ギャルっ娘パラダイス♪ 〜堅物女子高教師から異世界勇者に転生したオレに美人で極上ボディの異世界ギャルたちを連れてエッチでウハウハなハーレム旅をしろだと? よろこんで!〜

 オレたちは充分に警戒しつつ、ゆっくりと虚空を落下していった。
 別に種明かしって程のことじゃない。
 フィオナに風の魔法を使ってもらっただけだ。
 
 なんとフィオナは浮遊魔法を使えたのだ。
 オレもついさっき知ったことなのだが、飛べこそしないものの、ふよふよと浮くことができるらしい。
 フィオナによると、これは聖女として自覚できた頃から使えるようになった幾つかの魔法の内の一つだそうだが、最初っから頼っていれば良かったな。

 段々と直下の光源が近づいてくる。下の様子が見えてくる。

「嘘だろ!?」

 ……マジか。地底だぞ? こんな場所にあるとか何の冗談だよ。
 オレたちは怪我をすることなくゆっくりと落下すると、光を放つ泉に着水した。
 深さは、膝下(ひざした)ってところで、それほど大きくはない。せいぜい学校の教室程度だ。

 ジャブジャブと水を掻き分け、お姫さまだっこしていたフィオナをそっと泉の外へと運んだオレは、フィオナの足を濡らさずに無事地面に降ろすと、(きびす)を返し、再びジャブジャブと泉の中心まで進んだ。
 水が入ったブーツがガポガポと音を立てているが、そこは我慢だ。

「ゲームじゃあるまいし、誰だよ、こんなところにこんなもの置いたのは」

 泉の中央に設置された五体目の金色の女神像に近寄ったオレは、台座を数段登るとそっとその足に触った。

 ◇◆◇◆◇

『勇者と聖女の関係についてのお主の考察は、(おおむ)ね正しい。さすが、腐っても教師じゃの』
「腐るだけ余計だよ。ま、死にかけのオレに新たな運命を運んできてくれた礼もあるし、せいぜいメロディちゃんの期待通り動いてやるさ。女神の威光って奴を存分に発揮できるようにな」
『はっは。期待しておるぞ、藤ヶ谷徹平(ふじがやてっぺい)。さてと、では最後の強化案を聞こうか?』

 真っ白な巨大玉座の上で胡坐(あぐら)をかいた銀髪ロリ女神ことメロディアースさまが、ニンマリ顔でオレを見た。
 思惑通り順調に冒険が進んでいるからか、かなりご機嫌な様子だ。
 オレは早速希望を述べた。
 聞いていたメロディちゃんの表情が、みるみる驚きに変わっていく。

「できないか?」
『できないわけではないが、今のお主では維持できん。装備をコンプリートした聖女三人からお主に魔力が注ぎ込まれれば……そうさの、五分くらいは持つだろうが、現状では五秒がやっとじゃぞ?』
「いいんだ。あくまで魔王戦用秘密兵器だからな。それで構わないよ、頼む」
『分かった。ではそのようにしよう。それにしてもお主、面白いことを考えるのぉ。せいぜいお手並み拝見とさせてもらおうかの』

 女神メロディアースはオレを見て、ニヤっと笑った。
 
 ◇◆◇◆◇

「えーーーー!? わたしここでお留守番なのぉぉ??」
「しょうがないだろ、怪我してて長時間歩けないんだから。心配するな、リーサたちの安全が確保できたら迎えにくるから」
「魔物が現れたら?」
「泉に飛び込め。今まで金の女神像を五体見たが、どれも強烈な神気を発していた。七霊帝(しちれいてい)でさえ(そば)まで行くのがやっとで、泉に浸かることはできなかった。像の立つ一帯が結界――安全地帯《セーフティゾーン》になっているんだ。その中にいれば魔物は襲ってこられない。さ、分かったら大人しくここで待っているんだぞ?」
「うぅー、早く戻ってきてよね? 大人しく待ってるから。絶対だよ!!」

 オレはフィオナに向かって手を振ると、携帯松明に火をつけつつ泉への侵入口となっているらしき通路に入った。
 出入り口はこれ一個きりだ。他の選択肢はない。

 仕方なく女神の泉の広間から一本だけ伸びる坂を上ったオレは、ほんの五分ほどでレールが二本走るちょっと広めの通路にぶつかった。
 ご丁寧にトロッコの終着点ときている。

 つまりこのレールは、女神の泉行きの専用線として敷かれていたってことだ。事故回避とかのご利益を考えて作られたってことなのかね。
 閉山と同時に忘れ去られたのは仕方ない。どっちみち金の女神像の本分は勇者の武器強化用だし。

「とりあえずこれを上って行くしかないか」

 この線は集積場にあった五本のレールの内の一本のはず。ということは、これを上って行けば、地上の集積場に辿り着ける。

 これでフィオナを無事地上に連れ帰る道は確保できた。
 だが、今のオレの目的は、リーサとユリーシャの捜索だ。
 途中で他のトロッコレールに行き会えればいいんだが……。
 ところが――。

「うぉ! 外に出ちまった! 何だよもう、ハズレかよ。……あ、ホントだ。書いてあるじゃん」

 途中で別の線と行き会いたいというオレの願いは無残にも打ち砕かれた。
 発着場まで戻ると、そこに置いてあったトロッコの操縦パネルに『女神像行き』と書かれた小さな木製看板がかかっている。
 
「ちっくしょう、ユリーシャがいたのはあの辺りだったから……この線か。くっそ。待ってろ、今行く!」

 そこでオレの足が止まる。
 憤然(ふんぜん)としつつ何気なく見た休憩小屋から煙が立ち昇っている。
 半信半疑になりつつ窓からそっと中を覗くと、昼飯のサンドイッチにかぶりついているユリーシャと目が合った。

「へんへ!」

 その声に振り返ったリーサがオレに気づき、笑顔になる。
 小屋のドアを開けたオレを、リーサとユリーシャの声が出迎えた。

「ヘンヘ! ふひはったひはひへひょはっはぁ(無事だったみたいで良かった)!」
「あぁあぁ、パンくずが飛んでるよ、ユリーシャ。せめて食い終わってから話せ」
「旦那さま! 良かった、ここで出会えて。……フィオは?」

 二人とも思った以上に元気そうだ。
 良かったっちゃー良かったんだが、やれやれ、ドっと疲れたよ。
 オレはそこにあった古びた木の椅子にドカっと腰をかけた。

「怪我をしていたから最下層に置いてきた。女神像の結界の中だから魔物に襲われる心配はない。ちょっと休んだら連れに戻るよ。お前らはここで待機だ」
「んぐ。だったらユリち、一緒に行くよ! 回復魔法をかければ自力で歩けるようになるでしょ!」

 サンドイッチを食い終わったユリーシャが任せてよとばかりに胸を叩く。

「しかし……」
「旦那さま。ボクも一緒に行くよ。全員そろっていた方が何かあったとき対処しやすいでしょ?」

 リーサが笑顔でうなずく。

「それもそうか。よし、じゃ早速荷物を(まと)めてくれ。とっとと合流するぞ」
「センセ、トロッコ、トロッコ! 行きはトロッコで楽しようよ。ユリち、操縦上手くなったから任せて!」

 こうして十分後、オレたちはようやく、女神の泉で無事合流を果たしたのであった。

 ◇◆◇◆◇

「ねね、フィオナちゃん、顔テカテカしてない?」
「そ、そんなことないよ?」

 治療を終えたユリーシャがジト目でフィオナを問い詰める。
 頬を赤く染めながらさりげなく視線を逸らすフィオナを見て、正解を導き出したユリーシャが案の定騒ぎ出す。

「した? したの? ズルいぞ! ユリちも! ユリちも!」
「……旦那さま、ボク実はオーバルで旦那さまが喜びそうな凄いランジェリー買ってたんだ。今夜着るから! 待ってるから!」

 ユリーシャとリーサが、ガイコツ人形を手のひらに乗せて女神の泉の周りを慎重に歩いていたオレに詰め寄ってくる。
 
「だぁ! 邪魔するな! 何だもう。ユリーシャはいつものことだけどリーサまで! 落ち着け、お前ら。そんなことよりも見ろ、ガイコツ人形を。真横を指してやがるぞ」
「ちょっと! いつものことってどういう意味だよぉ!」

 とりあえず三人娘が集まってきたので、オレは癇癪(かんしゃく)を起こすユリーシャをいなしつつ、壁面に向かって赤い光を放つガイコツ人形を見せてやった。

「……壁だよ? センセ」

 ユリーシャの視線がオレと壁とを行ったり来たりしている。
 リーサも困惑顔だ。
 ところがこれに反応したフィオナが壁にそっと手を触れた。
 
風の精霊(シルフ)がいる。なんで。……そうか! 向こう側があるんだ。ほら、巣食っている土の精霊(ノーム)も微妙に違う!」
「間違って繋げちゃって、慌てて埋めたってところか? よし、フィオナ。どのくらいの範囲で異物反応があるのか教えてくれ」
「こーんな感じ」

 フィオナがガイコツの指し示す土壁に、持っていた杖の先端でガリガリと跡をつけた。
 杖の跡が、何となく扉のような大きさの長方形になっている。
 オレは三人を下がらせると、壁に向かって剣を構えた。

「吠えろ、シルバーファング! 第二の牙、灼熱剣(もやしつくすつるぎ)! そして……ソードインパクトぉぉ!!」

 剣が高熱を帯びて光った瞬間、オレは壁に向かって剣を突き出しつつ韋駄天足(いだてんそく)で体当たりした。

 ドカアァァァァァアッァァァァアァンン!!!!

 ソードインパクトで壁をぶち破ったオレは、そのまま広大な空間に転がり出た。
 暗いかと思いきや、いやいやかなり明るい。
 もうもうと立ち上る煙が風で流れて晴れるのを待ちつつ、オレは周囲の様子を確認した。

 そこは、隠し部屋とは思えないほど広く、立派な空間だった。
 壁は綺麗に煉瓦を積まれて作られており、等間隔に壁かけ松明(たいまつ)が並んでいる。
 床には石畳が平らに敷かれ、上からかかる膨大な土の重量を散らすためか、精緻な意匠が刻まれた白亜の石柱が規則正しく何本も立っている。
 
 松明が点いてないのになんでこんなに明るいんだ?
 天井を見ると、透明なガラス石がビッシリと埋めこまれていた。
 そうか、どこか外の光源をここまで運んでいるのか。昼の間はそうやって明かり取りをすると。隠し部屋のくせに、よく考えられているもんだ。

「旦那さま! 敵の気配だよ!」

 リーサを筆頭に、隠し部屋に飛び込んで来た三人娘がそれぞれ武器を構えた。
 どこに隠れていたものか、ガイコツ兵――スケルトンの大群が、ゆっくりとオレたちに近づいてきた……。