ギャルっ娘パラダイス♪ 〜堅物女子高教師から異世界勇者に転生したオレに美人で極上ボディの異世界ギャルたちを連れてエッチでウハウハなハーレム旅をしろだと? よろこんで!〜

 ドラゴンのバルに乗ったオレたち四人は、古代カリクトゥス王国跡地に向かって順調に飛んでいた。
 古代カリクトゥス王国は、魔王を倒した後、先代勇者カノージンが(おこ)した国だ。
 場所は、カルナックス、オーバル、ネクスフェリア三国のほぼ中央にあたる。

 千年経った今、跡地には水が湧き、沼地となってしまっている。
 当時は砂や土でしっかり地盤を固めたのだろうが、千年経ってすっかり元の沼地へと戻ってしまった。
 そんな場所が国を建てる場所としてふさわしいとは、とてもじゃないが思えない。

 もちろん、当時存在していた他国との力関係などもあっただろう。
 勇者であるとはいえ、魔王を倒した英雄が国を興すとなれば、周辺諸国は相当警戒するはずだ。

 嫌々ではあるが、勇者の国興しを黙認するとすれば、それなりの理由が必要だ。
 例えば誰も手を出さない場所、価値のなさそうな土地であるとか、あるいは誰もがやりたがらない嫌な役目を押しつけられたか。
 すなわち、魔王城の封印の役目を。

 そう。古代カリクトゥス王国は魔王城を封印する目的で建てられた。
 カノージンはそこに人柱として封じられている。千年経った今でも。
 
「ただの魔族でいるあいだは不自由なく外を歩けるのじゃが、魔王という称号を入手した途端、魔王さまは魔王城に強力に縛りつけられる。女神の呪いでな。そしてその封となる存在、それが勇者なのだ」

 もう隠す必要もないと思ったのだろう。
 オレの胸のガイコツ人形――嫉妬帝イルデフォンゾ=ジェルミの爺さんは、それまで黙っていたぶんを取り戻すがごとく、ベラベラと隠された真実を教えてくれた。

「つまり、オレが魔王に勝てば、封印はオレを人柱として次の千年ぶん貼り直されるってわけだな? メロディちゃんは魔王討伐を果たせば生き返れるって言ってたが、これ帰す気なんか更々ないだろ。やってくれるぜ、銀髪ロリ女神め」
「何じゃ、帰るつもりだったのか?」
「どうかね。だが、だからこそオレが帰りたくなる気をなくすよう、これだけ美女を取りそろえたんじゃねーかな。女神もとんでもない罠を仕かけてくれたもんだ。これじゃ、女神と魔王、どっちが悪役だか分かったもんじゃねーぜ。ちなみに、もしオレが負けたらどうなるんだ?」
「魔王さまが自由に地上に出てこられるようになる。あのゴーレムを見ただろう? 魔王城の中にいてさえそれだけのことができる。その力をフルに使えるとしたら、それは人類の滅亡を意味する」
「だろうね。ゴーレム三体だけで、あっぷあっぷだよ」

 オレがイルデフォンゾの爺さんとコッソリ話していると、後ろで会話をしていたらしい三人娘がツンツンとオレを(つつ)いて来た。
 振り返ると、三人娘が神妙な顔をして、そろって正座している。
 互いを(ひじ)で突いているところを見ると、言い出しっぺを誰にするか決めかねているらしい。
 しばし逡巡(しゅんじゅん)した後、まずリーサが口を開いた。
 
「ねぇ、旦那さま。実はボクたち、旦那さまに報告しなくっちゃならないことがあるんだ……」
「そうそう、そうなのよ、テッペー。ちょっと驚きだったんだけどね」
「だよねぇ、ユリち、ビックリしちゃったよ」

 見ると、三人とも顔を赤くしている。

「報告? 何だよ、いきなり」

 (いぶか)し気に問うと、三人そろって口を開いた。

「えっとぉ……できちゃいました」
「いるみたいよ?」
「ユリちたちも何か最近おかしいなぁって思ってたんだけどね」
「……は?」

 思わず顔が固まる。
 え? どういうこと? まさか……!?

「だから、旦那さまの子供がお腹にいるみたいなんです」
「よりにもよって三人そろってよ?」
「そういえば最近、月のモノも来てなかったからまさかとは思ったんだけどね」
「お前ら……」

 三人が急に真剣な表情になる。
 オレの反応が気になるのだろう。
  
「ふはっ。ははっ。あははははは。あっはっはっはっは!! お前らでかした!」

 オレが両手を開くと、三人娘が勢い込んで飛び込んできた。

「旦那さま、嫌がらないの? 迷惑じゃありませんか?」
「迷惑なんかじゃないよ! 最っ高なニュースじゃないか!」
「喜んでくれる? テッペー」
「もちろん! これ以上嬉しいことなんかないよ!」
「ユリち、産んでいいの?」
「おぉ! むしろオレから頼む。元気な子を産んでくれ!」

 オレは三人をギュっと抱き締めた。
 大丈夫、オレにはこの子たちがいる。
 こんなオレとの子を望んでくれるんだぞ? これが愛でなくてなんだよ。
 だから……オレは勝ってこの物語を終わりにする。
 オレは、ようやく眼下に見えてきた古代カリクトゥス王国跡地を見て、決意を新たにしたのであった。 

 ◇◆◇◆◇

 王の間に入ると、銀色の甲冑群が最敬礼でオレたちを出迎えた。
 中身は入っていないが、何となく分かる。
 コイツらはかつての古代カリクトゥス王国の騎士たちだ。
 人柱となった先代勇者カノージンと共にここに眠ることを選んだ、偉大な勇者たちだ。

『待っておったぞ、次代よ。さぁ、そこに立て。お主を魔王城へと転送してやろう。準備はいいな?』

 緋色(ひいろ)のマントと銀の略王冠を(かぶ)った白髪の日本人が、玉座から立ち上がる。
 千年前――平安時代に召喚された先代勇者・加納尽(かのうじん)、その亡霊だ。
 オレは振り返ると、後ろについてくる三人娘をその場に留めた。

「三人はここで待て。魔王城へはオレ一人で行く。先代さん、それでいいだろ?」
「旦那さま!?」
「テッペー!」
「センセ!!」
『構わんが……いいのか?』
「ここからでも三人の加護はオレまで届くだろ? それに、どうしても二人で話さなくっちゃいけないんだ、アイツと」
『そうか。……そうじゃな。好きにするがいいさ。ではそこに立て!』

 オレは緋色の絨毯の上に立った。
 途端に絨毯の上を縦横に光が走り、オレを中心に複雑な魔法陣が形成されていく。
 下から強風でも吹いているかのように、オレの羽織ったマントがバサバサと(ひるがえ)る。

「旦那さま! ご武運を!」
「無事に帰ってきてよね、テッペー!」
「ユリちたち聖女の護りが、絶対にセンセを死なせないんだから!!」
「行ってくる!!」

 三人の聖女に向かって右手の親指を立てたオレは、次の瞬間まばゆい光に包まれ、いずこへともなく転送された。
 
 ◇◆◇◆◇

 次に気づいたとき、オレは巨大な城の中庭に立っていた。
 空は真っ暗。だが星はない。夜空ではないということだ。
 あちこち篝火(かがりび)()かれているが、夜だからという理由ではないのだろう。
 ここにはそもそもが、昼も夜もないのだ。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。

 城門が開くと同時に、黒い影が大勢出てきた。
 大きい者、小さい者、太い者、細い者、人間のような者、獣のような者、色々いるがひと目で分かった。
 こいつら全員魔族だ。
 しかも、同族と殺し合った末の生き残りだけあって、七霊帝ほどではないにせよ、一人一人がかなり強そうだ。
 そうして、百人を超える魔族の大群が門前にズラっと並ぶ。
 だが、そんなことは予想済みだよ。

 オレは満を持して、聖剣シルバーファングの(つか)を開いた。
 柄にしまっておいた七つの宝玉――七霊帝(しちれいてい)魔核(デモンズコア)が勢いよく飛び出して、意思ある者かのようにオレの周囲を飛び回る。
 オレはしばらく待った後、胸のガイコツ人形に向かって声をかけた。

「ちょっとちょっと、爺さん何やってんの。あんたもだよ。早く出なさいよ」
「やぁれやれ、年寄りをこき使いおって。ほいっ!」

 ガイコツ人形から飛び出た宝玉が合流し、オレの周りを八つの光となってグルグルと回る。
 オレは剣を地面に突き立てると、八つの宝玉に向かって叫んだ。

「七霊帝よ、オレがお前たちに新たな身体を与えよう。我が命を使って(よみがえ)れ、七聖帝(しちせいてい)!!!!」

 途端に、身体からゴッソリと何かが抜けて行くのを感じる。
 突如襲ってきた激しい脱力感に、膝をつきそうになるのを必死に耐える。

「くぉ!? つぅ……うぉぉぉぉぉおおおお!」

 この感じ。想像していた通り、七聖帝の身体形成にはオレの寿命何年かぶんかを差し出す必要があったのだろう。
 だが大丈夫。今のオレには三聖女から力が流れ込んできている。耐えられる。

 オレの目の前で七聖帝の魔核がまばゆい光に包まれ、徐々にその身体が形成されていく。
 魔王直属の部下・最精鋭たる七霊帝だった彼らは、魔族でいたとき、黒い礼服を着て、黒い髪、黒い目、そして黒いツノを頭から、背中には黒い蝙蝠羽根を生やしていた。
 だが今の彼らは、その時とは対照的に真っ白な格好だ。

 白い礼服に銀色の髪と銀色の目。ツノはなくなり、蝙蝠羽根の代わりに、背中から白鳥のような真っ白な羽根を生やしている。
 頭の上の輪っかこそないものの、その様子はまるで真逆の存在――天使だ。
 オレを通じて三聖女の力や女神の力をも注がれたからだろう。実に神々しく、身体から光を放っている。

「グラフィド=ボージュ。あーあ、お腹空いたな」 
「アヴァリウス=デスタ。えーっと、一人何体担当すればいいんでしょうね」
「プルディシオ=ソリス。あははは、遊んじゃうよー」
「アウロラ=ソリス。楽しそうだねー」
「ルクシャーナ=デルタ。私、体力勝負って苦手なのよね」
「イルデフォンゾ=ジェルミ。老体に無理させおって」 
「シルヴェリオ=ヴァレンティ。貴様ら、もうちょっとやる気を出さんか」
「イーシュガルド=エヴリン。どうでもいい。立ちはだかる者は斬るだけだ」

 八人が八人、勝手なことを言ってそれぞれの武器を構えた。
 勇者を差し置いて、神々しいったらありゃしない。主人公かっての! 
 さておき、オレの命を与えて蘇らせた元七霊帝だ。後ろを任せるに足る勇者たちだ。

「ここは任せた、七聖帝。頼んだぞ!」

 (とき)の声を上げつつ押し寄せて来る百人の魔族たちを七聖帝に任せ、オレは韋駄天足(いだてんそく)を発動し、城の中に高速で突入した。