!と豪快に笑った。
「そこも凄い所だと思っているぞ!どんなに否定されても、自分の好きな様に変換できる能力。」
「は、はぁ……俺、ゲームが本当に好きなんで……。」
『ゲーム好きを突き通せて凄い!』
これを褒め言葉と捉えるかは微妙な所だ……。
複雑な気持ちでいると、空松さんからはなんとなく呆れた様な雰囲気が漂ったが、直ぐに『ま、いっか!』という雰囲気に変わる。
「そういう事ではないんだが……。まぁとりあえず、生贄?とやらに、猫の糞を使うのは止めた方がいいかもな。臭かったから!」
「あ〜……あれは、魔法陣を書いて中央に生贄の命を捧げないといけなかったから……。でも、生きているモノじゃ可哀想なので、猫の糞にしました。あれは沢山の犠牲者の成れの果てなので。……消化済みですけど。」
キリッ!と真面目な顔で説明したが、空松さんは腹を抱えて笑いだしてしまった。
いいんだ、いいんだ。
所詮、リアル充実陽キャ達から見れば、俺はただの理解不能なゲームオタクなんだ。
笑い続ける空松さんを、哀愁漂う笑みを浮かべて見つめていると、空松さんは目尻に浮かぶ涙を拭きながら言った。
「その時、あの光輝がめちゃくちゃ真面目に祈ってて……初めて見た時は驚いたもんだ。
言っちゃ悪いが、こんな遊びにそこまで真剣になるのか?!って思った。」
「光輝は物凄くノリが良いんです。俺の魔王様ごっこに、未だに付き合ってくれるんで。」
誰もが大きくなっていくと、現実が見えてくる。
そうすると、どうしてもゲームだけに真剣にのめり込んでくれる人は少なくなっていって……気がつけば、真剣に遊んでくれるのは光輝だけになった。
勿論、ゲーム愛好会の皆だって真剣にゲームが好きで楽しんでいるけど、多分俺のバカみたいな遊びに、毎回は付き合ってはくれないと思う。
またしんみりした気持ちになっていると、また笑いがぶり返したのか、空松さんは口元を覆いながら顔を赤くした。
「……ふ……ププッ……あの光輝が、猫じゃらしでお前と戦ったり、ウンコを木の棒で突いていたり未だにしてるとか……ぷ……ププ!
なんていうか、光輝はお前といる時が一番楽しそうだと思う。やっている事はいつもアレだが……お前達は本当に楽しそうで羨ましい。」
「光輝が?」
確かに楽しそうにしているとは思うが、それって本当に幸せな事なんだろうか?
む〜ん……と悩んでしまった俺の頭を、また空松さんはグリグリと撫で回す。
「光輝が本当にどう思っているかは分からないが、俺から見たら、お前といる時が一番幸せそうに見えるぞ。だからこれからも、こうして試合を見に来てやってくれよ。」
「それは……。」
色々な事を考えて考えてグルグルしてしまい、少々返答に困っていると、突然頭を撫でる手の感触が消えた。
「…………?」
驚き上を見上げると、いつの間にかすぐそこに光輝がいて、なんと空松さんの手を汚いものでも摘む様に上に持ち上げていたのだ。
「何やってるんですか?…………あっちいけ。」
ムッ!としたまま、摘んでいた空松さんの手を押し返す光輝。
それを受けて、空松さんは気分を害す──事もなく、またワハハと笑う。
「すまんすまん。そう拗ねるなよ、光輝。お前らが仲が良いなって話をしていただけだ。
取らないから安心してくれ。」
「…………。」
ジトッ……とした目で睨む光輝の視線も、慣れたものなのか、空松さんは軽い感じで光輝の肩を叩いていた。
そんな空松さんの気さくな感じが凄くいいな〜と思いながら、フッと周りの部員やマネージャー達へ視線を回すと、俺の時とは違い好意的な目を向けられているのに気づく。
「……なるほどな〜。」
『光輝君は、本当に凄い人で付き合う人間も選ぶべきだと思う。』
『そもそも高校生くらいになると、誰に言われなくても自分で選ぶんじゃないかな?』
『合う合わないも分かってくるし、それぞれふさわしい場所で過ごす方が、ストレスないと私は思うけど。』
つまり、空松さんみたいな人なら、光輝の隣にいるのに相応しい人なのか……。
らしくもない事を考えてしまい、空松さんと光輝を交互に見てから頭をポリポリ掻く。
俺は別に何を言われても特に気にならないが……本当に光輝の邪魔になっているなら嫌だな。
なんとなくしょんぼりした気持ちになって肩を落とすと、突然肩を引き寄せられて、もう片方の手で頬を撫でられた。
「影太元気ないね。どうしたの?もしかして具合悪い?」
オロオロした様子で、光輝は俺の頬を包み込む様に触ると、そのまま自分のおデコを俺のおデコにつけてくる。
「熱はなさそうだけど……うん、このまま帰ろうか。」
「おいおい、止めろって。俺が具合悪いわけないだろう。健康健康。」
健康だけが誇れる個性!というくらい、風邪一つ引かない俺。
光輝の言葉が心外だったため、間近にある顔を手で押し返す。
すると、光輝はムッ!としたのか、そのまま俺の手を押し返して、また俺のおでこに自分のおでこをつけてきた。
協調性に欠けるエース様に、そんなエース様を悪魔崇拝の様に崇拝する部員達に、獲物を狙う目の様にギラギラした目で牽制し合うマネージャ達……もう、ココは地獄かっ!ってくらい酷い!中学生の時からこうだ!
お前には心底申し訳ないが、お前がいる方が俺的には平和なんだよ。ほら、敵が一人だと結束する……みたいな?」
「えぇ〜……。それって俺が皆の共通の敵って事ですか?
まぁ、確かにゲームの中でも、共通の敵である魔王の出現と共に、人間たちは一致団結しますもんね。今まで戦争する程憎み合っていた国同士すら同盟組んだり……。」
怒りと憎しみの視線を一心に受けている事を想えば、俺の立場はまさに魔王の立場であると言える。
これはこれは……悪くない!
ニンマリ笑う俺を見て、空松さんはワハハ!と豪快に笑った。
「そこも凄い所だと思っているぞ!どんなに否定されても、自分の好きな様に変換できる能力。」
「は、はぁ……俺、ゲームが本当に好きなんで……。」
『ゲーム好きを突き通せて凄い!』
これを褒め言葉と捉えるかは微妙な所だ……。
複雑な気持ちでいると、空松さんからはなんとなく呆れた様な雰囲気が漂ったが、直ぐに『ま、いっか!』という雰囲気に変わる。
「そういう事ではないんだが……。まぁとりあえず、生贄?とやらに、猫の糞を使うのは止めた方がいいかもな。臭かったから!」
「あ〜……あれは、魔法陣を書いて中央に生贄の命を捧げないといけなかったから……。でも、生きているモノじゃ可哀想なので、猫の糞にしました。あれは沢山の犠牲者の成れの果てなので。……消化済みですけど。」
キリッ!と真面目な顔で説明したが、空松さんは腹を抱えて笑いだしてしまった。
いいんだ、いいんだ。
所詮、リアル充実陽キャ達から見れば、俺はただの理解不能なゲームオタクなんだ。
笑い続ける空松さんを、哀愁漂う笑みを浮かべて見つめていると、空松さんは目尻に浮かぶ涙を拭きながら言った。
「その時、あの光輝がめちゃくちゃ真面目に祈ってて……初めて見た時は驚いたもんだ。
言っちゃ悪いが、こんな遊びにそこまで真剣になるのか?!って思った。」
「光輝は物凄くノリが良いんです。俺の魔王様ごっこに、未だに付き合ってくれるんで。」
誰もが大きくなっていくと、現実が見えてくる。
そうすると、どうしてもゲームだけに真剣にのめり込んでくれる人は少なくなっていって……気がつけば、真剣に遊んでくれるのは光輝だけになった。
勿論、ゲーム愛好会の皆だって真剣にゲームが好きで楽しんでいるけど、多分俺のバカみたいな遊びに、毎回は付き合ってはくれないと思う。
またしんみりした気持ちになっていると、また笑いがぶり返したのか、空松さんは口元を覆いながら顔を赤くした。
「……ふ……ププッ……あの光輝が、猫じゃらしでお前と戦ったり、ウンコを木の棒で突いていたり未だにしてるとか……ぷ……ププ!
なんていうか、光輝はお前といる時が一番楽しそうだと思う。やっている事はいつもアレだが……お前達は本当に楽しそうで羨ましい。」
「光輝が?」
確かに楽しそうにしているとは思うが、それって本当に幸せな事なんだろうか?
む〜ん……と悩んでしまった俺の頭を、また空松さんはグリグリと撫で回す。
「光輝が本当にどう思っているかは分からないが、俺から見たら、お前といる時が一番幸せそうに見えるぞ。だからこれからも、こうして試合を見に来てやってくれよ。」
「それは……。」
色々な事を考えて考えてグルグルしてしまい、少々返答に困っていると、突然頭を撫でる手の感触が消えた。
「…………?」
驚き上を見上げると、いつの間にかすぐそこに光輝がいて、なんと空松さんの手を汚いものでも摘む様に上に持ち上げていたのだ。
「何やってるんですか?…………あっちいけ。」
ムッ!としたまま、摘んでいた空松さんの手を押し返す光輝。
それを受けて、空松さんは気分を害す──事もなく、またワハハと笑う。
「すまんすまん。そう拗ねるなよ、光輝。お前らが仲が良いなって話をしていただけだ。
取らないから安心してくれ。」
「…………。」
ジトッ……とした目で睨む光輝の視線も、慣れたものなのか、空松さんは軽い感じで光輝の肩を叩いていた。
そんな空松さんの気さくな感じが凄くいいな〜と思いながら、フッと周りの部員やマネージャー達へ視線を回すと、俺の時とは違い好意的な目を向けられているのに気づく。
「……なるほどな〜。」
『光輝君は、本当に凄い人で付き合う人間も選ぶべきだと思う。』
『そもそも高校生くらいになると、誰に言われなくても自分で選ぶんじゃないかな?』
『合う合わないも分かってくるし、それぞれふさわしい場所で過ごす方が、ストレスないと私は思うけど。』
つまり、空松さんみたいな人なら、光輝の隣にいるのに相応しい人なのか……。
らしくもない事を考えてしまい、空松さんと光輝を交互に見てから頭をポリポリ掻く。
俺は別に何を言われても特に気にならないが……本当に光輝の邪魔になっているなら嫌だな。
なんとなくしょんぼりした気持ちになって肩を落とすと、突然肩を引き寄せられて、もう片方の手で頬を撫でられた。
「影太元気ないね。どうしたの?もしかして具合悪い?」
オロオロした様子で、光輝は俺の頬を包み込む様に触ると、そのまま自分のおデコを俺のおデコにつけてくる。
「熱はなさそうだけど……うん、このまま帰ろうか。」
「おいおい、止めろって。俺が具合悪いわけないだろう。健康健康。」
健康だけが誇れる個性!というくらい、風邪一つ引かない俺。
光輝の言葉が心外だったため、間近にある顔を手で押し返す。
すると、光輝はムッ!としたのか、そのまま俺の手を押し返して、また俺のおでこに自分のおでこをつけてきた。

