バーンがさらに操作すると、目の前に魚型宇宙船が現れる。金魚のリュウキンのようなかわいい見た目だった。
 猫が魚を好きだと思われているのは日本だけだったな、と美遥は思い出す。猫型宇宙人星も魚が好きなのだと思うとなんだかほほえましい。

「二日酔いで宇宙船の操縦って大丈夫なの?」
「全自動操縦なので大丈夫です」
「さすが、宇宙を渡るだけのことはある。はいこれおみやげ」
 美遥は持ってきた液状おやつや猫缶、カリカリの入った袋を彼に渡す。

「こんなにたくさん! ありがとうございます! では、先輩、美遥さんお元気で!」
「おう!」
「気をつけてね!」
 金魚の口が開いて階段が出て来て、バーンは手を振りながら階段を上っていく。
 その姿が消えると、金魚は静かに上昇を始め、やがては青空のかなたへを消えていく。

「ああ、行っちゃった……」
「さみしくなるなあ」
 隣から返って来た声に、美遥は目を丸くした。

「なんでマカロが残ってるの!?」
「俺の宇宙船を残して俺だけ帰るわけないだろ」
 マカロがあきれたように言う。

「そっか、そっかあ」
 えへへ、と笑う美遥にマカロがからかうように言う。
「バーンは修理の部品を持って来ただけだ。本当に俺が帰ると思ってさみしかったのか?」
「うん」
 素直に頷く美遥にマカロは驚いて、それから嬉しそうにしっぽをピンと立てた。